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城戸朱理のブログ: 糸屋ホテルのロビーで

2016年01月30日

糸屋ホテルのロビーで



妙心寺、大徳寺と21日の撮影は、午後2時すぎに終わったので、ホテルで休むことができるかと思ったのだが、吉増さんが、夕食は外出せずに、ホテルのロビーでワインを飲みたいとおっしゃるので、バンビことパンクな彼女と部屋に荷物を置いて、すぐに買い出しに出かけた。

吉増さんは「チーズと蒲鉾と漬物、あとはおにぎりがあればいいよ」とおっしゃっていたので、まずは錦市場へ。

リクエストの蒲鉾に漬物、おにぎりを買って、さらに三木鶏卵の出汁巻き玉子や蒸し鶏、鯛の子煮、鰻肝煮などを調達する。

さらに大丸デパ地下で、ウォッシュタイプのチーズ4種類とフランス産のスパークリングワイン、赤ワイン、白ワイン3本を選んで、ホテルに戻った。


小一時間だけ休んで、ロビーで宴会の準備をしていたら、吉増さんがいらして、大いに喜ばれ、御機嫌である。

井上春生監督も合流して、まずはスパークリングワインで乾杯する。


吉増さんが、おもむろに取り出したのは、なんとニューヨークのジョナス・メカスから吉増さんに送られてきたプライベート・ポエム。

古いタイプライターで打った原稿で、ペン書きのサインが入っている。

吉増さんに翻訳を託されたので、バンビが原稿をお預かりしたのだが、92歳になる戦後前衛芸術の生き証人にして、映画作家、メカスの作品を、ここで拝見することになるとは思わなかった。

メカスの詩の翻訳は、ローライ同盟の機関紙「ローライ新聞」に掲載される予定だが、たった10人しか読者がいないローライ新聞に、こんな貴重な原稿を発表していいのだろうか?


井上監督からは、東映の太秦撮影所では、「仁義なき戦い」を撮影した吉田貞次さんがメカスの大ファンで、撮影所内で上映会をするほどだったという秘話も。

その影響を受けて、菅原文太さんがメカス風の実験映画を撮ったこともあるそうだ。



井上監督はスタッフを食事に連れていくため、一時間ほどで中座し、それからは3人で赤ワイン。

吉増さんに尋ねられるままに、高柳克弘さん、神野紗希さんの吟行に御一緒して気づいた俳人の特徴などを語っていたら、異様に盛り上がり、話題は俳句に。

俳人は、いつも句材と季語を探しているので、歩くのが異様に遅いという話に、なぜか吉増さんが反応したのが始まりだったろうか。


「吟行って、どんなふうにするの?
腰に短冊の束をぶら下げるの?」と吉増さん。

「みなさん、文庫本くらいの手帳を使われてます」とバンビ。


これまで吉増さんにとっての俳人とは、芭蕉に蕪村、そして飯田蛇笏の3人だけだったそうだが、吉増さんのなかで、俳句という世界が広がろうとしているのかも知れない。


吉増さん、「高柳さんに師匠になってもらって、ぼくも俳人になろうかな」とまで言い出したが、この顛末は、いずれ報告したい。


吉増さんは、この宴会が、よほど楽しかったらしく、2時間に及ぶ宴会の会話をICレコーダーで録音されていたのだが、翌朝、聞き直していたそうだ。
posted by 城戸朱理 at 08:20| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする