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城戸朱理のブログ

2016年01月05日

冬の酒器

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去年は旅続きで、季節に合わせて酒器を選ぶ暇もなかったが、ようやく気持ちに余裕が出来たので、新年から常用するぐい呑みと徳利を選んだ。


ぐい呑みは、無地唐津の筒盃、徳利は古備前で、ともに桃山時代の作である。


唐津の筒盃は伝世品で、よほどの数寄者が愛玩したらしく、持ち歩けるように特注の仕覆と挽物に収められ、挽物の内側には金箔が貼られている。

ひと目で、私に負えるような値ではないのは分かったが、これだけの品と出会うことはもうあるまいと思案に思案を重ねて、結局、購入を決意した。


やや小振りで、持ちやすく、飲みやすい。

なんでもない盃だが、四百年を超えて愛玩されてきた古格をたたえ、手放しがたいものとなった。


徳利は古備前でも上作で、焼成も土味もよければ、肌もいい。

この徳利も愛蔵されていたようで、塗り箱に収められている。


桃山の古備前徳利は、底がヘラですぱっと切られており、口の内側にゆるやかな轆轤目が残る。

これが江戸初期になると、ヘラ切りのあと底部を指でならすようになり、口も内側まで指を入れて轆轤を回すので、轆轤目も消える。

柳田国男門下で民俗学の方法を応用して古備前研究に先鞭をつけた桂又三郎のあとを継ぎ、古備前研究の第一人者となった吉村佳峰によると、こと古備前に関しては江戸前期の作でも出来のいいものは、桃山と鑑定するのだとか。

陶磁器に関しては、それだけ、桃山時代に対する憧れが強いのだろう。


古備前の徳利と古唐津の筒盃は、酒徒垂涎の取り合わせとされている。

何も古備前ばかりが徳利ではなく、古唐津ばかりがぐい呑みではあるまいと、さまざまな取り合わせを試みてはみたが、やはり、先人の見立てには理由があるもので、結局、常用の酒器は、備前と唐津に落ち着いていくようだ。
posted by 城戸朱理 at 00:12| 骨董・工芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする