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城戸朱理のブログ: ローライ同盟、公文堂書店に寄る

2016年12月19日

ローライ同盟、公文堂書店に寄る

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ローライ同盟赤ちゃん撮影会のあと、由比ヶ浜通りの古書店、公文堂書店にみんなで立ち寄った。

公文堂書店は、いかにも鎌倉の古本屋で、都内の古書店より黒っぽい本が多い。

「黒っぽい本」とは古書業界の用語で、刊行から数十年の時間を経た本のこと。

それに対して、刊行から時間が経っていないものは「白っぽい本」と呼ぶ。

それだけに珍しい本が多く、全員、いささか興奮気味で、菊井崇史さんなど「面白いですね。ずっといられますね」と嬉しそうだった。


吉増剛造さんは、1985年に国立近代美術館で開催されたゴッホ展の図録を購入。

ゴッホの厚塗りのマチエールがよく再現された印刷で、忘年会の席上、回覧し、ひとしきりゴッホの話題となった。

井原靖章さんは、グラフィックデザイナーという仕事柄、印刷にも敏感で、やはり、昔の図録のほうが印刷がいいものが多いため、神田の源喜堂書店で、古い画集や図録をよく求めると語られていた。

私も、好きな画家のコロタイプ印刷の古い画集を見つけたら、求めるようにしている。

ガラス板を使用するため、玻璃版とも呼ばれるコロタイプ印刷は、小部数の印刷に向く版画の一種で、美術品の複製にもっとも適している。

源喜堂で、ヒエロニムス・ボッシュのコロタイプ印刷の図版を貼り込んだ画集を見つけたときは、嬉しかったな。


「もう十分に見たから、バンビに上げる」と吉増さんが言い出し、ゴッホの図録は、その場で、バンビことパンクな彼女のものに。

すかさず、バンビがサインをお願いしたら、吉増さんは「GOZO」の「G」と「Van Gogh」を並べて書いてから、黄色のダーマトグラフでドローイングを描いて下さった。

それを見て、羨ましがった菊井さんには、吉増さんが長年、愛用していた細軸のモンブランをプレゼント。

しかし、吉増さんのジャケットの内ポケットには、いったい何本のペンが入っているのだろうか?


私が、公文堂書店で求めたのは、佐藤春夫『極楽から来た』(1961、講談社)と川端康成『骨拾い 掌の小説』(1975、ゆまにて)の2冊。

『極楽から来た』は、浄土宗の開祖、法然上人の伝記的小説で、芹澤_介による装画と装幀が美しい本。

『骨拾い 掌の小説』は、文庫も持っているが、川端康成の幻想的な掌篇小説を集成したものである。

ともに職人の手仕事による貼り函入り。

貼り函は、1980年代から見かけなくなったが、書籍においても経済効率が優先されるようになって、手間のかかる貼り函も姿を消したのだろう。

私も1985年に、第一詩集『召喚』を出版したとき、中性紙に活版印刷、貼り函に和紙の題戔という指定をしたが、あのころが手仕事で本造りが出来た最後の時代だったかも知れない。


昔の本は、素晴らしい造本のものがある。

そんな本を手に、これから刊行する予定の自著の装幀をあれこれ考えてみたりするのも楽しい。


ちなみに、予約したビストロ・オランジェに到着したところ、開店まで20分ほど時間があったので、その時間に集合することにしたら、吉増さんは、「また、本屋に行ってくる」と言って、公文堂書店に戻ってしまった。
posted by 城戸朱理 at 08:49| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする