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城戸朱理のブログ: 詩集『水都』まで

2012年11月15日

詩集『水都』まで

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父が県立中央病院から転院した遠山病院は、中津川の下の橋のたもとにあった。

見舞いに行ったあとは、橋上から中津川を眺め、渡りきったところにある賢治清水で水を汲んだりしていたのだが、
そのとき、私は盛岡が川と橋、そして湧水に象られた街であることに、今さらながら思い至り、『水都』という詩集を構想することになった。

かつて書いた『不来方抄』が非在の故郷をめぐるものだったのに対して、『水都』は実在の故郷の地誌となるだろう、と。


退院して自宅に戻った父に、私は『水都』の構想を語ったのだが、父は、「そうか」と言ってうなずいていた。

その父も、もういない。


父は、盛岡の冬と雪景色を愛していた。

退職したとき、母は、南方、紀州への転居を提案したのだが、父には盛岡を動くつもりはまったくなかったので、その話は立ち消えになった。

母は、転居するかわりに、紀州に自生する風蘭を手に入れて、花を咲かせたりしていたっけ。


『水都』は、その意味では、父の慰霊のために編まれる一冊でもあるのだろう。
posted by 城戸朱理 at 09:19| 城戸朱理の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする