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城戸朱理のブログ

2019年11月07日

再び、藤沢の昇へ、その2

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ここからは、ゆっくりつまみながら飲むべく、バンビと相談して、タコの唐揚げ、さらにジャガイモの唐揚げ・アンチョビバターと里芋饅頭を頼んだ。

しかし、バンビはやはり飲むのよりも食べるのに夢中である。


タコの唐揚げは柔らかく味わい深く、ジャガイモのアンチョビバターの風味はビールか白ワインに合いそうだったので、ビールも追加。

素晴らしかったのは里芋饅頭で、鴨肉の餡を里芋でくるみ、出汁が張られている。

鴨肉の濃厚な旨みがまったりとした里芋と相まって、日本酒が進んだ。


さらに、バンビが焼鳥を食べてみたいと言うではないか。

昇の焼鳥は、もも肉一枚を丹念に焼き上げたもので、塩かタレが選べるが塩で焼いてもらった。

鶏自体がいい肉なのだろうが、皮はパリッと、肉は口のなかで肉汁がほとばしる。


「凄いよ!
皮がパリッとして、とても美味しいよ!
これは熱いうちに食べなくっちゃ!」


そして、その結果ーー


「んふー、お腹がぽんぽんだよー」


バンビは食べ過ぎで、お腹がぽんぽんになり、帰宅するやいなや、ころりと寝てしまったのだった。

パンクだから仕方がないが、いいのだろうか、これで?
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再び、藤沢の昇へ、その1

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パリで開催される「日本のヴィジュアル・ポエトリー」展に出展する作品の制作を終え、11月2日の講演「乱世の言霊 大伴家持」も盛会のうちに終えることができた。

新保裕司・智子夫妻や澁澤龍子さんもいらして下さったが、講演のとき、知り合いの顔が見えると私はやりやすくなる。

一昨年に島崎藤村を語ったときなど、藤沢周氏が来てくれたので、藤村が影響を受けた北村透谷のことを藤沢さんに話を振って語ってもらったりしたっけ。

当日はレジュメ6枚を配布して、お話をさせていただいたのだが、やはり90分では時間が足りなかったので、最後は駆け足になってしまったが。


打ち上げのあとは、若宮大路のスポーツ・バーでラグビーW杯決勝戦、イングランドvs南アフリカを観戦。

初戦でニュージーランドに破れた南アフリカが、ニュージーランドを撃破したイングランドを下して優勝したが、このあたりのティア1(伝統国)は実力が伯仲しており、どの国が優勝してもおかしくないし、どの試合も凄い。

さすがに疲れを覚え、3日は外食することにした。


今年は鎌倉にいる時間が取れるようになったおかげで、私が料理をすることが増え、外食する機会が圧倒的に減ってしまったものだから、バンビことパンクな彼女が久しぶりの外食を喜んでいる。


バンビと相談して、藤沢の昇に行くことにした。


まずはエビスの生で乾杯する。

突きだしは、栗豆腐、大豆とコンニャクと鰹の煮物、食感のいい隼人瓜の白和え、株とサーモンの押し寿司。

定番のおからと牛筋の塩旨煮をもらって、三陸産の生牡蠣。

ここで日本酒にかえ、お造りはイカに鰹の塩叩き。


「んふ、どれから食べようかな。
このイカ刺しは、甘みがあって本当に美味しいね!」


バンビは飲むのも忘れて、ひたすら食べている。

今年はイカが不漁で値段も高騰しているが、板前さんによると、北朝鮮の漁船の乱獲が原因らしい。


「食べるのに夢中になっちゃったなあ!
ゆっくり食べよう!」


入店して30分ほどで、注文した料理をあらかた食べ尽くしてしまったのである。
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2019年11月06日

『文選』全6巻(岩波文庫)

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昨年1月に第一巻が刊行されて以来、私の座右の書となっているのが『文選』だ。

中国の南北朝時代、梁の昭名太子によって編まれた隋唐以前の中国古典の精髄であり、春秋戦国時代から梁まで、文学者131名の詩・賦・文章を収録している。


清少納言『枕草子』には「文は文集、文選」という一節があるが、唐代の詩人、白居易(白楽天)の詩文集である『白氏文集(もんじゅう)』と並んで、『文選』はわが国の平安文学に大きな影響を与えた。

中国においては、隋唐から清時代まで、およそ1300年にわたって、官僚登用試験として科挙がおこわなれたが、これは詩文の試験であり、『文選』は必須の教養とされ、唐の大詩人、杜甫も『文選』を愛読したことが知られている。


むしろ、今まで岩波文庫に入っていなかったことが不思議なほどだが、昨年の1月から今年の6月までで全巻が刊行されるという異例のスピードで完結を迎えたので、長年にわたって準備が進められてきたのだろう。


新元号「令和」が『万葉集』の大伴旅人、山上憶良らの「梅花の宴」からとられたことが話題になったが、同時にそれは『文選』に収録されている張衡『帰田賦』を踏まえたものであり、
わが国でも人気が高い『三国志演義』で、魏の武帝、曹操が赤壁の戦いを前に歌ったことになっている「短歌行」や、蜀の丞相、諸葛亮(諸葛孔明)が蜀帝、劉禅に奉った「出師の表」も収録されている。

屈原「離騒」、曹植「洛神賦」、陶淵明「帰去来の辞」など馴染み深い名篇もあるし、6人の訳編者には、若いときに交流があった浅見洋二氏が名を連ねているのも感慨深い。
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ストーンクラブの週末

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振り返ってみると、7月から食事の準備は、ほとんど私がやっている。

バンビことパンクな彼女はすっかり味を占め、ちょこんと座って料理が出来上がるのを待っているようになってしまった。


ブロッコリーやアスパラガスを茹で、茄子を焼き、ピーマンを炒め、カボチャをそぼろ餡かけにするなど、野菜がつねに4、5品並ぶのだが、バンビが「野菜ばっかり食べてるとウサギになっちゃうよ!」と不満顔なので、厚切りの豚ロース肉を味噌漬けにしたり、ステーキを焼いたり、ぶりを幽庵焼きにしたり、なにかしら肉か魚の主菜も作るようにしている。


バンビが久しぶりに蟹を食べたくなったらしく、ストーンクラブを取り寄せたので、週末は久しぶりのストーンクラブでささやかな宴会となった。


ストーンクラブ(石蟹)は、天敵のタコから身を守るためハサミが異様に発達しており、ハサミだけを収穫して海に放すと、またハサミが生えてくるのだとか。

殻は石のように硬く、木槌で割って供する。


この日はバンビが準備してくれたのだが、ストーンクラブには溶かしバターとレモン、あとはトーストとシャンパンがあれば何も言うことはない。

バンビが、アボカドやルッコラのサラダにフルーツも整えてくれた。


ストーンクラブは日本のずわい蟹や毛蟹のような繊細さこそないものの、豪快な旨さで、とりわけ溶かしバターがよく合う。


「んふ! やっぱり美味しいね!」


今年は1月に福井で越前蟹を、5月にハワイでダンジネスクラブを食べたが、ストーンクラブには、また違った味わいがあって楽しい。
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2019年11月05日

「現代詩手帖」と「詩と思想」11月号

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「現代詩手帖」と「詩と思想」の11月号が届いた。

「現代詩手帖」は「瀧口修造、没後40年」と「追悼・長谷川龍生」の二本立ての特集、「詩と思想」は特集「詩人・画家の死生観」で、私は「現代詩手帖」に長谷川龍生さんの追悼文を寄せ、「詩と思想」の特集の座談会に参加している。


「瀧口修造コレクション」が刊行される前、私は『現代詩読本 瀧口修造』の著作一覧のコピーをいつも持ち歩き、古本屋で、単行本のみならず瀧口さんが寄稿した雑誌まで探して歩いたほど瀧口さんの仕事に敬意を抱いていたので、「現代詩手帖」の瀧口修造特集が実現したのは、本当に嬉しい。


また、高校時代、私は詩を書き始めるとともに「ユリイカ」に投稿を始めたのだが、そのときの選者が長谷川龍生さんだった。

そして、長谷川さんに「新鋭詩人」に選んでいただいたのが今日に至る発端となったわけだから、その長谷川さんの追悼文を自分が書くことになったのも、感慨深いものがある。


一方、「詩と思想」の特集の巻頭座談会は小川英晴さんの司会で、ジャーナリストの徳山喜雄さんと私によるもの。

徳山さんが語る死と隣合わせた戦場取材のことや、闘病生活のはてに3月に亡くなられた奥さんの和美さんをめぐる小川さんのお話には深い感銘を受けた。

「詩と思想」には、私の学生時代からの詩友である田野倉康一氏も寄稿しているが、かつての「詩と思想」と「現代詩手帖」の対立としか言えない関係を思うと隔世の感がある。


今年の第30回歴程新鋭賞では、永方佑樹『不在都市』、佐々木貴子『嘘の天ぷら』、おふたりの受賞が決まったが、永方さんは第22回、佐々木さんは第26回の「詩と思想」新人賞を受賞されている。

歴程新鋭賞は、どちらかと言えば「現代詩手帖」寄りの詩人が受賞する傾向があったが、こうしたところからも、かつての垣根がなくなりつつあるのを感じる。

また、詩歌・評論と文学の諸領域をともに深めながら、旺盛な活動を展開する山崎修平氏が、SNSで「現代詩手帖」「詩と思想」両誌の12月号の「展望」の原稿依頼を受けたことを語られていたが、これも、今日の詩壇の有り様を示す出来事なのではないだろうか。

こうした動きは歓迎すべきことだと思う。
posted by 城戸朱理 at 03:14| 詩誌・詩集評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月04日

湘南の居酒屋・昇、その2

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鰯のつみれは品よく味が澄み、酒を呼ぶ。


ニンニクを揚げるいい匂いがしてきたので、バンビことパンクな彼女が「んふ。何のお料理かな?」と興奮していたら、それが鰹の塩叩きだった。

鰹の表面を炙って、大根やミョウガがどっさりと乗っている。

味はついているので、かぼすを絞っていただくのだが、野菜と一緒に食べる鰹は、単純にお造りとは言えない別の料理になっていた。

箸休めに栗の渋皮煮をもらって、最後に松茸の土瓶蒸しを。

名残の鱧と走りの松茸を味わいながら、杯を傾けた。


「板前ダイニング」をうたうだけあって、居酒屋の水準ではない。

バンビは「京都にいるみたいだよ!」と喜んでいたが、値段は居酒屋のそれである。
posted by 城戸朱理 at 14:55| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

湘南の居酒屋・昇、その1

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酒好きの間で「日本一の居酒屋」と呼ばれているのが、大塚の江戸一。

酒は、灘の白鷹が江戸一のために仕込んだ二年古酒、褒紋正宗を夏でも燗で。

大塚時代の田村隆一が日参した店だが、「東京人」で田村さんと江戸一の女将さんが当時を回想する対談をしたことがあったっけ。

たしかに、素晴らしい居酒屋だが、私は言語学者の前田英樹さん、テレコムスタッフの清田素嗣さんと行ったのが最後で、長らく行っていない。


一方、湘南で居酒屋というと、私が知るかぎりでは藤沢の久昇(きゅうしょう)が最高だった。

干し海老やイカゲソが入ったおからや牛筋の塩旨煮、お造りもよければ締めの親子丼も美味い。

江戸一より庶民的な店で、チューハイやらサワー類もある。

料理にも、ひと工夫あって、アンキモのマデラ酒ソース、松茸と鱧のにゅうめんといった季節メニューもあった。

藤沢周氏と鎌倉を離れて久昇で落ち合い、開店から閉店の時間まで飲んだことも一度や二度ではない。


ところが、連日賑わっていたのに、久昇は2017年10月に閉店してしまった。

残念に思っていたところ、久昇の料理人の方々が何店舗かで新たに営業しているのを知った。

そのうちの一軒が、板前ダイニングをうたう「酒魚彩 昇(しょう)」。


9月28日、ラグビーW杯、日本vsアイルランド戦のあとで訪れたのだが、かつての久昇の味を引き継ぐだけではなく、さらに私好みの店になっていた。


栗豆腐、菊花・春菊・茸、柿の白和え、生ハムの押し寿司と、突きだしからして手がこんでいる。

ビールは「赤星」ことサッポロのラガー。

おからと牛筋の塩旨煮は、かつての久昇の定番だが、これは変わらぬ美味さ。

日本酒の品揃えも新政、赤武、春鹿など、充実しているのが嬉しい。
posted by 城戸朱理 at 14:54| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

誰がための散歩???

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「今日はお散歩に行くのかな?」

なぜか、今年の新年から、バンビことパンクな彼女がやたらと散歩に行きたがるようになった。

初詣に行った鶴岡八幡宮で、バンビは「お神酒をちゅーっと飲むんだよ!」と、お神酒をいただいていたが、初詣でさえ、主たる目的は「ポケモンGO」。

それ以来、歩き回ってポケモンを捕まえ、「たまご」を孵化させ、さらにジムでバトルするために、私が散歩に連れ出されるようになっとしまった。

私の後ろを歩いていれば、安全にポケモンGOに熱中できるからである。

困ったものだが、散歩は私の日課なので仕方がない。


バンビはイーブイを進化させたシャワーズやブースターをジムに置いて戦わせていたのだが、どちらも小さい。

丸々としたカビゴンを捕まえたかったのだが、カビゴンはレアなポケモン、滅多に出てこないから捕まえられないのがバンビの悩みだった。

ようやくハワイで一匹捕まえて喜んでいたところ、その後、日本でも大発生したので、捕まえまくり、今度はカビゴンだらけになってしまった。

しかも、カビゴンに「鎌倉文士」という名前をつけて、ジムで戦わせているではないか。


ここまで書いたところで、隣室から「ピカチュウ!」というバンビの声が。

ハロウィーンの時期は、仮装したピカチュウが出るので、最近はピカチュウばかり捕まえている気配がある。

パンクだから仕方がないが、より厳重な注意が必要である。
posted by 城戸朱理 at 14:43| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月03日

鎌倉のイタリアン〜コモバールで、その2

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すでに智子さんのサンドウィッチをいただいているので、そんなには食べられない。

この日の地魚のパン粉香草焼きは舌平目、それに
スルメイカのフリットを。

少しずつ取り分けていただいたのだが、舌平目は龍子さんの好物らしい。

私も好きで、ときどき料理するのだが、簡単にムニエルにしてレモンバターソースか、少し凝るときはデュグレレ風にする。


ピエモンテ地方では、パスタは生。

コモバールでは、この日、自家製パスタは平打ちのタリアテッレとニョッキがあったのだが、新保さんのお勧めのふた皿を。

ボルチーニ茸のパスタ(写真なし)とカラスミのパスタである。


ボルチーニ茸の味わい深さは言うまでもないが、イタリア産カラスミ、ボッタルガをたっぷりとすりおろしたパスタの豪勢さはどうだろうか。

バンビと私は京都の「ごだん宮ざわ」のカラスミ蕎麦やカラスミの飯蒸しを思い出したが、今年は京都に一回しか行っていないので宮澤政人さんの料理にも御無沙汰している。

これは「ごだん宮ざわ」ロスかも知れない。

コモバールのカラスミのパスタが、しばし渇きを癒してくれた。


白ワインのボトルが空いたあとは、シェフお勧めの赤ワインをグラスでいただき、新保さんが「あのリンゴのはないの?」と黒板にないドルチェをシェフに尋ねたら、あったのである、それが。


新保夫妻のお気に入りは、酸味の強い紅玉のタルトで、ピスタチオのセミフレッドが添えられ、リンゴ風味が生かした逸品だった。


コモバールの料理は、素朴で盛付けも無造作だが、バールはイタリアの居酒屋だから、気軽に利用できる店らしく、会計も居酒屋より安いくらいである。


今年は、鎌倉にいる時間が圧倒的に増えたおかげで、こんな時間が持てるのが嬉しい。
posted by 城戸朱理 at 11:48| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鎌倉のイタリアン〜コモバール、その1

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新保裕司、智子夫妻から、北イタリアのピエモンテ料理を出すイタリアンに澁澤龍子さんにもお声がけして、一緒に行こうという誘いがあった。

去年、大町で開店したようだが、私の生活圏から外れているので、気づかなかった。


10月25日の6時に新保邸に集合することになったのだが、幸い台風21号がもたらした豪雨も午後には上がったので、バンビことパンクな彼女とタクシーで鎌倉駅へ。

この日はちょうど、バンビが注文していたストーンクラブ(石蟹)が午前中に届いたので、人数分を持参、新保邸に行く前にレモンを調達する。


新保邸では、智子夫人がピクルスやタコの薫製、それにサンドウィッチを用意してくれていた。

文芸評論家の新保裕司さんは、まだ都留文化大学の副学長をされていて、忙しさは変わらないようだが、長年、銀座MIKIMOTOのデザイナーとして銀座店のウィンドウディスプレイを手がけてきた智子さんは、退職されてから余裕ができたらしい。

龍子さんの到着を待ち、ワインを空けて乾杯する。

ストーンクラブの大きさに「あれは何?!」と龍子さんが驚いていたが、溶かしバターとレモンで食するストーンクラブは格別である。


この日は、かねてから新保さんが、その素晴らしさを力説していたハンス・クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘンフィルによるブルックナーの交響曲第8番第4楽章のティンパニを新保さんの解説とともに、みんなで聴き入った。

私にとっても高校時代からの愛聴盤だが、ライヴで本領を発揮するクナッパーツブッシュにしては珍しく、スタジオ録音の名演である。



ワイン2本を空けてから、お目当てのイタリアン、コモバールへ。

カウンター10席だけの小さなイタリアンで、オーナーシェフの古室幹夫さんかひとりできりもりしている。

古室さんはイタリアで10年以上、修行された方なのだとか。


新保夫妻のお勧めでメニューを決めたのだが、前菜はうずら豆のツナソースとラタトゥイユ。

自家製のパンが美味しい。

チーズの盛り合わせには、煮リンゴと蜂蜜、レーズンを添えられている。

白カビのパエリーナ、青カビのゴルゴンゾーラ、山羊のペコリーノなどだが山羊乳のロビオラが素晴らしかった。

それにしても、チーズに蜂蜜はよく合う。


鎌倉でも鶴岡八幡宮で養蜂をされている方がいて、この蜂蜜の香りが花のようで素晴らしいのだが、残念なことに市販されていない。

バンビが友人からもらってきたことがあるのだが、ごく少量が残っているだけである。
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2019年11月02日

ライフラインが絶たれると



ノーベル賞を受賞した生物学者の利根川進博士によると、現代の日本人の生活は奴隷50人にかしずかれているようなもので、それを生物の基礎代謝に換算するなら、体重20トンの中型恐竜に相当するそうだ。

たしかに、冷蔵庫や洗濯機、掃除機にエアコンと、私たちの生活は電化され、便利なものになった。


冷蔵庫に炊飯器、電子レンジや食洗機といった家電がなければ、炊事の手間はたいへんなものになるし、洗濯機がなくて、すべて手洗いしなければならないとしたら、私たちの生活は、仕事と家事に追われ、余暇などまるでなくなってしまうことだろう。

しかし、それだけに、地震や台風、豪雨といった天災で停電に見舞われると、暮らし自体が、まったく成り立たなくなる。

断水していなかったとしても、3階以上の建物なら、電動のポンプで屋上のタンクに汲み上げてから各部屋に回す仕組みなので、水道が使えない。

炊事や入浴はもちろん、トイレまで使えなくなる。


現代的な設備の家ほど、災害に弱く、ライフラインが絶たれると不便になってしまうという逆説のなかに、私たちの生活はある。


戦前であれば、都市部を除いて、井戸で水を汲み、薪で煮炊きをしていたわけだから、災害時の復旧は、今より早かったのではないだろうか。


東日本大震災のときは、鎌倉も停電したが、鎌倉は都市ガスではなくプロパンガスなので、ガスは点検のあと、すぐ使えるようになった。

都市ガスだとしたら、配管に損傷がないか点検が必要となるので、ひと月はガスも使えなかっただろう。


地球上の地殻エネルギーの10%が集中する地震大国のうえに、台風や豪雨といった天災に絶え間なく見舞われる日本のような国では、ライフラインをありようも考え直す必要があると思う。
posted by 城戸朱理 at 12:37| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月01日

「レジブクロ」という名の革製バッグ

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衣類やレジ袋、食品の包装やトレー、食器から歯磨き粉、化粧品に至るまで、私たちの生活の至るところでプラスチックが使われている。

そして、プラスチックは廃棄すると微細に砕けていくだけで、半永久的に消滅することがない。

1mm以下のマイクロプラスチックになって、風に舞い、海洋を汚染していく。

マイクロプラスチックによる海洋汚染が生態系の破壊につながることが意識されるようになってから、世界的にプラスチックの使用量を減らす取り組みが始まっているが、
年間で900万トンのプラスチックゴミを出しているにもかかわらず、日本は、欧米に比べて明らかに対応が遅れている。

このまま、マイクロプラスチックの海への流入が止まないと、2050年には、海の全海洋生物を、海中のプラスチックの重量が凌いでしまうという試算もあり、マイクロプラスチックは、今や地球温暖化と並ぶ環境問題になっている。


日本ではまだスーパーでもコンビニでも、当たり前のようにプラスチックバッグが使われているが、エコバッグを持つとしても、プラスチック製では環境破壊の元になってしまう点で変わりはない。

布製を選ぶしかないが、薄手の布のバッグは貧相だし、革製となると小さくたたんで携帯することができない。


そんなときに出会ったのが、RENのバッグだった。

日本のブランドであるRENは、独自の加工法やカラーリングのオリジナルレザーのピッグスキン(豚革)やゴートスキン(山羊革)を使った革小物とバッグの工房で、とりわけ、革のなかでも、もっとも軽くしなやかなピッグスキンを使ったバッグは独特の風合いを持つ。

丸の内にもショップがあるのを知って、東京に出かけたときに寄ってみた。

消費税増税前に購入したのは、写真の豚革バッグで、商品名はなんと「レジブクロ」。

たしかにレジ袋と同じ形をしている。

エコバッグをいつも持ち歩いているバンビことパンクな彼女も欲しそうにしていたので買ってあげることにしたのだが、バンビには白を、私は黒を選んだ。


豚革は軽いだけではなく、使い込むにしたがって、馴染んでくったりと柔らかくなっていく。

「くったり」としか言いようのない柔らかさになるのだが、実にいい風合いになる。

丸めてバッグのなかに入れられるので、エコバッグとして使うだけではなく、大量に本を持ち運ぶときのサブバッグにもなるだろう。


豚革は唯一、国内で自給できるレザーだが、牛革や馬革に比べると傷が多く、個体差も激しいため、高級品には使われない。

それを逆手に取って、革本来の風合いを生かした物作りをしているところが面白い。

おまけに「レジブクロ」という商品名、洒落が効いているではないか。
posted by 城戸朱理 at 12:38| 骨董・工芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする