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城戸朱理のブログ: 岩佐なを『パンと、』(思潮社)〜岩佐なをさんのこと

2016年11月24日

岩佐なを『パンと、』(思潮社)〜岩佐なをさんのこと

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岩佐なを『パンと、』は、食パンやクリームパンなど、パンをモティーフにした詩篇を中心に編まれている。

「中心に」と書いたのは、そうではない詩もあるからで、そのあたりの事情を、タイトルの「パンと、」の「と、」が表しているのだろう。

軽妙にして、洒脱。

そのくせに、ときおり現実世界の裂け目が覗く。

いかにも、岩佐さんならではの詩集である。


歴程賞を受賞された岩佐さんは、歴程祭の授賞式の挨拶で、これからは昼寝でもしていようかと思っていたが、詩集をもう一冊、読者がふっと笑ってしまって、そのあと何も残らないような詩集を作りたいと語られていた。

笑いだけを残して、姿を消していくチェシャ猫のような詩。

そんなことを考える詩人も、岩佐さんだけだろう。


私が、岩佐さんの詩に初めて触れたのは、もう40年近く前、私が18歳のときだった。

岩佐さんは、私も投稿していた「ユリイカ」の投稿欄(長谷川龍生選)の常連で、
住友浩さんと並んで、毎月のように入選、掲載されていたからである。

それ以来、岩佐さんの仕事を拝見してきたのだが、その御縁もあって、岩佐さんが『霊岸』で、第45回H氏賞(1995)を受賞されたときの「詩学」の特集で、私も作品論を書かせていただいたし、『現代詩文庫 岩佐なを詩集』(2005)でも、作品論・詩人論を寄稿した。


また、私が小詩集『まんぼう』を編んだときには、銅板画を作っていただいたこともある。


岩佐さんは、銅板画のエクスリブリス(蔵書票)でも有名で、挿絵や装画のお仕事も多い。


ボクシングと競艇のファンで、詩を書き、絵を描き、銅板画を作る。

岩佐さんを見ていると、粋な人の暮らしぶりとは、こういうものではないだろうかと思ってしまうのだ。
posted by 城戸朱理 at 16:53| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする