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城戸朱理のブログ

2019年11月15日

雨の日には履けない革靴~MOTOのコードバン、チャッカブーツ

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「革のダイアモンド」と呼ばれるコードバンは農耕馬の臀部の革で、生産量が少なく、カーフより強靭とされながらも、靴となると雨の日には履けない。

奥深い艶と光沢がコードバンの特長で、スムースレザーのようにしか見えないが、実はスエードやヌバックと同じ起毛革で、起毛を無理矢理寝かしつけることで、濡れたような輝きが生まれる。

だから、本当に濡れると毛羽だってしまうのだが、強靭なのに雨に弱いのだから、困った靴である。


だが、履く人の癖に合わせて波打つように深く刻まれる皺と、磨くほどに輝きを増すコードバンに魅せられた愛好家は多く、ホーウィン社のコードバンを使ったアメリカのオールデンの靴に憧れる人も少なくない。

オールデンの愛好家は、天気予報の降水確率をにらみながら、履く日を決めるようだが、たしかに困った靴である。

梅雨時には履けないし、夏はゲリラ豪雨の危険性が高いので、履くのがためらわれる。

旅行には履いていけないし、秋から春にかけて、晴天のときだけ持ち出すことになるが、何が悲しくて、こんな靴を買ってしまったのだろうと思いながらも、眺めているだけで嬉しいのだから、どうしようもない。


コードバンのタンナーは、シカゴのホーウィンと日本の新喜皮革が双璧だが、原皮はヨーロッパ製。

コードバンの靴は、ヨーロッパよりもアメリカで好まれるらしい。

ちなみに、日本では栃木と姫路にタンナーが集まっており、栃木レザー、姫路レザーとして名高いが、新喜皮革は馬革専業で、姫路のタンナーである。


日本でも、Makersを始めとして、コードバンの靴を手がけるメーカーは増えてきたが、染色していないナチュラル・コードバンを使ったchausserと並んで、もっとも独創的なのがMOTOの靴だ。

コードバンと言えば、艶が生命なのに、なんと艶出しの行程、グレージングを省いたマットな仕上がり。

アンチグレージングの素上げのコードバンを手染めして仕上げるMOTOのコードバンの靴は、少々の雨なら平気というあたりも素晴らしい。

しかも、新品の段階ですでに深い履き皺が入っている。

長年、エイジングしてきたような風格があるが、これが履き下ろし前の新品。


MOTOのコードバンは、履き込むとともに磨き上げ、コードバンらしい艶を出してもいいし、マットなまま履き続けることもできるが、エイジングを楽しむ靴として、実によく出来ている。

消費税の増税前に、という呪文を唱えながら買ってしまったが、これが私が買う最後のコードバンの靴になるだろう。

いや、そもそも、もう靴は買わないはずではなかったのか?(自問)
posted by 城戸朱理 at 13:11| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする