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城戸朱理のブログ

2015年11月20日

憎しみの連鎖



鹿児島の国民文化祭、「現代詩の祭典in南九州市」において、高岡修氏は、次のように語った。


「20世紀は戦争の時代でした。
私は、21世紀は文化の時代になると思っていた。
けれども、違いました。
21世紀は、テロの時代になった」


その言葉を聞いてから、わずか5日後の11月13日。

早朝に、BBCのニュースで、パリにテロが起こったことを知った。

続報が出るたびに、死者の数が膨れ上がっていく。

凍りつくような想いで、ネットを検索してみたら、ベイルートでも自爆テロで、たいへんな被害があったことが分かった。


テロの時代――

たしかに、21世紀は、まず9. 11の同時多発テロから始まった感があるが、今回のテロは、性格がまったく違う。

アルカイーダは、大使館や軍事施設をテロの対象としていたし、ワールドトレードセンターもグローバル資本主義の殿堂という意味で、ペンタゴンとともにテロの対象となったことは、まだ理解できた。


しかし、今回のISの犯行とされるパリやベイルートのテロは、対象が一般市民であり、備えようがない。


オランド大統領は、すぐさま報復でシリアを空爆、英国やロシアも足並みを揃えた。

ドイツも集団的自衛権の行使を申し出たし、今や、欧州と中東は第三次世界大戦に突入した感がある。


テロは決して許されるべきではないが、同時にその背景には、欧州諸国のアラブ世界の植民地化と、1960年代フランスの労働力としての移民の受け入れがあるのも事実だろう。

抑圧と差別が抵抗を生み、それに応じた空爆がテロを呼び、テロがより過激な空爆を呼ぶという憎悪の連鎖は、もう止めようがない。


パリのバタクラン劇場でテロリストに妻のエレンさんを射殺されたジャーナリストのアントワーヌ・レリス氏は、SNSでISに向けて、僕は君たちを憎まない。君たちの負けだと語りかけ、賛同を集めたが、レリス氏のように憎悪の連鎖を断ち切るすべを、人類はどうしたら学ぶことができるのだろうか。


エズラ・パウンドは、その晩年に「友人たちがいがみ合うとき/どうして世界に平和が訪れるというのか」と『詩篇(キャントーズ)』の「断片と草稿」に書いた。

少なくても私は、憎しみの言葉を自分の生活からそぎ落とし、追放していこうと思う。
posted by 城戸朱理 at 22:03| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする