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城戸朱理のブログ: 現在と対峙する詩誌「紫陽」

2009年03月02日

現在と対峙する詩誌「紫陽」

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リーマン・ショックが、
ネオ・リベラリズムの終焉を露わにするとともに、
世界的に進行する雇用破壊を背景に、
日本でも、小林多喜二『蟹工船』がベストセラーになり、
さらに、徳永直『太陽のない街』、
そして、石川啄木が次々と文庫化されるなど、
いきなりプロレタリアート文学が、復権した感がある。

経済に政府が介入せず、
市場の自由競争にすべてを委ねるネオ・リベラリズムのもと、
企業に都合がいい労働力のダンピングが進み、
ワーキングプア層を生んだが、
それが、ようやく社会問題になったところで、
世界的な金融危機と不況に直撃されて、
企業も危機的な状態に陥り、
派遣切りに見られるように、
雇用までもが破壊されつつあるのは、
およそ、20世紀後半には、
経験したことがなかったような出来事であり、
こうした変化は、当然のように、
今日を生きる人間の心理にも
長い影を落とすことになるのは言うまでもないだろう。

私たちが直面する、こうした現在に、
もっとも自覚的に対峙してきた
先駆的な詩人のひとりとして、
『薄明行』『ひなたやみ』の詩人、大谷良太がいるが、
リアルな「現在」に向かい合っている詩誌として、
京谷裕彰・藤井わらび編集の「紫陽」も忘れることはできない。

たんなる詩の良し悪しを超えて、
誌面に渦巻く混沌としたエネルギーは、
時代の転変の予兆のようでもある。

最新の17号では、藤井わらびの「夜双曲」に目を見張った。

また、「毒舌編集後記」の
旧詩壇とジャーナリズム批判は必読。

よくある「毒舌」ならば、
評者の無能を示すだけであって、
なんということもないが、
ここで語られているのは、
まさに正攻法の批判と言っていい。
posted by 城戸朱理 at 11:43| 詩誌・詩集評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする