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城戸朱理のブログ: 京都の古書市で買った本

2008年11月02日

京都の古書市で買った本

関東大震災と太平洋戦争で、
あらゆるものが焼けてしまった東京と違って、
戦災にあっていない京都では、
古いものが、いまだに生き残っている。

そして、本もまた例外ではない。

知恩寺の「秋の古本まつり」を歩いても、
そのことは、強く感じられた。

青空古本市だというのに、戦前の本や
江戸時代の和綴じ本まで並ぶ光景は、
東京では、決して見ることができないものと言えるだろう。

百円均一の棚から始まって、会場を歩き回り、
私が求めたのは、次のようなものである。

石川淳『夷斎小識』(中央公論社)、昭和46年・初版。

井伏鱒二『小黒坂の猪』(筑摩書房)、昭和49年・初版。

この2冊は、ともに百円。
小説の名手によるエッセイ集である。

ロアルド・ダール『オズワルド叔父さん』(早川書房)、
昭和58年・初版、田村隆一訳。

この一冊は2百円均一から見つけた。

田村隆一訳ロアルド・ダールといえば、
『チャーリーとチョコレート工場』の名訳があるが、
こちらは、大人のためのエロチックなメルヘン。

西脇順三郎『あざみの衣』(大修館書店)、昭和36年・初版。

西脇順三郎のエッセイ集。1500円。

これは、すでに持っているが、
安かったので、求めた。
いずれ、誰かにプレゼントしよう。

岩倉具忠訳註『ダンテ俗語詩論』(東海大学出版会)、
昭和59年・初版。4000円。

学術語であったラテン語ではなく、
イタリア語のトスカーナ地方の方言で、
『神曲』を書いたダンテによる詩論。

すでに図書館で読んではいるが、
いずれ手元に置こうと思っていた一冊。

増谷文雄『阿含経典』(筑摩書房)全4巻。6000円。

阿含(あごん)経典は、釈尊の言行をとどめる
初期仏教の経典群だが、
それを増谷文雄がパーリ語原典から口語訳したもの。

この経典群なしには、釈尊の思想も仏教も
理解することはできないのは言うまでもない。

中村元訳の岩波文庫で、主要なものは読めるが、
増谷文雄訳も参照してみたいと思って、購入した。

以上8冊。資料として求めたものや、
関心があるものを求めたのだが、
石川淳と井伏鱒二のエッセイ集あたりをのぞくと、
いささか面白みのないセレクトで、
やはり、もの書きの買い物という気がする。

それにひきかえ、林哲夫さんや、
その仲間たちが選ぶ古本は、
『ナマコとウニ』とか(!)、
団地生活の入門書の『ホーム・ガイド』とか
ユニークな本ばかりで、
視点が違うのが、面白かった。

しかし、自分が関心をもって求めたものや、
資料や書評用、そして献呈本と、一年に2千冊を超えるペースで、
本が増え続けているわが家で、
私が『ナマコとウニ』まで手を出し始めたら、
足の踏み場さえなくなるのは、
火を見るよりも明らかである。

あと、私がアスタルテ書房で求めたのが、
富澤赤黄男の句集『天の狼』復刻版(沖積舎)。

これは昭和16年に刊行された前衛俳句のモニュメントを
復刻したもので、350部の限定版。


蝶堕ちて大音響の結氷期


赤黄男(かきお)のこの一句は、
俳句が現代詩でもあることを
高らかに宣言したものと言っていい。

平成16年に出た本だが、現物と出会うまで、
刊行されたことさえ知らなかった。

古本屋では、そういう本と出会うことがあるのが面白い。

結局、以上の9冊を京都で求めたのだが、
かなりの重さになるため、
ルイ・ヴィトンのボストンバッグに詰めて、
宅急便で送り出した。

荷重50s以上に耐えられる鞄は、
ルイ・ヴィトン以外には、そうないが、
ジョージ・クルーニー主演の映画「スリーキングス」では、
金塊をヴィトンに詰めて、運ぶシーンがあったっけ。

本好きは、金塊ではなく、
本を運搬するために、ひたすら頑丈な鞄が必要なのである(?)。
posted by 城戸朱理 at 08:27| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする