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城戸朱理のブログ: エズラ・パウンド協会の合宿

2017年08月29日

エズラ・パウンド協会の合宿



エズラ・パウンド協会は、研究者が集って、パウンドの2万7千行に及ぶ長篇詩『詩篇(キャントーズ)』の翻訳を進めており、8月24日と25日の両日は、鶴川の和光大学で合宿があった。

幹事は、遠藤朋之先生。

私も声をかけていただいたので、午後から参加する。

読んだのは、「詩篇第23篇」である。


獨協大の原成吉先生を始めとして、10人もの専門家が集まっても、読み解けない行が頻出し、パウンドの難解さを再確認することになったが、それでも光を放つ詩行に事欠かないのが、パウンドの尽きせぬ魅力だろう。


英語をベースにしながら、ギリシャ語、ラテン語、フランス語、イタリア語、さらには漢字が混在するマルチ・リンガル的性格も、『詩篇』翻訳の高い壁になっているのは事実だが、
それ以上に、パウンドが導入した歴史的背景を理解しないと、正確な訳語を選べないところが悩ましくも面白い。

ちなみに第23篇だと、ヨーロッパ最古の市民図書館、マラテスティアーナ図書館を創設したルネッサンス期のチェザーナの領主、ドメニコ・マラテスタのエピソードや、13世紀、南フランスのカタリ派を壊滅させたアルビジョア十字軍への言及に、ギリシャ神話などが重層化し、文明の破壊とエロスを主題とする歴史のコラージュが繰り広げられる。


英国のパウンディアン、アンドルー・エリック・ハウウエン先生が、スラング等を指摘してくれるので、辞書だけでは読み切れないニュアンスを盛り込むことが出来るのも面白かった。


ちなみに、第23篇の最後の5行の私の試訳を紹介しておこう。



そして、そのとき見えたのだ、波が形を成すのが
海は、硬く、クリスタルのきらめきのようで
波は盛り上がっては、そのまま止まる
いかなる光もそのなかを通り抜けることはできない



これぞ、パウンド・サウンド。


打ち上げは、遠藤朋之先生が町田の馬肉専門店、柿島屋を予約してくれた。

馬刺、桜鍋、馬肉メンチカツのカレーがけで、楽しい宴会となる。

原成吉先生は、翌日から、蓼科で、「遊牧民」の合宿だと伺ったが、これは1979年から続くアメリカ詩の研究会。

こうした積み重ねがあってこそ、詩が次の世代に伝えられていくのだろう。


さらにアイリッシュ・パブHUBに席を移し、青学短大の斉藤修三先生、静岡大の山内功一郎先生、遠藤先生に私とバンビことパンクな彼女で、ビール片手に盛り上がった。
posted by 城戸朱理 at 09:12| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする