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城戸朱理のブログ: 落柿舎で思ったこと

2015年12月11日

落柿舎で思ったこと

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落柿舎からは紅葉の嵐山を望むことが出来る。

だが、落柿舎そのものには紅葉する木々はなく、ムラサキシキブ、シロシキブ、センリョウ、マンリョウなど、実をつける低木が多かった。


私の盛岡の実家の庭も、実をつける木々が多く、雪のなか鳥がついばみに来たが、落柿舎も、冬には小鳥の餌場となるのだろう。


故郷を離れて、実家の実のなる木々を思い出しては、書いた詩篇がある。

「弱い獣」(『千の名前』)という一篇だ。



痛みが日々を新たにした。
慣れることのできぬものと出会って
世界のはてというものが
こんなにも身近かで次々と
訪れてくることに驚いていた
けれども、こんなにも静かだ。
小さな赤い実のことを考えていた、
ガラス戸の千年の曇りをぬぐって。
マユミ、イチイ、
ウメモドキ、
ヒヨドリジョウゴ、ナナカマド――
赤い実をゆらして、
西風にかわった
だから"小ささ"を心にまさぐっていく
心のふたしかな輪郭を探って
低い生垣を植えるように。
心の底が裂けているから
心の容量が洩れつづける――
心がなくなっていた。



この詩を書いたのは、交通事故による全治6カ月の受傷、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えての出口の見えない介護生活を送っているときだったから、絶望に閉ざされかけた日々のなかで、故郷の冬景色を思い出し、私は、わずかに心を慰めていたのだろうか。

今になると分からない。

そして、野草を愛した両親も、もういない。

今年も、今年の鳥が実をついばみに来るのだろうが。
posted by 城戸朱理 at 10:32| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする