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城戸朱理のブログ: 美味しい話

2017年03月26日

忍者アイス!?

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クルベル・キャンのカウンターに座ったら、バーテンダーの馬場さんが、氷をナイフで削っていた。


1996年に「IBA 世界カクテルコンクール」で日本人初の世界チャンピオンとなり、その名を轟かせたバーテンダー、岸久(きし・ひさし)さんの創案になるダイアモンド・アイスである。

岸さんは、日本バーテンダー協会の会長をされており、お店は銀座の並木通りにある「スタア・バー」。

私は、旧友の数寄屋橋BIRD LAND店主、和田利弘さんに連れていってもらったことがある。


ダイアモンド・アイスは、ブリリアントカットのように面取りした氷で、お酒を注ぐと見えなくなるため、忍者アイスとも呼ばれる。

たいへんな手間がかかるので誰にでも出すわけではなく、客が選んだ酒と飲み方に合わせて使うらしい。


バンビことパンクな彼女が、シングルモルトを頼んだら、馬場さんがスペイサイドのシングルモルトを忍者アイスに注いでくれた。

しかも、固く凍っているので、少し室温になじませてからスコッチを注ぐという念の入れ方で、いきなり常温の酒を注ぐと氷が割れてしまうのだそうだ。


日本のバーテンダーの細心さや緻密さは、世界的に有名で、海外から修行に来る人も少なくないが、馬場さんを見ていても、それは納得できる。

バンビは、丁寧な仕事ぶりに「癒されるね!」と感嘆していたが、男前な仕事ぶりを見ているのは、実に気持ちがいい。
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クルベル・キャンで

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3月24日(金)。

バンビことパンクな彼女が、更新したパスポートを横浜に取りに行っている間に、髪を切ろうと思ったのだが、いつもカットをお願いしているユアーズは、予約が取れず、鎌倉駅西口のたらば書房を覗いて、気になる新刊3冊を購入。

明日は友人の結婚式と披露の宴がある。

やはり、散髪くらいしておこうと思って、東急ストア内のイレブン・カットでカットしてもらった。

ここは、QBハウスの美容室版。

理容師と美容師は、別の資格で、カットの基本も違えば、美容師は剃刀を当てることが出来ないといった違いもあるそうだ。

QBハウスは、10分で散髪してくれるが、イレブン・カットは、11分。

ユアーズで、いつものようにカットとヘッドスパを頼むと1時間半くらいかかるが、イレブン・カットなら、シャンプーを追加しても20分。

時間がないときは、やはり便利だ。


バンビとは、6時にクルベル・キャンで待ち合わせ、久しぶりに軽く飲むことにした。


頼んだのは、真鯛のカルパッチョにスタッフド・マッシュルームの石窯グリル。

マッシュルームには、叩いた黒オリーブとアンチョビが詰められている。

私は、ジントニック、バンビはジンリッキーから始めたが、続いてプロセッコをグラスでもらって、ミラノ風カツレツを。

カツレツは、私も作ることがあるが、中まで火が通らなくてもいいように、ステーキ用の牛肉を使うのがもっぱらで、それに赤ワインを煮詰めたソースを添える。

クルベル・キャンのミラノ風カツレツは、薄く叩いた鶏肉を使っており、ビールや白ワインと相性がいい。


最後はスコッチにかえて、パスタは、ホタルイカと春キャベツのスパゲッティを。

春キャベツの甘みをホタルイカの濃厚な旨みが包み、素敵な春の味覚で、バンビが大いに喜んでいた。


最近、藤沢周氏が顔を出さないそうだが、藤沢さんは、忙しいうえに、引越ししたばかりだから余裕がないのだろう。

そういう私も、久しぶりで、クルベル・キャンに寄ると、必ずのように誰かがいた頃が、今になると懐かしい。
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2017年03月24日

盛岡土産の食材で

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休日の昼食は、横澤パンのトーストにクラムチャウダー、佐助豚のハムステーキに目玉焼きと、盛岡で買ってきたパンとハムを使ったものだった。

私が10代のころから、実家の朝食は横澤パンだったが、かつては、ホテルへの卸だけで小売りはしていなかったので、父親が車で製造所まで買いに行ったものだった。

まるで、バゲットが四角いイングリッシュ・ブレッドになったような食パンで、どっしりとした小麦の味わいがある。


午後は、あれこれ所用を済まし、入浴して、湯豆腐とイカ納豆で晩酌を始めたのだが、バンビことパンクな彼女が、昼食に続いて、盛岡の食材を使った料理を食卓に並べ始めた。


海宝漬・中村屋のアワビステーキ・グラタンと、佐助豚のベーコンとリンゴのソテー、ネギトロである。

このうち、アワビとベーコンが盛岡土産。

中村屋のアワビステーキ・グラタンは、三陸産のエゾアワビを使っており、バンビの大好物、
ベーコンにリンゴを合わせたのはバンビの独創で、リンゴには黒糖を、全体に黒胡椒を挽いてある。

先日、私がノルマンディーの郷土料理、豚肉とリンゴのクリーム煮を作ったので、リンゴを合わせてみようと思ったらしい。

ネギトロは、昨年末に招待してもらった四谷の茶懐石「木挽町 大野」風に、叩いたマグロにネギと海苔が添えられていた。

料理が和洋折衷なので、私は日本酒、バンビはシャンパンを。


「盛岡には、どうして美味しいものばかりあるのかな?」


バンビは、よくそう言うが、以前、盛岡に取材に行ったエッセイストの平松洋子さんも、同じことを言っていたっけ。


盛岡のみならず、日本は、どこに行っても、その土地ならではの特産や料理がある。

それも、旅の楽しみのひとつだろう。
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2017年03月19日

洋野菜が珍しかったころ



母から聞いた戦前の話である。

新しいもの好きの母の兄、つまり私にとっての伯父が、見たことのない野菜の苗を植え、大きな青唐辛子のような実がなったそうだ。

茄子の味噌炒めを作っているとき、姉(伯母)に、あの大きな青唐辛子を入れてみようと言われ、伯母と母は、大きな青唐辛子のような実を「辛そうだね」と言い合いながら、刻んで、茄子の味噌炒めに入れたらしい。

さぞや辛いに違いないと、食べてみたら、これが、まったく辛くない。

この野菜が、ピーマンだったそうな。


今なら当たり前の洋野菜も、初めてのときは、こんなふうに珍妙かつ愉快な話になってしまうのが、面白い。


このピーマンを植えた伯父は、徴兵されて、戦後、シベリアに抑留されたが、奇跡的に生還し、長寿をまっとうした。


宮澤賢治と親交があった森荘巳池の『森荘巳池ノート』を読んでいたら、賢治は、ハイカラな人で、
「花畑、花園ですか、それを造ることは、詩を作ることよりも、ずっとおもしろいことは、おもしろいのですがねえ」と語り、
ドイツやイギリスから種を買って、花を育てていたという。

同様に、大正9年(1920)ごろからトマトやセロリ、パセリなどの洋野菜も栽培していたそうだが、家族には「西洋くさくて、食えない」と不評だったそうだ。

この「西洋くさい」という言い方が愉快だが、森荘巳池も賢治にトマトを勧められたとき、当時、トマトは人肉の味がするという俗説があったそうで、おっかなびっくり口にしたことを述懐している。

賢治はトマトの薄皮を剥き、塩をぱらぱらと振って、食べていたそうだ。

宮澤賢治とトマト、これも不思議な取り合わせである。


森荘巳池の実家は八百屋を営んでいたが、当時、普通に食べられていた野菜は、人参、大根、ゴボウにネギくらいのものだったという。
posted by 城戸朱理 at 14:03| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月16日

吉田屋のこぼれイクラサーモンハラス焼き弁当

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3月12日(日)は、バンビことパンクな彼女が、新宿のオリンパスギャラリーで開催されている東日本大震災復興支援写真展「空でつながる」に出品作家として在廊するため、ひと足早く帰途に着いた。

私は、中村屋のアワビステーキやワイン漬けのイクラ、アワビの肝のバターライス、佐助豚など、お土産を買ってから、盛岡駅へ。


みどりの窓口で、新幹線を早い便に変更し、昼食に駅弁を選んだ。

八戸の吉田屋の「こぼれイクラサーモンハラス焼き弁当」である。

吉田屋は創業明治25年、東北の駅弁の老舗だが、東日本では珍しく、鯖と紅鮭の押し寿司の「八戸小唄弁当」が名物で、両親が好きだったのを思い出す。

関西とは違って、押し寿司自体が珍しかったからだろう。

吉野から手作りの柿の葉寿司を両親に送ったときも喜ばれたが、押し寿司には江戸前の握りとは違って、本来の寿司が持っていた練れた味わいがある。


「こぼれイクラサーモンハラス焼き弁当」は、国産のサーモンのハラスに三陸産イクラを散らしたお弁当で、シンプルだが、素材を生かした駅弁だった。
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2017年03月14日

食道園で元祖・盛岡冷麺を

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さすがに盛岡は、寒い。

ホテルに戻って、暖を取り、翌日の「3・11いわて文化復興支援フォーラム」のディスカッション「震災と詩歌」の資料をまとめた。


夕食は何がいいか、バンビことパンクな彼女に聞いたら――


「食道園で、焼肉と冷麺がいいよ!」


食道園はホテルの目の前だから、寒いなかを歩かなくて済む。


というわけで、バンビと食道園へ。


まずは、ビールを頼み、カルビと上カルビにキムチを注文する。

カルビを前にして御機嫌のバンビは、さっそく佐藤桃花嬢のポーズを真似していた。


食道園では、カルビとロースは生玉子につけて食べるのだが、これはバンビのお気に入りである。


「どうして、盛岡は、こんなに美味しいものばかりあるのかな!」


たしかに食材は豊富だが、バンビ好みのものが多いのだろう。


ビールのあとはマッコリを頼み、締めに冷麺を。

食道園では、盛岡冷麺ではなく、平壌冷麺と呼ぶのだが、牛骨でとったスープが味わい深い。


私が初めて食道園の冷麺を食べたのは、中学生のときだが、当時は今のように辛さを選べなかったので、火が吹けるのではないかと思うほど辛かったが、それでも美味しく思ったものだった。

今では、別辛と言って、キムチを別の小鉢に出してもらって、好みの辛さに調節できるので、初めての人でも食べやすいのではないだろうか。
posted by 城戸朱理 at 07:43| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

白龍のじゃじゃ麺

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3月10日(金)は、あわただしかった。

バンビことパンクな彼女とホテルで朝食を取ってから、午前中は部屋で仕事に励む。

バンビは校正、私は、岩手日報の投稿欄の選評2回分を書き上げてから、「詩とファンタジー」の選評を書く。

午後1時に、急ぎの仕事を終え、それから入浴。


着替えて、遅い昼食を取ることにした。


「さあ、じゃじゃ麺を食べるぞう!」とバンビが意気込んでいたので、パルクアベニュー・カワトク地下の白龍(パイロン)へ。


盛岡のじゃじゃ麺は、平打ちのうどんに干し椎茸ベースの肉味噌、好みでおろしショウガ、おろしニンニク、ラー油に酢を混ぜてから食する。

なぜか、バンビは盛岡冷麺と並んで、このじゃじゃ麺が好きなのだ。


ただし、白龍のじゃじゃ麺は異様に盛りが多いので、ふたりとも小盛りを頼む。


じゃじゃ麺を食べ終えたら、目の前の玉子を割り入れて、お皿を出すと玉子スープになって戻ってくる。

これがチータンタン。

「やっぱり、美味しいね!」


バンビは喜んでいたが、病みつきになる人が多いのは、肉味噌の完成度が高いからだろう。
posted by 城戸朱理 at 07:40| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月13日

ヌッフ・デュ・パプで、就職&誕生日祝い

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夜は、フェリス女学院大学の卒業生で、岩手放送に就職が決まった佐藤桃花さんと待ち合わせ、就職祝いをすることに。

佐藤さんは、島村輝教授のゼミで、卒論は宮澤賢治。

岩手県では、そのうち、テレビで彼女の顔が見られることだろう。


お店は、映画館通りのヌッフ・デュ・パプにした。

支店が東京の六本木にもあるが、ここは、岩手の食材を生かした料理が美味しいし、ワインの品揃えも素晴らしいダイニング・バーである。


まずは、地ビール、ベアレンで乾杯。

殻付の生牡蠣、シャルキュトリー、カボチャのクリームソースのたかきびのニョッキ、佐助豚のホルモン焼きを頼む。

シャルキュトリーは、ホロホロ鳥のハムやパテ・ド・カンパーニュ、白金豚のハムに岩手清流鶏レバーのムースなど、自家製の加工品が並び、ワインに合う。


佐藤さんが、「実は、今日、私の誕生日なんです」と言うので、スパークリングワインをボトルでもらって、再び乾杯。


バンビことパンクな彼女と、佐藤さんの就職活動のことや東日本大震災のときのことなどを聞きながら、ゆっくりと食事をした。


佐藤さんの「お肉がいいです」というリクエストで、メインは白金豚の骨付きロースのグリルと岩手短角牛の稀少部位ミスジのステーキを頼み、フレッシュ・トリュフを追加したカルボナーラを注文。

赤ワインをボトルで追加したが、会話が楽しいと、飲んでも酔わないものだ。


佐藤さんは、白金豚の美味しさに感銘を受けていたが、たしかに、緻密で味わい深い肉と口のなかで溶けるような癖のない脂身は、やはり素晴らしい。


デザートは、名物のチョモランマとクレーマ・カタラーナを。

佐藤さんは、チョモランマに驚いていたが、これは、アイスクリームを積み上げてクレープをかぶせ、雪に見立てた生クリームに、焼きバナナを配した名物デザートである。

さすがに3人前は多すぎたかと思ったが、そこは女子がいるだけに、登頂に成功した(?)。


佐藤さんのように、自分の夢を実現していくしっかりした若者と話していると気持ちがいい。

バンビも感心していたほどである。
posted by 城戸朱理 at 16:40| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京駅で駅弁を選んで

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3月9日(木)は、バンビことパンクな彼女と東京駅へ。

新幹線に乗る前に、駅弁売り場を覗いて、お弁当を選ぶ。

今や、日本各地の駅弁が売られているので、迷うほどだが、私は、宮川本廛の鰻弁当を、バンビは、鳥取のかに寿司と国技館やきとりを選んだ。


宮川本廛は、創業明治26年(1893)。

百年以上続く老舗の弁当が普通に売られているのだから、日本の駅弁文化も来るところまで来た感がある。


幕の内風に取肴を吹き寄せにしたお弁当は、京都の伊勢丹の老舗弁当売り場で扱っているものにはかなわないので、最近は、東京では、鰻や深川飯、柿の葉寿司のように、単品のお弁当を選ぶようになった。

バンビのかに寿司は、かに身で御飯が見えないほどで、なかなか贅沢。

国技館やきとりは、冷めても美味しいので、焼鳥好きのバンビは、喜んでいたが、国技館というところがいい。
posted by 城戸朱理 at 14:14| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月05日

久保田潤個展打ち上げは、ビストロ・オランジェで

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久保田潤さんの個展初日には、北海道から駆けつけてくれた友人もいた。

打ち上げには、10人が参加することになったのだが、鎌倉には、この人数が入れる店は、ほとんどない。

バンビことパンクな彼女が電話したところ、ビストロ・オランジェに席が空いていたので、江ノ電で鎌倉駅に戻った。


まずは、ビールで乾杯し、結局、アラカルトで頼むことに。

注文を任されたので、メニューを読み、スパークリングワインのボトルを3本頼んでから、まずはシャルキュトリーを。

チーズと並んで、ワインには欠かせないシャルキュトリーは、食肉加工品の総称で、自家製のハムや生ハム、フォアグラ入りのパテ・ド・カンパーニュ、鶏レバーのムースが盛り合わせになっている。


サラダは、リヨン風を頼んだのだが、上に乗っているのは、赤ワインで煮たポーチドエッグ。

「これは何だろう?」と騒ぎになったか、割ってみたら、紛れもなく、玉子だった(笑)。

リ・ド・ヴォーのポワレは、フランス産トランペット茸入りのクリーム仕立てで、美味しかった。

ここで赤ワインのボトル3本を追加。


食事は、羊肉と野菜のクスクスを。


最小のパスタ、クスクスに、ストゥブの小鍋で供される羊肉と野菜とスープをかけ、ハリッサ(唐辛子ベースのペースト)を添えて食べるのだが、こればかりは、やはり羊の風味が合う。

羊肉も柔らかく、みんなに好評だった。


ビールで乾杯してから、ワインがボトル6本。

会計をお願いしてみたら、ひとり4060円。

ひとり4000円ていどという私のミッションは成功したが、この店でなければ無理だろうな。
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2017年03月03日

神田きくかわの鰻

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出光美術館で古唐津展を見たあとは、帝劇ビル地下の神田きくかわの支店に、みんなで行くことに。


昭和22年創業で、神田本店は、何度か行ったことがあるが、お重に入りきらないほどの鰻の大きさに驚いたものだった。

なにせ、お重の蓋を取ると、そのままだとお重からはみ出る鰻の尾が折り畳まれているほどなのだから。


鰻はふうわりと柔らかく仕上げられ、タレには、レンゲの蜂蜜を使っているそうだが、むしろ辛めで切れがいい。


まずはビールで乾杯し、鰻の腹身、肝焼きの串をもらい、冷や奴、玉子焼き、たこ酢、さらに鰻の白焼きを頼んで、菊正宗に燗をつけてもらう。


久保田潤さんは、画家ならではの視点で、絵唐津の線の魅力を語っていたのが印象深い。

石田瑞穂くんは、最近、十三代中里太郎右衛門作のぐい呑みを、唐津の人間国宝の作としては破格の安値で掘り出したそうだ。


出光美術館の会場には、小林秀雄と青山二郎が日本橋の骨董屋、壺中居で器を手にしている写真のパネルが展示されていたが、昭和の文学者と古唐津の関係に光を当てた展示に、みんな、感銘を受けていた。

小林秀雄が壺中居で手にしていたのは、絵唐津のぐい呑みである。


そして、鰻で飲みながら、なぜか話題は、すき焼きに。

瑞穂くんは、学生時代、友人とよく小津安二郎監督が得意だったカレーすき焼きをしたそうな。

カレーすき焼きは、小津安二郎監督が、高田高悟とともに茅ヶ崎館にこもってシナリオを書いているときに、来客にふるまったことで知られているが、煮詰まったすき焼きにカレー粉を加えたものだというから、見当がつかない。

傑作だったのは、遠藤朋之くんのすき焼きで、なんと遠藤家では、すき焼きと言えば、トマトとバジルに牛肉とわりしたを入れたトマトすき焼きなのだという。


そうこうするうちに、鰻重が来たが、久保田さんとバンビことパンクな彼女は、折り詰めにしてもらって持ち帰ったのだった。
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2017年02月26日

ビストロ・オランジェで、お手軽フレンチ

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壽福寺から海蔵寺を回った、この日の散歩は2時間。

これくらいだと、ちょうどいい。


バンビことパンクな彼女と相談し、夕食は、ローライ同盟の打ち上げでもおなじみ、御成通りのビストロ・オランジェで取ることにした。

以前は、ル・ポアン・ウェストという店名で、御成通りのもっと先で営業していたのだが、鎌倉駅の近くに移転してから店も広くなり、予約なしでも入れるのが嬉しい。

ル・ポアン・ウェスト時代には、柳美里さん一家と会食したこともあった。


入店してみたら、開店2周年のサービスで、なんとスパークリングワインが、1000円で1時間飲み放題。

さっそく、バンビとスパークリングワインを頼んで、メニューを読む。


この日は、まずプロヴァンス風烏賊のラタトゥイユとアンディーブ・アラ・フランドル(フランドル地方のジャガイモとアンディーブとブルーチーズのグラタン)から。

バゲットとバターも頼んだが、私はスパークリングワインを飲むのに専念(?)。


さらに、リ・ド・ヴォーのムニエルを。

リ・ド・ヴォーは、仔牛の胸腺で、成長するにつれて無くなるため、ホワイトヴィール(ミルクだけで育った仔牛)からしか取れない稀少部位で、フレンチには欠かせない食材である。

黒トリュフのソースでいただくのだが、バンビは、リ・ド・ヴォーのふわりと柔らかく、口のなかにさらりとした脂が広がる食感を喜んでいた。

たしかに、似たようなものが思いつかない食感である。


メインは、ブルターニュ風仔羊のローストを頼む。

スパークリングワインの飲み放題が時間切れになったので、赤ワインをグラスでもらったのだが、これが、まったりしたフルボディで、とても良かった。

銘柄を聞かなかったのが悔やまれる。


ビストロ・オランジェの会計は、チェーン店の居酒屋と変わらないので、気楽に立ち寄れるのがありがたい。
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2017年02月13日

夕食は、クルベル・キャンで

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御成町法律事務所で打ち合わせを終えたあと、実に久しぶりに、立ち呑みヒグラシ文庫に立ち寄り、鯖の燻製を頼んで、モルツの生を飲んだ。

この何年か、鎌倉で飲む機会も、外食する機会も激減しているので、ようやく普通の暮らしが戻ってきたような気分になる。

こうしてみると、小林秀雄の、自分の生活なんて誰かにやらされているようなものだという発言も、真実のように思えてくる。

自分の意思だけで何とかなることの、なんと少ないことか。


夕食は、バンビことパンクな彼女のリクエストで、クルベル・キャンへ。


ジントニックを飲みながら、バンビの到着を待って、ジャガイモのフリット、生牡蠣に真鯛のカルパッチョを頼む。

アンチョビが香るフリットは、ビールにもワインにも合うし、姫路産の生牡蠣は、バンビが目を丸くするほどクリーミィで美味しい。

バンビは、プロセッコを頼んだが、生牡蠣とスパークリングワインの相性の良さは言うまでもないので、私もプロセッコを貰うことにした。


真鯛は、2日ほど寝かせたものだろうか、旨みが凝縮した感じで、つい、これで鯛茶漬けをしたら美味いだろうなと思ってしまう。


肉料理は、やはりバンビのリクエストで、ミラノ風カツレツを。

叩いて薄くのばした鶏肉のカツレツで、クルベル・キャンの定番だが、スナック感覚だから、飲みながらつまむのにうってつけである。


パスタは、岩海苔と芝海老のクリームスパゲッティにした。

和風の食材をクリーム仕立てにするのだから意外だが、これが実によく合う。


バンビによると、滝沢シェフの料理は、最近、ますます美味しくなっているとのことだが、私もそう思う。

最後は、シングルモルト。


鎌倉に住み、鎌倉で飲むという、当たり前の日々が、今年は、帰ってくるのではないだろうか。
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2017年02月11日

ぬか漬けを作ると

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急逝した日本画家の瓜南直子さんは、ぬか漬けを作っていたので、飲み屋で会ったときに、よく分けてくれたものだった。

キュウリや茄子はもちろん、セロリやゆで卵が絶品で、ゆで卵のぬか漬けが酒の当てになるのを教えてもらったっけ。

すると、ある日のこと。

バンビことパンクな彼女が、ぬか床を作って、ぬか漬けを作り始めたのである!


「鹿千代にござりまする。」
・・・

また、鹿千代になっている。

「ぬか床を作って、ぬか漬けを漬けてみました」

自家製のぬか漬けが食べられるとは、ありがたい。

だが、今の季節はともかく、夏にぬか床をキープするのは大変である。

一日一回は、手でかき混ぜなければならないし、出張のときはどうするのだろう?


「糠之丞は、旅にも連れて参ります」

糠之丞(ぬかのじょう)???

「ぬか床の名前でござりまする」
・・・・・・


北村一輝主演で人気を博し、映画化までされたTVドラマ「猫侍」に登場する白猫の名前が、「玉之丞」。

どうやら、そこから取ったらしい。

普通、ぬか床に名前などつけないが、そういえば、瓜南さんもぬか床に「春駒」という名前を付けていたような。


まあ、名前があろうがなかろうが、自家製のぬか漬けがいつもあるのは悪くないので、今回はよしとしよう。

ところで、井上春生監督に試写の時間は伝えたのだろうか。


「酉の刻暮れ六つ前と伝えましてござりまする」
・・・・・・


時刻まで江戸時代の太陰暦になってしまった――

パンクだから仕方ないが、いいのだろうか、これで?
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2017年02月06日

散歩のあとは、「天ぷら ひろみ」で

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バンビことパンクな彼女が「材木座だから、すぐだよ!」と言うものだから、そのつもりで出かけたのだが、気づくと、家を出てから3時間も歩き回ることになってしまった。

またもや、「素敵な道案内」バンビに騙されたのである!


さすがに、お腹が空いたので、バンビと相談して、小町通りの「天ぷら ひろみ」で、夕食がてら飲むことにした。


小林秀雄や永井龍雄、澁澤龍彦ら鎌倉文士に、小津安二郎監督が通った鎌倉の老舗である。


私は、天ぷら定食の「日和」、バンビは、穴子天丼を頼み、当てに生ウニとずわい蟹の磯辺揚げをもらう。

酒は、菊正宗純米を熱燗で。


「日和」は、海老、キス、蟹、帆立に、いんげん、椎茸、ししとう。

これに御飯と赤だしが付く。


穴子天丼は、穴子と海老、ヤングコーン、いんげん、椎茸、ししとうがのっている。

生ウニとずわい蟹の磯辺揚げは、酒によく合うが、海老の頭と穴子の骨せんべいも、酒にはうってつけである。


「あっという間に食べちゃうなあ!
ゆっくり食べよう!」とバンビ。


歩き回ったあとだけに、天ぷらが、ことのほか美味い。


結局、飲んだのは、ビールを1杯と菊正宗3合だけ。

脚がだるくなるまで歩き回ると、逆に呑めなくなるらしい。


帰宅してから、天狗舞山廃純米を、少しだけ呑み足した。
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2017年02月03日

自宅で、アフタヌーン・ティー

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日曜日のこと。

前日、3時間近く歩き回ったせいか、バンビことパンクな彼女が、なかなか起きてこなかった。

ときどき、「ちゅんちゅん」とスズメの鳴き真似をしているので、起きたかと思うと、やはり寝ているのである。

スズメになった夢でも見ているのだろうか?


バンビが起きるのを待って、昼食に英国風フィンガー・サンドイッチを作ることにした。

キューカンバー(キュウリ)とレバーペーストの2種類である。


キューカンバー・サンドイッチは、パンにバターと、片面にマスタード、片面にマヨネーズを塗り、薄切りのキュウリをはさむ。

さらにバターを塗ったパンの片面にレバーペーストを伸ばし、片面に建長寺の蜂蜜を塗って、合わせると出来上がり。

ラップして、重しをかけ、落ち着いたら、耳を落として、細長く切る。


サンドイッチが出来たあたりで、ようやくバンビが起きてきた。


「あ! サンドイッチを作ってもらえたようだよ!」


もう、お昼を回っていたので、フィンガー・サンドイッチとケーキで、アフタヌーン・ティーの用意をする。


ケーキは、いただきものの東京會舘のカラフルでクラシックなケーキ。

これにスコーンがあれば、完璧なのだが。


バンビは、ポットで紅茶を淹れ、さっそく、サンドイッチを食べ始めた。


レバーペーストのサンドイッチを食べると「美味しいね!」と喜び、次はキュウリ、またレバーペーストと、交互に食べている。


「交互に食べるのがいいんだなあ!」とバンビ。


たしかに、濃厚なレバーペーストと、あっさりしたキュウリは、交互に食べるとバランスがいい。


すると、今度は緑茶を淹れて、「フルーツ餅も食べようよ!」と言い出した。

大阪の友人が送ってくれた吹田の松竹堂のフルーツ餅は、初めて食べたが、イチゴやミカン、メロンなど生の果物を入れたお餅で、果物を上品な白餡でくるみ、お餅はふわふわと柔らかい。

果物の酸味と白餡にお餅の控え目な甘みが、よく合う。


「デザートに最高だね!」とバンビが喜んでいた。
posted by 城戸朱理 at 13:33| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月02日

町の中華、大船なら

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去年、「ブルータス」誌で「町の中華」が特集されたときは、何やら感慨深いものがあった。

「ブルータス」は、1990年代前半に、私もフリーランスのエディター&ライターとして仕事をさせてもらったが、当時ならば、こんな特集はありえなかった。

メディアにも、地に足がついた企画が求められているということなのだろう。


鎌倉で掲載されているのは、このブログでも紹介したことがある「あしなや」のサンマー麺。

神奈川の地ラーメン、サンマー麺は、横浜発祥、野菜の餡掛け麺である。


東京の下町のように、朝から開いている居酒屋がないかぎり、日中から酒を飲もうと思ったら、蕎麦屋か中華しかない。

その意味では、町の中華は、食堂のみならず、飲み屋の機能も合わせ持った有難い存在である。


ちなみに、町の中華は、鎌倉なら「あしなや」、北鎌倉なら「大陸」。

大陸は、日本画家の瓜南直子さんが晩年、ひいきにしていたっけ。

そして、瓜南さん、洋画家の伴清一郎さんと一緒に行ったときは、海老の塩炒めやキクラゲと玉子炒めで飲んだが、瓜南さんが、ケチャップ味のチキンライスを気に入っていたのが、面白かった。


そして、大船なら石狩亭だろう。


常楽寺を訪ねたあと、バンビことパンクな彼女が、


「石狩亭で餃子でビールはどうかな?
たくさん歩いたから、きっとビールが美味しいよ!」


と言い出したので、私も激しく賛成し、石狩亭で飲むことにした。

まずは、餃子とレバニラ炒め。

ニンニクががつんと効いた石狩亭の餃子は、、ビールと相性がいい。


「3時間近く歩いたから、餃子をひとりで3枚くらい食べられるね!」とバンビ。


たしかに、ビールはうまかったが、寒いなかを歩き回ったあとだけに、顔が火照り、バンビも私も思ったより食べられない。

食事に炒飯とコーンスープを頼んでシェアしたのだが、かなり残してしまった。

だが、石狩亭は汁物以外は残しても持ち帰りできるので無駄がない。

ころも町の中華の良さだろう。
posted by 城戸朱理 at 11:37| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月27日

鰻のつるや

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「かまくら春秋」対談のあとは、伊藤玄二郎代表に由比ヶ浜通りの「つるや」に連れていっていただいた。

もう何年も、私は来客があるときしか行けないが、柳美里さんも鎌倉に住んでいたころ、、つるやから出前を取っていたっけ。


創業1929年の老舗で、かつては川端康成、小林秀雄、立原正秋ら、鎌倉文士が通った店でもある。


この店は、注文を受けてから鰻を捌くので、予約しておかないと、1時間近く待つことになる。

私が初めて、つるやを訪れたのは、もう30年ほど前になるが、そのときは、お新香でビールを飲みながら、1時間近く待ったものだった。


甘味を抑え、ふうわりと焼き上げられた蒲焼きは、実に酒に合うので、吉増剛造さんも気に入られている一軒だ。
posted by 城戸朱理 at 14:44| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月24日

福島名物、円盤餃子

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去年の夏、ロケで福島に行ったとき食べた円盤餃子。

一個はひと口サイズで、井上春生監督と、すぐに、もうひと皿、追加したっけ。

夜、iPhoneで去年の写真を確認していたら出くわしたのだが、餃子でビールをしたくなった。
posted by 城戸朱理 at 22:52| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月23日

向田邦子の牛乳スープ

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『向田邦子の手料理』を読み直し、牛乳スープなるレシピを見つけたので作ってみた。


骨付きの鶏腿肉を使うのだが、手羽元で代用する。

まず、バターで鶏肉に焼き色を付け、ジャガイモも炒めて、ひたひたの水で煮る。

火が通ったら、牛乳を加え、なじむまで煮て、仕上げに黒胡椒を。

調味は塩だけで、水で煮る段階で加えると鶏肉にも味が入る。

私は、水のかわりに鶏ササミをローリエ・白胡椒5粒・塩で煮て、ササミのハムを作ったときのスープを使った。


バターの風味と黒胡椒の香りを生かすために、鶏とジャガイモのみというところが、向田さんらしい。


バンビことパンクな彼女が、活帆立のカルパッチョと茸の炒め物を作り、牛乳スープを出して、晩酌を始めたのだが、この牛乳スープ、シンプルなのにこっくりとしたコクがある。


「美味しい!」とバンビは喜び、「生麺を入れて、牛乳ラーメンにしても、きっと美味しいよ!」と言い出した。

見た目は、豚骨ラーメン風になるだろうが、実は牛乳というのが面白い。


向田邦子は、大きなプロ用のずんどう鍋で、いつも、たっぷりスープを仕込んでいたそうだ。

執筆中に小腹が空いたときや、お酒のあとに、寒い日にはスープでおじやを作ることもあったという。
posted by 城戸朱理 at 13:04| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする