


旧友との昼食は、小町通りの天ぷら・ひろみを予約した。
小林秀雄、永井龍男、澁澤龍彦ら鎌倉文士が通った鎌倉の老舗である。
小津安二郎監督も常連で、メニューには小林秀雄が好んだ天種の小林丼と小津安二郎好みの小津丼がある。
この日は、設楽くんも私も小津丼を頼んだ。
小津丼は、海老3本にめごち、きす、椎茸、インゲンに小海老のかき揚げがのっている。
まずは、穴子の骨と海老の頭を揚げたものが出て、これを肴にビールを飲んでいると、小津丼が登場。
小津監督は、天種を肴に、お銚子で10本の(約一升!)熱燗を飲み、最後に御飯だけ食べたという。
夏でも熱燗だったそうだから、日本酒好きだったのだろう。
小津丼のあとは、生ウニの磯辺揚げを追加。
これは生ウニと蟹身を海苔で巻いて揚げた贅沢な一品で、日本酒が欲しくなる。
天ぷら・ひろみに私が初めて行ったのは、もう30年も前のことになるが、変わらず続いている店があるのは、素晴らしいことだ。