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城戸朱理のブログ: 美味しい話

2017年11月22日

せいこ蟹、到来

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北陸の冬の味覚、せいこ蟹。


これは、雌のズワイガニのことで、小振りながら、内子と外子を持ち、味わいは濃厚、福井では香箱蟹とも呼ばれる。


資源保護のため、漁期は11月6日から1月10日と限られており、今年は解禁されて間もない10日に、京都の「ごだん宮ざわ」でいただくことが出来た。


ところが――


せいこ蟹の美味しさに目覚めたバンビことパンクな彼女は、ひそかに、せいこ蟹を現地に注文していたのである!


かくして、17日に、せいこ蟹五杯が到着。


バンビはフランス産のスパークリングワイン2本を準備し、さらに冷凍してあった中村屋のアワビステーキグラタンまで出して、夜に備えているではないか。



あくなき好奇心と旺盛な食欲で、世界中の美味という美味を食べ尽くした作家、開高健も、「日本海の蒸したての蟹」を最上の美味に数えており、その開高健が、せいこ蟹に寄せた文章がある。




丹念にほぐしていくと、赤くてモチモチしたのや、白くてベロベロしたのや、
暗赤色の卵や、緑いろの味噌や、なおあれがあり、なおこれがある。

(『地球はグラスのふちを回る』)




戦後屈指の美文家だけに、官能的なまでの描写だが、北陸の蟹に魅せられた開高健は、毎年、冬になると蟹を食べるために福井に旅したそうだ。


田村隆一もまた、北陸の蟹に魅せられたひとり。

『素晴らしき新世界』にさりげなく書かれているのだが、田村さんは越前ガニが、お好きだったようだ。



さて、せいこ蟹である。

解体して、戦前の瀬戸の白磁角大皿にどさりと盛り付ける。

身の甘さに驚き、蟹味噌の濃厚さに唸り、オレンジ色の内子と茶色の外子の歯応えを楽しみ、まさに「なおあれがあり、なおこれがある」とは至言。


バンビは、目が三日月型になっている。

これは、美味しいものを食べているときのバンビの特徴なのだった。
posted by 城戸朱理 at 11:17| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

隠れ家のようなバーで

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もう一軒行くことになり、福與伸二さんが連れていってくれたのは、銀座七丁目のバー・ネプラスウルトラだった。

こんなバーがあるのは、まったく知らなかったが、会員制だから当然だろう。


階段を地下に降り、福與さんが会員カードをかざして扉を開けると、そこは重厚な調度の空間が広がっている。


この店は、1970年代を中心にしたヴィンテージのウィスキーとブランデーのコレクションが充実しており、福與さんのセレクトで、ブレンデットとシングルモルトを頼んだ。


こうなると、話題はウィスキーのことになる。

福與さんによると、1960年代のウィスキーは、第二次世界大戦中に仕込まれたものが多く、
混乱期だけに仕事が粗いそうで、むしろ、戦後に仕込まれたウィスキーのほうが安定しているのだそうだ。


今や、世界的な評価を誇るジャパニーズ・ウィスキーだが、やはりアイラ島のオイリーなシングルモルトなどに比べると、淡白なところがある。

それが、日本のウィスキーなのだろうし、和食にも合う所以だろうか。


写真は、左から徳山喜雄さん、福與伸二さん、小川英晴さん。

小川さんが取り持ってくれたご縁だが、私にとっては贅沢な時間だった。


しかも、ここでも福與さんに御馳走になってしまったので、次回は私がお招きしなくては。
posted by 城戸朱理 at 12:45| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

それでも飲みに行く?

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京都にいるとき、詩人の小川英晴さんから、お誘いがあった。


サントリーのチーフブレンダー、福與伸二さんが上京されるので、飲み会が催されることになったのだという。


迷った。


大いに迷った。


なぜかというと、身体を冷やしたのか、京都から戻った日に、風邪をひいてしまったのである。


しかし、メンバーは、国学院大学の教授でジャーナリストの徳山喜雄さんに小川さん、そして福與さんである。


しかも、福與さんが行きつけにしている店に行くとなると、風邪くらいで断るわけにはいかないではないか。


かくして、懲りない私は、京都から戻った翌日、13日に、ふらふらしながら銀座に向かったのだった。

まったく、困った人である。



待ち合わせは、銀座の菜庵。

資生堂に近いビルの三階にある隠れ家のような店で、たどり着けるか不安だったが、意外と簡単に見つかったのでホッとする。


この店は、日本酒以外は、サントリーのみ。

まずは、プレミアムモルツで乾杯し、しばし、ウィスキー談義が続く。


「家庭料理みたいなものしか出せませんが」と女将さんは言うが、
鰹の叩き、締め鯖から始まった料理は、工夫が凝らされ、ウィスキーの水割りによく合った。


「こういうときは、角の水割りが合いますね」と福與さん。


ウィスキーの水割りやハイボールは、日本風の飲み方になったことを思わず納得してしまったが、
このメンバーだと、話題も酒から音楽、美術、そして政治と何でもありで、時がたつのも忘れるほどだった。


posted by 城戸朱理 at 12:18| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月18日

夕食がロケ弁当?

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それにしても、よく歩いた4日間だった。


京都でなければ、こんなには歩き回らなかったかも知れない。


ごだん宮ざわ、平野屋と、2日続けて素晴らしい料理をいただいたので、今回は老舗料亭の弁当ではなく、私は、ロケ弁当の専門店、穂久彩の「京都太秦名物 ロケ弁当」を、バンビことパンクな彼女は吉野の柿の葉寿司を購入した。



京都は、映画やテレビのロケが多い。

穂久彩は、京都市内であれば、どこでも配達してくれるロケ弁当の専門店だが、去年あたりから、京都駅でも見かけるようになった。


大学卒業後、太秦の東映撮影所に就職した井上春生監督には、なじみ深い弁当らしく、ときどき食べたくなると言っていたっけ。



新幹線の車中では、地ビールを飲みながら、読書。


帰宅してから、出汁仕立ての湯豆腐を作って、お弁当を開いた。


塩鯖、鶏の唐揚げ、鰻と、定番の取り肴だが、出汁巻き玉子と梅の生麩をあしらった炊き合わせが、京都らしい。


この弁当、ロケの途中に何度も食べたが、私も、たまに食べたくなるようになった。


近年、雑誌などでロケ弁当の特集が組まれ、テレビ局がどこにお弁当を注文しているか、どんな内容なのかが紹介されたりしているが、穂久彩のお弁当は、多彩なうえ、上品な味である。
posted by 城戸朱理 at 09:36| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

京都の町中華〜マルシン飯店再訪

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11月12日は、帰るだけなので気持ちが軽い。

荷物をトランクにパッキングして、宅急便で送り出し、糸屋ホテルをチェックアウトした。


身軽になったので、バンビことパンクな彼女と、烏丸松原から四条、さらに錦市場で買い物をして、祇園へと散策する。


鍵善良房で干菓子を買ったり、知恩院前の一澤信三郎帆布を覗いたりしながら、歩き回っていたら、お昼どき。


バンビが「また、マルシン飯店で餃子を食べたいね!」と言うので、東大路を上り、マルシン飯店に行った。


マルシン飯店は、店の外で何組か待っている人が並んでいるほどの繁盛ぶりである。



待つことしばし、席が空いたので、メニューをじっくり読んでみた。


まずは、バンビのリクエストの熟成豚肉の餃子を頼んで、ビール。

店のお勧め通り、たっぷりの胡椒に酢をかけたものに、普通の餃子のタレを用意する。



「やっぱり、美味しいね!
近所にあったら、毎日、通っちゃうなあ!」



バンビはよほど気に行ったらしいが、たしかに熟成した豚肉だけに癖がなく、実に軽い食感である。


さらに、天津飯があれだけ美味しいということは、スープが美味しいということだから、ラーメンも美味しいに違いないというバンビの意見で、チャーシュー麺を、さらに、蟹玉と炒飯を頼んでみた。


ふたりだと多すぎるが、汁物以外は残しても包んでもらえるから、中華は楽である。


チャーシュー麺は、昔懐かしい中華そばといった風情、蟹玉も普通の甘酢餡掛けで、天津飯ほどのインパクトはない。


やはり、マルシン飯店では熟成肉餃子と天津飯を頼むのが正解らしい。


常連客は、八宝菜に天津飯とか、驚くほどボリュームがある豚肉の天ぷらに五目ラーメンとか、思い思いのものを頼んでいる。


いかにも町中華の眺めで、それがまた楽しい。


京都で町中華に入ったのは、今回が初めて、レパートリーが広がったものだから、バンビも喜んでいたのだが――



「んふう〜。
お腹がぽんぽんだよ〜。
ぽんぽんで苦しいよ〜」



食べ過ぎて、お腹が「ぽんぽん」になってしまったのである。


パンクだから仕方がないが、いいのだろうか、これで?
posted by 城戸朱理 at 09:33| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月17日

洋食になった糸屋ホテルの朝食

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糸屋ホテルの朝食が変わった。


以前は、具沢山の味噌汁を中心に、焼魚と出汁巻玉子に日替りの小鉢という和食だったが、今年の5月から洋食に。


今回もオランダからの団体客が宿泊していたが、ロビーでもエレベーターでも、日本語を聞くことがなかった。

海外からの宿泊客が増えたので、食事も洋風にしたのだろう。


今回の4泊5日の京都滞在では、朝食抜きで動いていたのだが、最後の日に、新メニューの洋食を試すことができた。



メニューは、サンドイッチなど4種類。



バンビことパンクな彼女は、ハムにトマトとチーズを挟んだパニーニ、
私は、エッグベネディクトを選ぶ。


ニューヨークの朝食の定番、エッグベネディクトは、イングリッシュマフィンにベーコンとポーチドエッグを乗せ、
オランデーズソースをあしらったもので、ニューヨークのレストランだと、玉子料理に分類されるのが面白い。

オランデーズソースはマヨネーズに似ているが、マヨネーズが卵黄・油・酢で作るのに対して、卵黄にバター、レモン果汁を混ぜて乳化させたもので、魚料理にも合う。

玉子を切ると黄身が流れ出す。



洋食になっても丁寧な仕事ぶりで、さらに添えられた野菜が驚くほど美味しい。


グリーンサラダのドレッシングも良かったし、軽くマリネした赤タマネギや人参、
ソテーした茸やポテトと、適度なボリュームで、
バンビも「サンドイッチは具沢山だし、野菜も美味しいね!」と喜んでいたほど。



洋食になっても、プチホテルならではの、神経が行き届いた朝食だった。
posted by 城戸朱理 at 09:35| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鮎茶屋 平野屋で、その2

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平野屋では、春は筍と山菜、初夏から秋までは鮎、秋が深まると松茸、冬はぼたん鍋と献立が変わるが、今回は、嬉しいことに、この季節には珍しくも子持ち鮎の塩焼きが出た。


中居さんは「珍しく捕れました。最後の子持ち鮎です」と言っていたが、鮎の塩焼きほど酒に合うものはない。



そして、いよいよバンビ待望のぼたん鍋である。

今年初めてのぼたん鍋なそうだから、運よく終いの鮎と走りの猪肉に出会ったことになる。


出汁を張った土鍋に猪肉と菊菜、白菜、京芋や蕪、ささがきの牛蒡に人参、椎茸や榎茸を入れ、煮立つのを待つ。


野菜は大皿に山盛りで供されるので、凄い量である。



ぼたん鍋は、醤油、柚子、好みで味醂を入れた大根おろしでいただくのだが、猪肉はいくら煮ても固くならないし、肉からも出汁が出て、出汁を吸った野菜、とりわけ蕪の旨さたるや、蕪とは思えないほど。


あれだけ大量にあった野菜もバンビとふたりで、ほぼ食べ尽くし、それから御飯とお餅を入れた雑炊となるのだが、
雑炊を食べていると、牡丹鍋が目当てだったのが、それとも鍋のあとの雑炊が目当てだったのか、分からなくなるほど旨い。


バンビも大満足で、目が三日月型になっている。

これは美味しいものを食べているときのバンビの特徴なのだった。


最後に水菓子をいただいて食事は終わり、小憩してから、タクシーを呼んでもらった。



女将さんや中居さんに見送られて、ホテルに戻ったのだが、来年は、鮎の塩焼き、鮎のお粥に鮎飯が美味しい季節に再訪したいものだ。
posted by 城戸朱理 at 09:00| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鮎茶屋 平野屋で、その1

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夕食は、愛宕神社の一の鳥居のたもとで400年続く鮎茶屋・平野屋を予約した。


平野屋は、かつては、保津川の清流で捕れた鮎を提供する鮎問屋を営んでいたが、やがて鮎料理も出すようになったという老舗で、白洲正子さんも通った店である。



一昨年の8月に鮎尽くしの料理をいただいて感嘆、昨年の12月には熊肉、さらに猪肉のぼたん鍋を食べて、またもや感動したが、
ごだん宮ざわの宮澤政人さんも、「あれが料理というものだと思うんです」と平野屋さんを賞賛していた。

宮澤さんは、家族と行って感銘を受け、さらにお弟子さんを連れていったという。



バンビことパンクな彼女は、ぼたん鍋が食べられるので興奮している。


たしかに、平野屋の料理には、自然の力がみなぎっており、それをそのまま身体に取り入れるようなところがある。



最初に供されるのは、お茶と愛宕名物、志んこ団子。

素朴な米粉の団子で、ねじれた形は愛宕山の九十九折(つづらおり)の坂道を模したもの。

きな粉と黒糖がまぶされた志んこ団子は、バンビの大好物である。


それから山菜が出る。

真ん中の見慣れない茎状のものは虎杖(いたどり)で、利尿効果があるため生薬にも利用されるが、独特の風味と歯応えは癖になる美味しさ。

蕗の薹味噌も、素晴らしく風味がいい。



そして、鯉の洗いが出たところで、熱燗を頼んだ。


清流で育った鯉は癖がなく、酢味噌も絶品。


これは、昨年も不思議に思ったのだが、老舗の和食屋には珍しくも、なぜか、ツマがキャベツの千切りである。

十四代目になる女将さんに尋ねたら、鯉の洗いに必ずキャベツをリクエストする常連さんがいて、それ以来、定着したらしい。


たしかに、キャベツを鯉で巻いて、酢味噌に付けて食べると、面白い食感になる。
posted by 城戸朱理 at 08:53| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

江戸川で鰻を

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結局、どの店も満席で、たどり着いたのは花遊小路の江戸川だった。

新京極から、わずかに外れただけで、嘘のような静けさになる。



鰻の串焼きを、ひと通り焼いてもらって、ビールで喉を潤した。


串焼きは、レバー、くりから、しろばら、肝焼き、ひれ、かぶとである。


レバーは肝から半月状のレバーだけを串に打ったもので、山椒塩に辛子。

くりからは背の部分でタレで、しろばらは、腹身を塩焼きにしてワサビでいただく。

ひれはニラを鰻のひれで巻いたもので、なぜか鰻の旨みが凝縮している。


ちなみに、写真は、レバー・くりから・しろばら・ひれの四本。



肝吸いをふたつに、鰻丼はひとつだけ頼んで、バンビとシェアしたのだが、静かな店で、ようやく落ち着くことが出来た。
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2017年11月16日

秋のごだん宮ざわで、その4

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料理が終わって、土鍋で炊き上げた御飯が出た。

まずは煮えばなをひと口。

煮えたお米が、次第に御飯になっていく過程を楽しめる。


いつもなら、とうに満腹で、御飯が食べられなくなるバンビも、歩き回ってから、さらにゆっくりお風呂に入って、お腹を空かせるという作戦が図に当たり、三膳もおかわりしていた。

自家製の糠漬けに白味噌で炊いたじゃこも美味しい。



水菓子は梨のジュースという新機軸。

繊細なグラスは、宮澤さんが、9月にバルセロナに行ったときに求めたものだという。



最中をいただき、お薄を点ててもらったが、この茶碗も初見。

尾形乾山だが、本来は蓋物で、蓋も見せてくれた。



さらに、初見の乾山の銹絵四方筒向付けを見かけたので、宮澤さんに尋ねたら、なんと絵替わり十客を求めたというではないか。


高級外車に匹敵する値なのは間違いないが、宮澤さんは「どうしましょう」と笑っている。



料理の味だけではなく、器と料理の姿を追求し続ける姿勢が、素晴らしい。
posted by 城戸朱理 at 12:42| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

秋のごだん宮ざわで、その3

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揚げ物は、琵琶湖のワカサギと蓮根。


「この器は初めて見るね」とバンビが言っていたが、尾形乾山の銹絵角皿、勢いのいい書き銘は、紛れもなく鳴滝時代の作である。



北大路魯山人の備前割山椒で出されたのは、柿なます。

甘海老と蜜柑に千切りにした柿が盛られ、いい箸休めになった。



そして、おしのぎは、蒸し上げたばかりの餅米に、自家製カラスミを乗せた飯蒸しである

「おかわりしたいね!」とバンビが言っていたが、まったく同感。

井上春生監督は、目を閉じて味わっていたっけ。

初見の器は、その色調から古九谷かと思ったが、南京赤絵とのこと。


小鍋立ては、幻の魚、クエと白菜だった。


クエは対馬沖で揚がった1kg大のものだという。

昆布を強めに引いた出汁も素晴らしいが、クエの旨みたるや、幻の名に値する。
posted by 城戸朱理 at 12:35| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

秋のごだん宮ざわで、その2

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お造りは、石垣鯛と北海道産の塩水ウニ。

山口の安来ネギとミョウガが添えられ、土佐醤油がかけまわされている。


器は明末清初に中国、景徳鎮で焼かれた古染付けだが、京都で骨董屋を回ると、茶席の懐石に珍重されたためか、古染付けの遺品は思いのほか多い。

しかも、懐石用に五客、十客といった組みものになっていて、このあたりは、東京とは違うところだろう。


宮澤さんのお造りは、創作料理の域で、こよなく酒を呼ぶ。



続いて、贅沢な伊勢海老と白舞茸は、なんと昆布とブラウンマッシュルームだけで取った香り高い出汁が張られている。

伊勢海老の加熱は、半生で、そこに出汁がからみ、経験したことのない味わいだった。


器は、高麗青磁。

13世紀ごろのものだろうか。

バンビの高麗青磁は、秘色と呼ばれた透明感のある青だったが、料理に気を取られて、バンビは気づかなかったようだ。



定番の焼き胡麻豆腐は、枝豆を練り込み、煮帆立をあしらい、枝豆の餡がかけられている。



そして、すっぽんの煮凝りとキャビア。

バンビは絶句して、目を丸くしている。


これは――禁断の味と言うしかない。
posted by 城戸朱理 at 12:31| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

秋のごだん宮ざわで、その1

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ごだん宮ざわも訪れるのは久しぶりで、春以来になる。


開店したのが、2014年7月14日。

パリ祭の日だから覚えやすいが、私が初めて訪れたのが、その年の9月で、それから通いつめ、暖簾をくぐるのは、今回で30回目となった。

我ながら、やりすぎとも思うが、それだけ惚れ込んでしまったということなのだろう。



本阿弥光悦のお軸を前に、まずは、了入の赤楽で煎米茶。


宮澤政人さん手ずから注いでくれる食前酒は、滋賀の喜楽長である。



先付けは、嬉しいことに今月6日に、解禁になったばかりの、こっぺ蟹だった。

北陸では、せいこ蟹、香箱蟹とも呼ぶ。


バンビことパンクな彼女は予想が当たって大喜び。


蟹身をほぐし、内子と外子に和えてあるので、蟹の旨みに没頭できる。

そのままでも十分だが、添えられた生姜酢につけると、また違う風味が楽しめるところもいい。

ビールから始めたのだが、こっぺ蟹には日本酒とバンビが言うので、早々と燗をつけてもらうことにした。


器は、北大路魯山人の縁なぶり備前平向付けである。



続いて、山中漆器の辻石斎による魯山人意匠ののお椀は、甘鯛と蕪に加賀野菜の金時草。


滋味あふれる出汁に、甘鯛の旨みが一体となって、何も言うことはない。

金時草は、関東ではお目にかからないが、新若布に似た面白い食感だった。
posted by 城戸朱理 at 12:26| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

京都の町中華〜龍鳳

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「幻を見るひと」特別先行試写も無事に終わった翌日の11月10日。


糸屋ホテルのロビーで、吉増剛造さんと今後の展開を打ち合わせたあと、吉増さんは別件の打ち合わせに向かった。



私とバンビことパンクな彼女は、夜の打ち合わせまで時間があるので、再び、京都散策に。

そぞろ歩きしながら、目についたお店を冷やかしているうちに、昼食の時間になった。



昨日のマルシン飯店が楽しかったので、また町中華に行こうということになり、入ったのは新京極六角の龍鳳。



風中華の源流、鳳舞の味を受け継ぐ店だという。



構えは、昭和中期のレトロな町中華。



観光客が来るような店ではないが、途切れることなく、次々と地元客が入ってくる。




まずは餃子をもらって、ビールで乾杯。


酢豚を頼んでみたのだが、これには驚いた。

揚げたての豚肉は、肉汁が封じ込まれて、あくまでも柔らかく、軽く炒めた野菜のしゃきしゃきとした歯応えも素晴らしい。

高級店でも滅多にお目にかかれない出来なのに、これが750円。

京都の町中華は、これまでの価値観が崩壊するような凄さがある。



名物は、茹でた麺を辛子で和え、餡掛けにした龍鳳撈麺(りゅうほうろーめん、辛子入りそば)。

餡の具材は、鶏肉と海老、干し椎茸、小松菜、ネギで、出汁が奥深い。

口にすると、辛さが鼻に抜けるが、これまた癖になる味だった。



常連客は、炒飯と炸鶏(鶏の天ぷら)を頼んでいる人が多かったので、これも龍鳳撈麺と並ぶ人気メニューなのだろう。


次回は、炸鶏で飲んでみなくては。
posted by 城戸朱理 at 01:25| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月15日

京都の町中華〜マルシン飯店

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11月9日は、夕方に会場入りするまで時間があったので、バンビことパンクな彼女と寺町あたりを散策した。

朝食抜きだったので、歩き疲れたうえに空腹を覚え、入ったのは京都の町中華の名店、東大路三条のマルシン飯店である。


この店の名物は、熟成豚肉を使った餃子と天津飯。


まずはビールで喉を潤し、茹で餃子一人前と焼き餃子二人前を頼む。

熟成肉餃子には、たっぷりの胡椒と酢が合うと張り紙がしてあったので、酢&胡椒と醤油・酢・ラー油、二種類のタレを作ってみた。


餃子は小振りで、肉餃子なのに軽やかである。


「んふ!
とっても美味しい餃子だよ!」


餃子好きのバンビが喜ぶほどだから、並ではない。


そして、天津飯。


ふわふわの玉子の餡がたっぷりかかり、出汁が効いていて、これまた癖になる。

東京で天津飯というと甘酢餡掛けだが、マルシン飯店は甘くない、あっさりとした醤油味で、食べ飽きしない。


しかも、マルシン飯店は午前11時から、翌朝6時までの営業。


京都で町中華に入ったのは初めてだが、脂っぽさはかけらもなく、全体にあっさりしている。


どうやら、町中華にもお国柄というものがあるらしい。
posted by 城戸朱理 at 10:45| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月14日

新京極のスタンドで、その2

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鯛が良かったので、まぐろの刺身も追加し、燗をつけてもらう。


オムレツを頼み、さらに、おでん。


ふたりで飲みながら「国宝」展の印象をあれこれ語り合ううちに、脚の疲れが引いていった。
posted by 城戸朱理 at 12:14| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新京極のスタンドで、その1

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夕食は、鰻屋かねよで、久しぶりに分厚い出汁巻き玉子を乗せた鰻丼を食べるつもりだっただが、京都国立博物館から東急ハンズと、
歩きづめだったので、新京極のスタンドの前までたどり着いたところで、バンビが「今日はスタンドでじんわりしようよ」と言い出した。


私も歩き疲れて、一刻でも早くビールを飲みたい気分だったから、そのままスタンドに入ることにした。


レトロな店内は、今日も賑わっている。


まずはビール、何よりもビールの気分。

バンビはレモンサワーである。


とりあえず、スタンドに入ったら、必ず頼むえんどう豆の玉子とじと自家製コロッケを頼み、
いつもなら、それに「きずし」(締め鯖)を貰うのだが、白板に鯛のお刺身が書いてあったので、今回は鯛を頼んでみた。


「鯛のお刺身が美味しいよ!」


バンビが喜んでいるので、私も箸を伸ばしてみたのだが、たしかに、こなれていて旨みがある。


生ビールのあとは「キリン一番搾り 京都に乾杯」にしてみた。
posted by 城戸朱理 at 12:13| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月12日

つばめグリルのハンブルグステーキ弁当

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新幹線に乗る前に品川駅でお弁当を選ぶことにしたのだが、エキュートが出来てから、選択肢が増えた。

なだ万厨房もあれば、つばめグリルもあるので迷ったが、バンビことパンクな彼女の希望で、つばめグリルのハンブルグステーキ弁当にした。


売場には、今日のお弁当に使われている牛肉、豚肉の生産者まで明示され、お弁当は無添加。

老舗洋食屋だけに、デミグラスソースが味わい深い。


お弁当だけだと、野菜が不足しがちなので、トマトのファルシーサラダをバンビとシェアする。

「ファルシ」は、トマトを容器に見立てたフランスの伝統的な料理で、湯剥きしたトマトのなかにはチキンサラダが入っている。


家庭でも簡単に作れるが、お弁当に添えると、トマトまるごと一個だけにインパクトがある。
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2017年11月10日

舵屋で日本酒を、その2

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日本酒を追加して、マグロととろろのスタミナ納豆、さらに酒盗のクリームチーズと食事がわりに揚げ餅を頼む。

揚げ餅は、揚げ出し豆腐の豆腐が餅になったものを想像してもらうといいが、もっとディープフライにすると、餅が不定形に膨れて、別の料理になる。


オムレツのようなものが運ばれてきて、一瞬、自分がオーダーしたか、どうかが分からなかったが、これが黄ニラの玉子とじだった。



海風に当たったせいか、頬が火照り、私はあまり食べずに飲んでいたのだが、バンビが喜んで食べていたので、よしとしよう。
posted by 城戸朱理 at 10:36| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

舵屋で日本酒を、その1

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4時間近い散歩のあとは、現像したフィルムと紙焼きを受け取ってから、居酒屋で軽く飲むことにした。

バンビことパンクな彼女と相談し、小町通りの舵屋へ。


席につくなり、店員さんに「昨日、周さんが見えましたよ」と声をかけられた。

周さんは、もちろん藤沢周氏のことだが、藤沢さんは結婚式に出席するために新潟に帰省していたはずだから、帰りに立ち寄ったのだろう。


藤沢さんは舵屋の常連だから、私まで顔を覚えてもらったらしい。


私はビール、バンビはレモンサワーで乾杯する。


舵屋は魚が美味しいので、まずはお造りの盛り合わせを頼む。

スズキもマグロも赤貝も、すべていい。


お造りには日本酒だろうと、熱燗も頼んだ。


さらに、あぶりとりレバー、牡蠣の天ぷらを追加。


あぶりとりレバーは、韓国風に胡麻油と塩でいただく仕立て。

好みでおろしニンニクとネギを加えるのだが、バンビに言わせると「禁断の味!」ということになる。


牡蠣はフライにするよりも天ぷらのほうが日本酒によく合う。


私が牡蠣の天ぷらというものを初めて口にしたのは、30歳のころ。

当時、阿佐ヶ谷駅北口の路地に北大路という、なんとも渋い店があった。

私は、バードランド店主、和田利弘さんに連れて行ってもらったのだが、和田さんが「いい店だよ」というだけあって、料理もよければ酒もいい。

和服姿の上品な初老の女将さんが燗をつけてくれるのだが、和田さんと倒れるまで、杯を重ねたものだった。


この北大路で出されたのが牡蠣の天ぷらで、牡蠣を大葉でくるみ、ごくごく薄い衣をつけて揚げたものだったが、
熱は通っているものの、中は生に近く、なんともいいものだったのを思い出す。


それ以来、自分でも牡蠣の天ぷらを揚げるようになったが、バンビも「牡蠣の天ぷらって美味しいもんだね!」と喜んでいた。
posted by 城戸朱理 at 10:31| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする