
パーティーは中村文昭さんが発起人代表で、えこし会の主催。
私が誰かの出版記念会に出席するなどということは、
めったにないことだが、本当に素敵なパーティーだったので、御報告しておこう。
料理は、えこし会のメンバーの手作りで、
クリハラさんの手による巨大なローストビーフを中心に、
30人を超える出席者でも食べきれないほどの量が並んだ。
中国明代の小説の常套句を使うならば、
「肉は山のよう、酒は川のよう」ということになる。
詩集の感想や批評を語る無粋なスピーチは、なし。
山之口獏の研究をされている詩人、吉田美和子さんが、
寄せられた的確な批評の美しいお手紙を
クリハラさんが朗読し、
それから着物姿の中右さんが、詩集から3篇を朗読した。
中右さんは、詩を書くと、すべて暗記してしまうそうで、
正面を見ながら、本を開くことなく、
一語一語を確かめるように自作を読まれたのだが、
この朗読は、とても感銘深いものだった。
真実は、決して大声で語られることのなかにあるわけではない。
それから、フラメンコをベースに創作ダンスを踊る、
割鞘憂羅(わりさや・うら)さんのダンスに見入る。
このダンス、中右さんの詩の一篇にインスパイアーされたものだという。
憂羅さんに触発され、大野慶人さんも飛び入りで踊りを披露。
これが、なんと大野一雄人形を使うもので、
あたかも親子の舞踏が重層化するかのような不思議な時空が出現した。
大野一雄さんは、今年、100歳を迎えられるという。
どんな方々が出席されるのか、まるで見当がつかないまま、
会場に出向いたのだが、海埜今日子、森川雅美、渡辺めぐみといった若い世代の詩人たちや、
近藤洋太さんも見えられていた。
中野テルプシコールには、舞踏家の霊魂が住まうかのようで、
一種、異様な気配が漂う。あるいは、天上の土方巽も、
このパーティーの様子を見守っていたのではないだろうか。
そのパーティーでの一幕である。
「城戸さんは、どうやって食べているんですか?」
「筆一本ですよ」
「でも、原稿だけじゃ食べていけないでしょう?」
「だから、この人はすごく貧乏なんですよ」
質問に答えていたのは、私ではない。
隣にいた「うみきょん」こと、海埜今日子氏である。
さらに、もう一幕。
「城戸さんって資産家なんですか?」
まさか。資産家どころか、資産といった素敵な代物とはまったく縁がない。
「とんでもない。なぜ、そう思われたのですか?」と私。
「ブログを拝見すると、骨董をふだん使われているじゃないですか」
骨董は、別にお金が余っているから買っているのではなく、
なけなしのお金を工面して、買っているだけである。
「この人、すごい貧乏だよ」と再び、うみきょん。
ありがとう、うみきょん。
いつも適切な回答をしてくれて。
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