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城戸朱理のブログ: 古書店の均一棚からの掘り出し物

2016年12月23日

古書店の均一棚からの掘り出し物

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古本屋の店頭にある均一台から、面白い本を掘り出しすのは、古書店巡りの楽しみのひとつだろう。

50年前、40年前であれば、均一台から、菱山修三の詩集や永田耕衣の句集が見つかることもあったそうだが、本来ならば高値を呼ぶ本が安く見つかるという意味での掘り出しではなく、先日、紹介した『戦後詩誌の系譜』のように、存在自体を知らなかった本と出会ったり、思いがけない本が見つかったりするのも、均一台ならではの掘り出しだと思う。


均一台と聞いて、私が思い浮かべるのは、まず、神田の田村書店、そして、荻窪のささま書店だが、神奈川県なら、藤沢の太虚堂書店の店頭ワゴンも面白い本が見つかることが多い。


ささま書店は、詩集も少なくないのが特徴だろうか。

一時期、毎日のようにささま書店を覗いていた田野倉康一くんによると、佐々木幹郎『死者の鞭』の限定著者本が、100円の均一ワゴンに並んでいたこともあるそうだ。


個人的には、田村書店の均一台で、吉田健一・平井正穂監修『エリオット選集』別巻(彌生書房)を見つけたときや、『現代フランス文学13人集』全四巻(新潮社)、『田村隆一 詩と詩論』全四巻、(思潮社)、単行本化されていないカフカ未完の長篇『アメリカ』を収録する『カフカ全集』第四巻(新潮社)を見つけたときは嬉しかったし、太虚堂書店で見つけた『一休 狂雲集』(徳間書店)などは座右の書になった。


しかし、均一台から掘り出した思い出深い「この一冊」となると、やはり、写真のブラム・ストーカー『魔人ドラキュラ』(創元社、1956)だろう。

これは荻窪に住んでいたころ、駅前の岩森書店のワゴンで見つけたもので、400円だった。

『魔人ドラキュラ』は、創元社が刊行していた世界大ロマン全集の第三巻で、平井呈一による本邦初訳。

このシリーズでは、H.G.ウェルズの『透明人間』も後日、求めたが、シェリー夫人による『フランケンシュタイン』と並ぶ西欧怪奇小説の古典『ドラキュラ』の原作は、想像していたのより、はるかに大向こうを唸らせるような俗っぽさに満ち満ちたゴシック・ホラーである。

余談だが、作者のブラム・ストーカーは、ダブリン大学トリニティカレッジ時代にオスカー・ワイルドとも交友があったという。


女性吸血鬼が登場するシェリダン・レ・ファニュの『カーミラ』(1872)、そして、その影響を受けながらも、吸血鬼の代名詞ともなったブラム・ストーカーの『ドラキュラ』(1897)。

19世紀のこうした作品から、その後、ヴァンパイアがホラーの普遍的なモチーフになっていったことを思うと、ブラム・ストーカーのイマジネーションは、今なお息づいていることになる。

それにしても、吸血鬼という発想は、やはり、狩猟民族で肉食文化の西欧ならではという感を強くするのだが。
posted by 城戸朱理 at 12:17| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする