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城戸朱理のブログ: 鎌倉文士が通った寿司屋で

2016年05月07日

鎌倉文士が通った寿司屋で

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私が女子美大学院の講義に行っている間に、バンビことパンクな彼女が、布団を干し、シーツを交換してくれたので、気持ちよく連休を迎えることが出来た。


5月1日(日曜日)は、休息の日。

バンビと久しぶりに散歩に出かけたのだが、鎌倉の小町通りあたりは、大変な混雑ぶりだった。

4、5年前までならば、鎌倉を訪れる観光客は年間900万ていどだったが、ここ数年は1200万人を超えており、しかも増える一方だから、当然かも知れないが。


御成通りの高崎屋でバンビが頼んでおいた日本酒を受け取り、店頭でベルギーの白ビールを立ち飲みする。

それから、小町通りに出て、先日、藤沢周氏と行った寿司の大繁に行くことにした。

バンビは初めてだが、鎌倉文士が通った店で、小林秀雄は、永井龍男、漫画家の那須良輔と連れ立って来店することが多かったが、奥さんとお昼に立ち寄ることもあったという。

小林さん、永井さんともに、江戸っ子らしくマグロと穴子が好みだったそうだが、いちばん好きだったのは、なんといっても寿司ネタで唯一「香り物」と呼ばれる新子で、夏になると電話で新子があるか確認してから来店したそうだ。

新子は小肌の当歳魚だが、一貫握るのに四、五尾は必要になるほど小さく、下ごしらえに手間がかかる。

江戸前の夏の風物詩である。


立原正秋は、2、3日おきに来たが、小林秀雄が現れると直立不動で、すぐに帰ったらしい。

同じような話を奈可川でも聞いたことがあるが、畏怖を抱く存在がいるというのは、素晴らしいことだと思う。

田村隆一もよく来たらしいが、詩人はもっぱら飲むだけ。

三、四貫握ってもらうのだが、結局、手をつけず、飲み続けるのだそうだ。

ちなみに田村さんの好みは白身に貝、淡白なものがお好きだったと聞いたことがある。


そんな話を聞きながら、鯛やカンパチなど白身を握ってもらう。

大繁の握りは、とても小さく、シャリも小振りで、つまみながら飲むのにいい。

続けて、小肌に穴子。

生の鳥貝は、この季節ならではで、香りがよく、歯応えも甘みも素晴らしい。

バンビは「美味しいね〜」と大喜びだった。

ホタルイカや中トロ、ウニにイクラなどを握ってもらって、熱燗を酌み、最後に赤貝のヒモとキュウリ、それにネギトロを巻いてもらう。


小町通りの喧騒が嘘のようで、大繁には、まだ昭和の時間が滞留しているような気がした。
posted by 城戸朱理 at 08:11| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする