
私の住まいから近い自動車販売店を会場にして、
年に何度か、フリマをやっている。
出店しているのは、主婦の方々なので、
並んでいるのは、婦人服やらバッグがメインなのだが、
子供服や頂き物の箱に入ったままの
未使用のグラスや食器類なども並ぶ。
別に欲しいものもないが、
フリマというのは、他人の家のなかを覗くような
不思議な感覚があって、奇妙な気分になるものだ。
日曜日にフリマをやっていたので、
覗いてみたら、子供服やディズニーのビデオと一緒に、
絵本が並んでいるブースがあった。
しかも、ひと目でそれと分かる
井上洋介の絵本があるではないか。
百円だったので、
さっそく求めたのだが、
それが、写真の『おどりのすきなとら』(太平洋出版社)である。
作・松谷みよ子、絵・井上洋介で、1999年刊行の初版。
物語は朝鮮が舞台で、悲しくもユーモラスなもの。
絵は期待通りに、自在で素晴らしく、
李朝の民画を思わせる虎がたくさん出てくる。
私の愛読書に清時代に生きた蒲松齢の志異があるが、
怪異談4百余話を集成する志異を
名訳の誉れ高い柴田天馬訳、
角川文庫の分厚い4冊本で
初めて読んだのは15歳のときだった。
その角川文庫は、今でも大切にしているが、
この挿し絵が、やはり、井上洋介によるもので、
私にとっての「東洋」とは、
井上洋介が描く世界の
イメージなのかも知れないと思うことがある。
『おどりのすきなとら』も、まさに、そんな東洋の世界。
一冊の絵本から、歴史のひとこまが、
映像をともなって、浮かび上がってくるような気がする。



