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城戸朱理のブログ: 『水都』まで

2015年10月29日

『水都』まで

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一昨年の10月に父を、今年の2月に母を見送ってから、故郷の景色が一変した。

どうしたことか、何を見ても、何らかの記憶が甦る。

それは、狂おしいほどで、私はとまどいながら、それと向かい合っているしかなかった。

それは、いまだに変わらない。

いや、おそらく、これからも変わることはないのだろう。


父が春先に倒れて、入退院を繰り返しているとき、中津川ぞいの病院を何度か訪ねた。

宮澤賢治が学生時代に下宿先で使っていたという井戸から水を引いた賢治清水で喉をうるおし、下の橋を渡りながら、川と湧水に恵まれた盛岡のことを思ったりもした。


それが、詩集『水都』を構想するきっかけだったのだが、水色の革表紙のノートに、詩稿のメモが増えるにつれて、故郷の景色が、記憶の底で静かに澄みわたっていく。


私はかつて非在の故郷をめぐる詩集『不来方抄』を書いた。

『不来方抄』から始まる起源の詩的探求は、『幻の母』、そして執筆中の『白鳥伝説』の三部作で完結するが、『水都』は『不来方抄』と対を成し、実在の故郷をめぐるものとなるだろう。


先週、「抒情文芸」に『水都』の一篇となる「水面の影のように」を渡したが、詩集の原稿は来年の3月までに書き上げるつもりでいる。
posted by 城戸朱理 at 06:54| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする