今年になって私が発表した詩は「現代詩手帖」1月号の「国境」が最初で、続いて「ココア共和国」5月号の「長い夜」が2篇目となった。
「国境」は3月に刊行された韓国の文芸誌「ASIA」で翻訳・紹介されたが、さらに3作目となる「真昼の覚醒」を寄稿した「抒情文芸」夏季号が届いた。
巻頭には文芸ジャーナリスト・酒井佐忠、作家・三田誠広のエッセイ、作家・恩田陸のインタビュー等が掲載されている。
巻末の「既刊号一覧」によると、川瀬理香子氏による抒情文芸刊行会が、「抒情文芸」を創刊したのは、1976年(昭和51年)。
今回の夏季号で通巻175号になるが、40年以上続いていることになる。
「抒情文芸」は読者による創作の入選作が掲載されており、選者は小説・出久根達郎、詩・清水哲男、短歌・小島ゆかり、俳句・坪内稔典という顔ぶれになっている。
私が初めて「抒情文芸の」依頼を受けて書いた詩は『不来方抄』所収の「通信」(初出時「初夏の通信」)で、1991年のことだった。
ずいぶん時間がたったものだが、何をしてきたのか自問するならば、灰を噛みしめるような思いが去来するばかりだ。
その思いのまま、未来への白紙と向かい合うしかないのだろう。