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城戸朱理のブログ: 初鰹

2020年06月25日

初鰹

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初鰹の季節になった。

気仙沼では、6月12日に初めて水揚げされ、翌日、わが家にも届いた。

バンビことパンクな家内が注文しておいたのである。


初鰹は、俳句なら初夏の季語で、松尾芭蕉とも交遊があった江戸時代の俳人、山口素堂に「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」という名高い一句がある。

この句は、なんと「青葉」「ほととぎす」「初鰹」と季語だけで成り立っているのだが、「青葉」や「ほととぎす」といった夏を代表する季語に「初鰹」が並んでいるわけで、それだけ初鰹が珍重された証しとなっている。


初鰹は、季節の味覚として、江戸っ子に大いに愛された。

芭蕉は「鎌倉を生きて出(いで)けむ初鰹」と詠んでいるが、当時は鎌倉で水揚げされた初鰹が早船で江戸の鎌倉河岸に運ばれたという。

江戸っ子は、初物を好むこと尋常でなかったので、初鰹は大金で競り落とされたが、一両から三両という記録があるので、現在なら数十万という感じだろうか。

ちなみに米価で換算すると、一両は現在の12万ていどになる。

それが、ひと月もすると庶民にも手が届く値段になったそうだが、今では、特別、高価なものではなくなった。

ありがたいことである。



私の父は、晩酌するとき、鰹かイカを肴にすることが多かった。

子供のころには、イカは何やら頼りなく、鰹は生臭く思えて、興味がなかったが、ふと気づくと、私も鰹かイカを肴に晩酌することが増えた。

父と似てきたのかも知れないが、どうやら、それだけではないらしい。


たしかに初鰹の清冽さや戻り鰹の熟れ具合、旬のイカの季節感あふれる美味しさは言うまでもないが、かと言って鮪のトロや鯛のような美味しさとは違う。

鰹やイカも、もちろん美味しいのだが、美味しすぎるわけではない。適度な美味しさとでも言えばいいだろうか、食べ飽きしないところがある。

だから、食卓に上がる頻度が高くなるのだろう。


わが家では初鰹が出回ると、お造りはガラスの器に盛りつけるようになる。


届いた鰹は叩きだが、さすがの鮮度で、身はもちもちとして鰹特有の青臭さがなく、冷酒が進んだ。
posted by 城戸朱理 at 06:13| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする