
古本屋で、まず値がつかないものに、料理本がある。
例外は北大路魯山人くらいだろうか。
ただ、魯山人は全3巻の著作集が手元にあるので、
とくに欲しいとは思わない。
いずれにせよ、定価と関わりなく、
料理本は、がいして安いが、
これは、あくまでも実用書だからだろう。
そして、料理本というもの、
その大半が役に立たない。
和食だろうが、洋食だろうが、
セオリーというものがあって、
それを覚えてしまうと、応用が効くものだが、
基本は教えず、応用ばかりを披露するものが多いからだ。
とくに、料理研究家と称する人に、この傾向が強い。
しかし、なかには面白いものがないわけではない。
私が探しているのは、陶芸家、辻協の料理本。
辻協の夫君は、信楽焼きで有名な辻清明で、
「太陽別冊 辻清明」は、平凡社の「太陽別冊」のうち、
古本屋でもっとも見つかりにくい一冊。
それも人気のほどを示すものだろうが、
辻清明は、骨董の収集家としても知られ、
作陶は茶器や酒器が中心で、高値を呼ぶ。
それに対して辻協は、手ごろな価格の食器を焼いており、
こちらも愛陶家に人気が高い。
辻協の料理本は、本人が作った器に料理を盛って見せるもので、
そのバランスが見事だった。
しかも夫婦で陶芸家だけに、人の出入りが多い。
勢い、料理もダイナミックで、思いがけないものが。
この本は、貸したところ紛失してしまったが、
見つけたら、また手元に置きたい一冊である。
先日、求めた太田潤『アウトドアクッキング大事典』(成美堂出版)も秀逸。
セオリーよりも、まず火ありきの豪快な料理が並ぶ。
アウトドアだけに細かいことは言っていられない。
手抜きのわりには、出来上がりは豪華だったりして、
家庭で再現しても面白そうな料理が目白押しである。
こうした本を見つけては、
実際に試してみるのが面白いのだが、
その意味では、やはり、料理本は、
実用書ということになるのだろう。


