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城戸朱理のブログ: いかれバンビと時代劇???

2017年02月10日

いかれバンビと時代劇???

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井上春生監督が、この20年でいちばん好きな時代劇と語っていたのが、山田洋次監督「たそがれ清兵衛」だった。

原作は、藤沢周平。

藤沢周平の読者なら、おなじみの海坂藩(うなさかはん)七万石を舞台とする物語である。

東北の小藩、海坂藩は架空の藩だが、実在しなかったがゆえに史実にとらわれることなく、物語を紡ぐことができる。

「平成のベストセラー作家」佐伯泰英の累計2000万部超の人気シリーズ、「居眠り磐音江戸草紙」も、主人公の坂崎磐音(いわね)の故郷を架空の豊後関前藩としているが、これも藤沢周平の海坂藩にならったものだろう。


映画の「たそがれ清兵衛」は、アカデミー賞外国語映画部門の候補になっただけあって、リアリティも、主演の真田広之も素晴らしい。

そのせいで、バンビことパンクな彼女は時代劇にハマり、藤沢周平原作の映画を続けて観ることになった。

「隠し剣 鬼の爪」(山田洋次監督)と「必死剣 鳥刺し」(平山秀幸監督)である。


そして、バンビは興奮し、すっかり江戸時代の剣客モードになってしまったのである。


「隠し剣、バンビの爪!」
・・・

「あれ、バンビは爪じゃなくて蹄かな?」
・・・・・・

「バンビ剣、鳥刺し!」
・・・

そして、エアー素振りを始めてしまったのである。

「隠し剣、バンビ刺し!」
・・・・・・

今度は、映画2本が混ざっている――


その翌日、私が夕飯の支度を終えたころ、バンビがバイクで帰ってきた。

ドアを開けたら、


「鹿千代にござりまする。
ただいま、戻りました」
!!!

「鹿千代は、着物も帯もいらないのでございます。
ただ、お父さんやお母さんの、仇を討ってやりたいのでございます」
!!!!!!

何なんだ、鹿千代って?

「小美人剣士、鹿千代物語だよ!」
・・・・・・

「小鹿千代」では様にならないので、「小」と「鹿」を分割したらしい。

しかし、鹿千代では、武家ではなく芸者のような名前である。


とにかく、お風呂に入るように言ったら、


「鹿千代は、お風呂をいただきます」
・・・・・・


夕食を終えると――


「鹿千代は、勉強しとうございまする」
・・・・・・


困ったことに、鹿千代になったバンビが「勉強」というのは、Amazon Videoで時代劇を観ることなのである。


そこで、小林正樹監督「切腹」(1962)を観ることにした。

切腹という武家の作法を通して、武士の体面と虚飾をスタティックな画面で描き、カンヌ国際映画祭でも審査員特別賞を受賞した時代劇の傑作である。

三池崇史監督、市川海老蔵主演でリメイクされたのが「一命」だが、海老蔵の熱演にもかかわらず、やはり、「切腹」には及ばない。


「鹿千代は、切腹はイヤでございまする。
走って逃げまする」
・・・・・・


鹿千代になっても、やはりパンクなのである。

それにしても、鹿千代はやけに子供っぽい。

いったい、何歳という設定なのだろう?


「ちっちゃいよ」
!!!

「六つか、七つ」
!!!!!!

まだ、子供じゃないか!?

「鹿千代にござりまする!」
・・・・・・


どうやら、当分は子供の鹿千代になって、時代劇モードで遊ぶつもりらしい。

パンクだから仕方がないが、厳重な警戒が必要である。
posted by 城戸朱理 at 00:12| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする