サーチ:
キーワード:
Amazon.co.jp のロゴ
城戸朱理のブログ

2017年03月03日

神田きくかわの鰻

IMG_5624.jpgIMG_5628.jpg



出光美術館で古唐津展を見たあとは、帝劇ビル地下の神田きくかわの支店に、みんなで行くことに。


昭和22年創業で、神田本店は、何度か行ったことがあるが、お重に入りきらないほどの鰻の大きさに驚いたものだった。

なにせ、お重の蓋を取ると、そのままだとお重からはみ出る鰻の尾が折り畳まれているほどなのだから。


鰻はふうわりと柔らかく仕上げられ、タレには、レンゲの蜂蜜を使っているそうだが、むしろ辛めで切れがいい。


まずはビールで乾杯し、鰻の腹身、肝焼きの串をもらい、冷や奴、玉子焼き、たこ酢、さらに鰻の白焼きを頼んで、菊正宗に燗をつけてもらう。


久保田潤さんは、画家ならではの視点で、絵唐津の線の魅力を語っていたのが印象深い。

石田瑞穂くんは、最近、十二代中里太郎右衛門作のぐい呑みを、唐津の人間国宝の作としては破格の安値で掘り出したそうだ。


出光美術館の会場には、小林秀雄と青山二郎が日本橋の骨董屋、壺中居で器を手にしている写真のパネルが展示されていたが、昭和の文学者と古唐津の関係に光を当てた展示に、みんな、感銘を受けていた。

小林秀雄が壺中居で手にしていたのは、絵唐津のぐい呑みである。


そして、鰻で飲みながら、なぜか話題は、すき焼きに。

瑞穂くんは、学生時代、友人とよく小津安二郎監督が得意だったカレーすき焼きをしたそうな。

カレーすき焼きは、小津安二郎監督が、高田高悟とともに茅ヶ崎館にこもってシナリオを書いているときに、来客にふるまったことで知られているが、煮詰まったすき焼きにカレー粉を加えたものだというから、見当がつかない。

傑作だったのは、遠藤朋之くんのすき焼きで、なんと遠藤家では、すき焼きと言えば、トマトとバジルに牛肉とわりしたを入れたトマトすき焼きなのだという。


そうこうするうちに、鰻重が来たが、久保田さんとバンビことパンクな彼女は、折り詰めにしてもらって持ち帰ったのだった。
posted by 城戸朱理 at 11:25| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

古唐津展@出光美術館へ行こう!

IMG_5676.jpg



『海賊と呼ばれた男』のモデルでもある出光佐三が収集した古唐津は、三百余点。

館蔵のコレクションで開催されている出光美術館の「古唐津――大いなるやきものの時代」は、13年ぶりの展覧会になる。

これだけの規模の古唐津展は、当分、観ることができないので、友人に声をかけ、2月25日(土)に、再び出光美術館に行くことにした。


集合したのは、石田瑞穂、遠藤朋之、久保田潤の三氏である。


まずは、入ってすぐの絵唐津柿文三耳壺(重要文化財)、ポスターや図録の表紙にも使われている名品だが、その予想外の小ささに久保田さんが驚く。

私も初めて見たときは、同じ感想を抱いたが、いい品というものは、写真だと実物より大きく感じるもののようだ。

ちなみに、図録の表紙には、絵唐津柿文三耳壺と、絵唐津松文大皿、奥高麗茶碗・銘「さざれ石」があしらわれている。


瑞穂くんとバンビことパンクな彼女が、奥高麗茶碗の前で、銘「曙」と銘「秋夜」の由来を検討しているかと思うと、遠藤くんは、展示コーナーごとの解説に感心しながら、見入っていたりする。


私は内覧会、講演会に続いて三度目だけに、小品を丁寧に見ていたのだが、斑唐津ぐい呑み・銘「残雪」などは実に面白かった。

「残雪」は筒状の、いわゆる「立ちぐい呑み」。

斑唐津は、失透性の藁灰釉薬をまとった器だが、古くは白唐津とも呼ばれたように、通常は器全体が白く、ときには、むらむらとした白雲のような上がりになる。

ところが、「残雪」は、窯中で焼き切られて、透明釉をかけたように胎土があらかた透けて見え、ところどころに、白い斑釉が残っている。

たしかに、銘をつけるなら「残雪」しか考えられないが、唐津の振り幅の大きさを示す作例だろう。


古唐津は、地味な焼き物だが、その奥深い魅力は、見る者を「壺中の天」に遊ばせるようでもある。


結局、閉館のアナウンスが流れるまで、古唐津の世界のなかにいた。
posted by 城戸朱理 at 10:31| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする