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城戸朱理のブログ

2018年08月15日

「詩人 吉増剛造展 涯ての詩聲」@松濤美術館

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8月10日は、翌日から開催される「詩人 吉増剛造展 涯(ハ)テノ詩聲(ウタゴエ)」の内覧会があった。


渋谷駅で、福島から上京した及川俊哉氏と待ち合わせ、酷暑のなかタクシーで松濤美術館へ。


足利美術館、沖縄県立美術館・博物館と巡回してきた吉増さんの展覧会も松濤美術館が最後になる。


展示は「 I 詩集の彼方へ」「II 写真を旅する」「III 響かせる手」の三部構成で、半世紀以上に及ぶ詩人の軌跡をたどるものだった。

一昨年に竹橋の国立近代美術館で開催された「全身詩人 吉増剛造 聲ノマ」展が、写真や映像、銅板や「怪物君」の原稿など、詩人のビジュアル作品を主体とするものだったのに対して、今回の巡回展は、詩人としての吉増剛造に焦点を当てるもので、文学館ならともかく、美術館としては異例の展覧会と言えるだろう。

また、吉増さんが言及したさまざまな表現者の作品や資料も展示されており、与謝蕪村の「山水図」や良寛の書を見ることができたのも収穫だった。



控室にうかがって、吉増さん、マリリアさんに御挨拶して、「幻を見るひと」の国際映画祭での受賞を報告する。


バンビことパンクな彼女は、なんと、吉増さんからカメラ好きなら知らぬ人のない名機GRを貰って、得意になっていた。
posted by 城戸朱理 at 06:59| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

こけち銀行???

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外泊が続くと、どうしても出費がかさむ。

すると、バンビことパンクな彼女がーー



「城戸さんにいつも出してもらってるから、次はこけち銀行が出そうか?」


「こけち」はバンビ語で「こけし」のこと。

しかも、銀行と言っているのは、バンビのお財布なのである。


「でも、こけち銀行はちっちゃいからね、あんまり沢山は出せないんだよ!」


当たり前である。

こけち銀行=バンビのお財布に入っているのは、バンビのお小遣いなのだから。


バンビ国は、すぐに財政破綻しそうになるし、こけち銀行は、すぐに残高ゼロになるから、注意が必要である。
posted by 城戸朱理 at 06:57| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月14日

隠れ家のような寿司屋で、その4

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シャリに乗りきらないウニのあとは中トロ。


そして、夏の寿司といえばこれという新子は、三枚付けだった。


玉子に煮上がりの穴子、そして鉄火巻きに納豆巻き。


日本酒をかなりいただいたものだから、私はご機嫌だったが、打ち合わせはすぐに終わってしまったので、あとは、ひたすら寿司三昧の時間となり、また、あの赤坂の寿司屋に行こうと約束したことだけは覚えている。


チケットをもらって、タクシーで鎌倉まで帰ったのだが、しこたま飲んだものだから、車中では熟睡してしまい、目覚めたら鶴岡八幡宮、すでに鎌倉市内だった。
posted by 城戸朱理 at 09:33| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

隠れ家のような寿司屋で、その3

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お任せの握りは白身から。

シャリは富山産コシヒカリの白米と聞いたが、玄米のようなぷちぷちした食感が面白い。

江戸前らしく、赤酢の酢飯である。


握りは小振りで、つまみながら飲むのにうってつけだが、軽く焙ったのどぐろなど、シャリの食感と相まって絶品だった。
posted by 城戸朱理 at 09:31| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

隠れ家のような寿司屋で、その2

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いい塩梅の自家製筋子も酒を呼ぶ。

4時間煮たというタコの柔らか煮は、もはや別次元のタコだったが、これは懐石料理の手法。


帆立の磯辺焼きが出たところで、ようやく友人が到着。


「いきなりですが、かっぱ巻きをお願いします。つまみながら飲みたいんで」と掟破りの巻物をオーダーしたので、大いに受けた。


そこで思い出したのは、池波正太郎のエッセイである。

池波さんは、タイトルを先に決めてから小説を書き出したそうだが、連載の締切が迫っているのにタイトルが決まらない。

なじみの寿司屋に寄ったものの、締切が気になって食が進まず、数貫握ってもらっただけで、巻物を頼んだそうだ。

ところが巻物が出たとたん、タイトルがひらめき、それから池波さんは心置きなく、再び握ってもらったのだという。


そのタイトルが「黒白(こくびゃく)」。

秋山小兵衛の若き日を描いた、人気シリーズ「剣客商売」の番外編である。
posted by 城戸朱理 at 09:07| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

隠れ家のような寿司屋で、その1

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「んふ!楽しみだなあ!

お寿司が待っているんだよ!」



打ち合わせをお寿司屋さんですることになったので、バンビことパンクな彼女が期待を募らせている。

有楽町駅からでも歩いていけるのに、銀座よりも手軽に楽しめる寿司屋を見つけたからと誘ってもらったのだ。

行きつけにしている人のために店名は伏せておく。


たどり着いたのは、ビルの上階にある隠れ家のような寿司屋。

少し遅れるので、先にやっていてくれという連絡が入ったので、まずはバンビと乾杯する。


料理は粗塩を軽く振ったフルーツトマトから始まった。

次は、バンビの好物の子持ち昆布。


皮目をよく焼いた太刀魚の塩焼きもビールに合う。

さらに毛蟹が出たので、バンビは大喜びしていたが、ここで日本酒にかえた。


「蟹身がぎっしり詰まってるね!」


そして、見事な鰹が出た。
posted by 城戸朱理 at 09:06| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鏡花の極醤油ラーメン

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打ち合わせまで時間があったので、バンビことパンクな彼女は次のロケの手配やワタリウム美術館のイベント「ビート・ナイト!」のための準備をしていたが、昼食はホテルから近い鏡花にラーメンを食べに行った。

泉鏡花「高野聖」を意識した店内は山家の雰囲気で、昼でも暗い。


頼んだのは極(きわみ)醤油ラーメン。


丁寧にとられたスープに小麦が香る平麺がからみ、チャーシュー、味玉、すべての具材の完成度がきわめて高い。

「ラーメンの鬼」佐野実の支那そばやも、凄い完成度だが、支那そばやが完成度の高いものが併存している感じなのに対して、鏡花は渾然一体となった感じなのだ。



「ここまでくると、ラーメンじゃない美味しい何かっていう感じだね!
つるっと食べちゃったよ!」とバンビ。


「つるっと」食べたのだから、やはりラーメンには違いないのだが、イノベーションが進み、見た目からして「これがラーメン? 」というラーメンが増えているなか、昔ながらのラーメンを徹底して突き詰めた一杯と言えるだろう。
posted by 城戸朱理 at 07:40| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月13日

鰻串で祝杯、その2

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ビールから日本酒にかえて、これまでの国際映画祭ノミネートの経緯などを聞いたのだが、「幻を見るひと」は、日本人ならば京都の美しい風景を背景にしたドキュメンタリーと思うが、海外だとアジアでさえ、きわめてエキゾチックな映像として見られているようだ。

それに関心を持ってくれるかどうかが、ノミネート、ひいては受賞の有無となって現れたように思われる。


肝焼き、そして短冊と串焼きは続き、短冊はタレと塩の二種類。

短冊の塩焼きはわさび醤油でいただく。


これで「ひと通り」は終わりなので、肝から半月状のレバーだけを指したレバー焼き、漬物や奈良漬のクリームチーズなどを追加して、飲みつつ語り合った。


締めは、鰻のひつまぶし。

これで2、3人前だが、う巻きが添えられているのが珍しい。

ひつまぶしは、そのまま食べてから、好みで鰻茶漬けにするが、半分ほど残ったので、折りにしてもらった。
posted by 城戸朱理 at 09:54| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鰻串で祝杯、その1

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試写が終わって、井上春生監督の受賞を祝うべく、うなくしに行った。

昼から夜まで通しで営業している店がほかになかったせいもあるが、井上監督は初めての「うなくし」である。


「幻を見るひと」は海外の映画祭で順調に受賞を重ねてきたが、ロサンゼルスのロイヤルウルフ・フィルム・アワードではドキュメンタリー長編部門で最優秀作品賞のみならず、最優秀監督賞、
マインドフィールド映画祭アルバカーキでは、ドキュメンタリー長編部門のプラチナ賞ばかりか、映画祭全体の監督部門の最優秀監督賞と、ふたつの監督賞を受賞したのだから、お祝いしないわけにはいかない。


まずは生ビールで乾杯。

突き出しはもずく。

最初にアボカドのサラダと冷やしトマトなど野菜を頼み、井上監督のリクエストで鰹、さらに帆立と締め鯖とお造りをもらう。

鰻屋だが、うなくしはお造りもいい。


「ひと通り」を頼んだ串焼きは、まず、くりから。

「うまい、これ!
何ですか?」と井上監督。

くりからは、その形が竜を思わせるところから倶利伽羅龍王(くりからりゅうおう)にちなんで名づけられた串焼きだが、鰻をさばいたときに余った身に串を打ったもので、塩焼きのため、鰻の風味がよく分かる。


続いて、ニラを鰻のヒレで巻いたヒレ焼き。

これは、くりからと並んで、蒲焼きとは違う鰻の味わいを、もっとも感じさせる串焼きかも知れない。
posted by 城戸朱理 at 09:52| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月12日

ビストロさいとうでオムライス

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ワシントンホテルにトランクを預け、昼食に向かったのは、ビストロさいとう。

バンビことパンクな彼女が「毎日でも食べたいね!」というオムライスを食べるためである。


私の顔を見るなり斉藤直樹シェフが「ナタリアさんが羽田に行く前にひとりで来てくれましたよ」。

なんとイギリスに帰国する前にナタリアは、ビストロさいとうに来たらしい。

何を食べたんだろう?

「オムライスです」
!!!


昨年、ナタリアに来てもらうとき苦手なものを聞いたら「生魚とオムライス」と言っていたのだが!?

ビストロさいとうのジャンボマッシュルームのオムレツをいたく気に入っていたので、オムライスも試してみたくなったのだろうか?


たしかにビストロさいとうのオムライスは本当に美味しい。

バターが香るオムレツにナイフをすっと入れると、半熟のオムレツがチキンライスを包みこむように広がっていく。

甘さを控えたケチャップライスにドミグラスソース、玉子が渾然一体となった大人向けのオムライスである。


ランチタイムは、サラダにコーヒー、デザートが付く。

今日のデザートはプリン。



「んふ。
一気に食べちゃったなあ!
プリンのカラメルが苦くて美味しいね!」


バンビは私より早く食べ終えたが、朝食抜きだったのでお腹が空いていたのだろう。

オムライスをドミグラスソースではなくケチャップで頼んでいたお客さんがいたが、シェフは客のリクエストをかなうかぎり聞いてくれるのが嬉しい。

オムライスをドミグラスソースではなくカレーで食べているお客さんもいたが、これは裏メニューとのこと。


「いつでも作りますよ」と斉藤シェフ。


次回に試してみよう。
posted by 城戸朱理 at 00:34| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

試写と祝杯

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8月6日は、二泊した神田淡路町のホテル・ベルケン神田をチェックアウトして、立川へ。

ビストロさいとうで昼食を取り、井上春生監督と落ち合って、ナタリア・ドーンをナビゲーターに撮影した番組の試写に臨む。

ナレーション原稿のチェックに時間がかかったが、4時には終わり、カフェで小憩してから、鰻の串焼きの「うなくし」で、「幻を見るひと」がアメリカの映画祭で四冠を達成したお祝いをすることにした。


ワシントンホテルに戻って、トム・クルーズ主演「バリー・シール/アメリカをはめた男」を見てから就寝。

翌日は、冷房の効いた部屋で作業を進め、夕方、打ち合わせのため築地に向かった。
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2018年08月11日

神田みますやで

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日暮里に向かう前に立ち寄ったのは、創業、明治38年(1905)の老舗居酒屋、みますや。


太平洋戦争のさなか空襲で焼けそうになったが、この店が焼失したら飲むところがなくなると、近所の人がバケツリレーで火を消し止めたという逸話がある。

「どぜう」と書かれた赤ちょうちんが、何とも気分だ。


私は生ビール、バンビことパンクな彼女はレモン酎で暑気払い。

頼んだのは、冬瓜の煮物、どじょうの丸煮、牛肉豆腐に名物の馬刺。

この店の馬刺は、都内屈指だと思う。


近所の常連とおぼしき人が、ひとりで入店し、締め鯖やヌタで飲んでいる様子が、実に渋い。

生ビールのあとは、日高見を二合だけもらったが、近所にあったら日参したくなる居酒屋だ。
posted by 城戸朱理 at 10:22| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

笠井叡「土方巽幻風景」公演へ

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日暮里のd-倉庫の「ダンスがみたい!」20の企画として、土方巽『病める舞姫』を、伊藤キム、黒田育世ら七組のダンサーが上演することになった。

その掉尾を飾ったのが、笠井叡による「土方巽幻風景」である。

8月4日が19:30から、5日が15:30と19:30からの3公演。

バンビことパンクな彼女と全3公演を見るべく、地球が発狂したような猛暑の東京に出かけた。


まずは、神田淡路町のホテル・ベルケン神田にチェックイン。

前日に急ぎの原稿2本を書き上げて送ったので、公演に専念できる。

日本最古の居酒屋みますやで軽く飲んでから日暮里に向かった。


「土方巽幻風景」は、笠井叡さんを始めとして笠井瑞丈、笠井禮示の笠井兄弟に寺崎礁、定方まこと、鯨井謙太郎(正しくは良扁に邑)と天使館のメンバーによるもので、白塗りはせず、黒のショートタイツ、ときに肌襦袢をはおってダンサーが踊るなか、笠井禮示だけが学生服で象徴的な役を演じた。

いつもの天使館の天上を目指すような垂直方向の動きではなく、重力を意識したかのような振り付けは、土方巽の舞踏を笠井叡流に解釈したものなのだろう。

公演は、異形の者の祝典と化し、吉岡実「僧侶」をダンサーたちが踊る。


最後に笠井叡が「ちょっと待った! きっかけが違うだろう! こっちは命がけでやってるんだ! と土方巽は言った」という言葉で幕を閉じた。


1回目は最前列左側で、2回目は最後尾右側で、最後は中央で見たのだが、後方から見ると全体の構成が見えてくるし、最前列だとダンサーの肉体の風圧を感じるし、やはり全公演を見たのは正解だった。


圧巻だったのは、残ったエネルギーをすべて振り切るかのような最終公演。

照明が落ちても拍手が鳴り止まなかった。


初日に野村喜和夫・眞理子夫妻にお会いしたが、詩人の姿がほかには見当たらなかったのが残念だ。

最終公演に遠藤朋之和光大准教授が合流できたのは何よりだったが。


公演終了後は打ち上げに参加させてもらって、興奮を抱えたままホテルに戻った。
posted by 城戸朱理 at 10:09| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北鎌倉の鉢の木で、その2

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お椀は、湯葉に金目鯛、白瓜。

湯葉がどっさり入っていて、食べ応えがある。

お造りは抜群に鮮度のいい鮪と帆立で、日本酒しか考えられない。


御飯は京都風に、実山椒入りのじゃこでいただくようになっていた。


水菓子はメロンのムースと西瓜である。


「お父さんは、この席にいられなくて悔しがっているかも知れないね」とバンビは言っていたが、苦笑するお父さんの顔が目に浮かぶようだった。
posted by 城戸朱理 at 09:56| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北鎌倉の鉢の木で、その1

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義父の四十九日は家族だけで営み、それから親類を招いて、北鎌倉の鉢の木で会食をした。

鉢の木はミシュラン・ガイドで星を獲得している精進料理の名店だが、お母さんとバンビことパンクな彼女が相談して、精進料理ではなく会席料理をお願いした。



鉢の木といえば忘れらないのは、東日本大震災のあとのこと。

鎌倉も計画停電で、家電が使えない時間帯があったが、それが夕方から夜にかけてだと炊事ができなくなる。

そんなとき、鉢の木さんは、北鎌倉の駅前で、炊事ができない人のために800円という価格でお弁当を売ってくれた。

お店で出すのとかわらないきちんとした取肴のお弁当だったので赤字だったのではないかと思うが、北鎌倉で半世紀続く老舗ならではの粋なはからいに助けられた人は少なくない。


まずは八寸。

会席だけに牛のたたきもあったが、胡麻豆腐と炊き合わせが嬉しい。

向付けの汲み上げ湯葉も絶品だった。
posted by 城戸朱理 at 09:54| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月10日

「みなみのかぜ」第4号

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熊本大地震をきっかけに、熊本にゆかりのある詩人たちが集う「みなみのかぜ」の第4号が刊行された。


参加同人は、村上由起子・麻田あつき・菊石朋・清水らくは・津留清美・平川綾真智・広瀬大志・豆塚エリ。


だが、必ずしも被災地の現状や悲嘆が語られているわけではない。

むしろ、大震災という日常の亀裂を見つめることで、非日常を生きるために紡がれた言葉なのではないだろうか。



村上由起子「再会」の第一連を紹介しておこう。


偽りの建造物が次々と
建てられてゆく
それを命じたのは私で
突き崩すのもまた私
全てが無になるまで
導かれてここに在る
打ち上げられたこの身を
怖れがふたたび包む時



「打ち上げられたこの身を」といった一行に、実は依るべない存在の本質が露出する。


平川綾真智による破天荒な作品「おつかい郵便」や力作評論「瀧村鴉樹と音声詩の越境」も読み応えがあった。


「みなみのかぜ」が運んでくるもの、それは危機に隣り合わせた私たちの生の息吹にほかならない。
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葬儀のアポリア



義父の四十九日を8月3日に執り行うことになった。

義父は自分の葬儀などの希望をノートに書き残しておいてくれたので、葬儀は義父の実家が四百年ほど檀家になっているお寺にお願いしたのだが、自分は無神論者なので、葬儀のあとはいっさい何もしなくていいと義父は書き残していた。

しかし、葬儀をした以上は仮位牌がある。

本来ならば、四十九日の法要で仮位牌から本位牌に御霊を移さなければならない。


義母が迷っていたので、家族だけで四十九日を営み、私がお経を読むことにした。

幸いなことに、仏教を研究する課程で、般若心経や真言は暗記しているし、僧侶の友人もいる。

石田瑞穂くんが真言宗智山派の智山勤行式を送ってくれたし、四十九日に詠む真言宗のお経を友人に教えてもらって、四十九日に臨んだ。



高齢化の影響で、葬儀は小規模・低予算化が進んでいるそうだが、その背景には葬儀社の不透明な価格設定や高すぎる料金に対する遺族の不満がある。

2012年に消費者庁が調査に乗り出してから、行政による葬儀社への警告は活発になったが、パックプランをうたいながら、さまざまなオプションで追加料金が発生するケースが多く、まだまだ不透明なところも多いらしい。

遺族はかなしむ余裕さえないというのが現実で、何のための葬儀か分からなくなる。
posted by 城戸朱理 at 08:45| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月09日

『現代詩文庫 和合亮一詩集』(思潮社)、ついに刊行!

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ゼロ年代以降の現代詩を強大な腕力で牽引してきた和合亮一の現代詩文庫が、ついに刊行された。

しかも241巻『現代詩文庫 続・和合亮一詩集』も刊行を控えており、『詩の礫』で、被災地からの声を世界に発した詩人の卓越した仕事が、ようやく通覧できることになる。


解説は、若松英輔、山田亮太氏に城戸朱理。

裏表紙(表4)の推薦文は谷川俊太郎さんによるもので、「前衛になった現実に、和合さんは詩で追いつこうと今日も頑張っている」という言葉には、思わずうなずいてしまった。


シュリアリスティックな疾走感は、和合亮一が切り開いてきた時代の先端の所在をこよなく示すものであり、戦後詩的な暗喩に依拠しないその作品群は、詩の未来を開示するものとなることだろう。


『現代詩文庫 続・和合亮一詩集』の刊行が待ち遠しい。
posted by 城戸朱理 at 13:37| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月08日

「幻を見るひと」、ベネズエラの五大陸国際映画祭で最優秀長編ドキュメンタリー賞受賞!

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アメリカで開催されたふたつの国際映画祭で、「幻を見るひと」が、ロイヤルウルフ・フィルム・アワードのドキュメンタリー長編部門の最優秀作品賞・最優秀監督賞、
マインドフィールド映画祭アルバカーキでのドキュメンタリー長編部門のプラチナ賞、映画祭全体の監督部門の最優秀監督賞と四冠を達成したことは、すでにお伝えしたが、井上春生監督の監督賞受賞をお祝いすべく、8月6日に祝杯をあげていたら、新たに嬉しい知らせが届いた。


「幻を見るひと」が、ベネズエラのプエルトラクルスで開催された五大陸国際映画祭で、ドキュメンタリー長編部門の最優秀作品賞を受賞したのである。


これは「幻を見るひと」の南米での初受賞となるが、受賞のお祝いをしていたら、新たな受賞の知らせが届くとは、いささか喜劇的な展開と言えなくもないが、ありがたいことである。



「幻を見るひと」の国際映画祭での受賞は、8月6日現在で下記の通り。


オニロス・フィルム・アワード(イタリア) オニロス金賞・伝記映画部門最優秀賞

ピナックル・フィルム・アワード(アメリカ) ドキュメンタリー長編部門プラチナ賞

ロイヤルウルフ・フィルム・アワード(アメリカ) 最優秀監督賞・ドキュメンタリー長編部門最優秀賞

マインドフィールド映画祭アルバカーキ(アメリカ) 最優秀監督賞・ドキュメンタリー長編部門プラチナ賞

五大陸国際映画祭(ベネズエラ) ドキュメンタリー長編部門最優秀賞



これまで、8つのトロフィーを獲得したことになる。


「家、狭いんでトロフィーを置くところがないんですよ」と井上監督。

受賞は慶事とはいえ、思いがけない悩みが生まれたりもするようだ。


年内の国内公開を目指して、現在、調整中だが、決まり次第、このブログでもお伝えしたいと思っている。
posted by 城戸朱理 at 11:21| Edge | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月07日

大学院生との会食

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女子美大学院の授業は7月28日で終わったが、休講した分の補講が31日にあった。

これで、前期の講義がすべて終わったので、受講生と会食する。


相模大野のISETANのレストランKIHACHI、和食の食材をイタリアンに生かす熊谷喜八シェフの店である。


前菜を待つとき、院生から出た質問には考えさせられるものがあった。



「先生、20世紀の世紀末の終末感と、今の終末感だと、どちらが強かったんですか?」



20世紀末の終末感は「ノストラダムスの大予言」を始めとして、サブカルチャー的な色合いが濃かったが、今日のそれは天災から政治的混乱、そして戦争の予兆など、きわめてリアルなものである。

何よりも、大学院にまで進んで美術を学び、制作に励んでいる若い院生まで、現実の世界に対して終末感を強く感じているということは、それだけ危機的な状況が可視域にまで浮上していることを示すものなのだろう。


教室とは違って、こうした話を聞けるのが貴重である。



料理は、前菜3種盛合せのあとパスタ。

私は、ウニのトマトクリーム・スパゲティーを。

主菜は、牛リブロースのグリル、バルサミコ・ソースをみんなが選んだ。


ドルチェは、ジンジャー風味のクレーマ・カタラーナで、逸品。



大学院生でも世紀末を迎えたとき、まだ生まれていないので、彼女たちは世紀末を知らないわけだが、この四半世紀の変化には、慄然とするものがある。
posted by 城戸朱理 at 11:03| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする