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城戸朱理のブログ: Edge田村隆一篇のこと

2017年05月01日

Edge田村隆一篇のこと



アート・ドキュメンタリー「Edge」がスタートしたのは、2001年のこと。

田村隆一さんは、新世紀を見ることなく、すでに亡くなっていたが、なんと、生前の田村さんの姿を見ることができる「Edge Special 田村隆一篇」が、放送されたのは、2005年1月のことだった。

なぜ、すでに世を去った詩人の番組を制作することができたのか。

思い出してみると、そこには、実に不思議な経緯があった。


ことの起こりは、CX系の「ワーズワースの冒険」という番組である。

1990年代に放送され、地上波では異例の教養・情報番組として話題を呼んだこの番組に、田村隆一が出演したのだが、
それは、アガサ・クリスティが生んだ名探偵、ミス・マープルが暮らす架空の村、セント・メアリーミードのような村を探してイギリスを旅するという企画だった。

題して「ほろ酔い詩人の優雅な休日〜アガサ・クリスティ 英国の旅」。

私も放送時に見て、詩人がテレビに出ているということに驚いたり、それが田村隆一であることに納得したりしたものだった。


制作はテレコムスタッフで、プロデューサーは寺島高幸、ディレクターは狩野善彦、カメラは中村健と、スタッフはみなEdgeの関係者。

しかも、ディレクターの狩野さんは、詩人・田村隆一がセント・メアリーミードを訪ねるという番組でも、詩人がイングランドを旅するという番組でも、どちらでも作れるように撮影したというではないか。


さっそく、フィルム(そう、当時は、まだフィルムだったのだ!)を探してもらったのだが、これが見つからない。

廃棄処分にする場合は、取締役の寺島さんのサインが必要なのだが、寺島さんはサインをした覚えがないという。

そして、3年後。

未整理のフィルムを入れたダンボール箱から、そのフィルムが見つかったのである。

そこには英国を旅しながら、詩について語る、生前の田村さんの姿があった。


そして、田村さんの七回忌となる2004年に、再び、狩野さんをディレクターとして、鎌倉の田村悦子夫人、著作権継承者の美佐子さんを訪ね、田村隆一篇の制作が始まった。


もし、狩野さんがEdgeに関わっていなければ、田村さんのイギリスでの映像は眠ったままだったかも知れないし、寺島さんがEdgeのプロデューサーでなければ、田村隆一篇は幻のままだったかも知れない。


しかも、それで終わったわけではなかった。

テレコムスタッフがナレーションを依頼した阪茂さんは、番組を見るなり「田村少尉ですか!」。

なんと阪さんは、田村隆一が海軍少尉として、若狭で終戦を迎えたとき、田村さんの当番兵だったというではないか!?


後日、阪さんにテープを回しながら(そう、当時は、まだカセットテープだったのである!)、インタビューして、当時の田村さんのことをうかがったが、これは、いまだに発表していない。
posted by 城戸朱理 at 20:11| Edge | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする