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城戸朱理のブログ: 美味しい話

2016年12月30日

茶懐石「木挽町 大野」で、その2

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続いて、松葉蟹とチンゲン菜のお浸し。

これも、昆布のみの薄味の出汁。


落花生がひとつ入っただけの小吸い物も、同様の出汁で、落花生の味が、見事に引き出されていた。

それにしても、徹底した引き算の料理である。


八寸は、ブロッコリーとカラスミ。

八寸としては破格だが、「木挽町 大野」では自家栽培の野菜を使っているのだとか。


香の物は白菜と人参が出て、おこげの湯斗は懐石の定番。


水菓子がイチゴ、最後がお汁粉だった。

ふと見たら、バンビがイチゴをお汁粉に乗せているではないか!?

「マッドバンビのお汁粉・ア・ラ・苺大福だよ!」
・・・・・・

これは、これで美味しそうだ(笑)。


食後は、茶室に席を移して、お薄をいただく。

裏千家のお点前だった。


四谷の喧騒の一本裏通りでの茶懐石。

時間の流れが、変わっていく。
posted by 城戸朱理 at 11:42| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

茶懐石「木挽町 大野」で、その1

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面白い店があるからと、一日にひと組の客しか取らない茶懐石の店「木挽町 大野」に招いていただいた。

バンビことパンクな彼女も一緒に招待していただいたので、バンビは喜び、「とっても茶懐石な子!」と訳の分からないことを言っている。


場所は四谷の路地で、隠れ家的な店である。


最初に向付が、いきなり本マグロの叩きだったのには意表を突かれた。

ミョウガに葱とワサビ、海苔が添えられ、御飯に百合根の味噌汁。

本来の茶懐石なら、御飯はひと口だけだが、おひつが置かれ、自由におかわりできる。

この御飯、玄米を八分づきの自家精米したものだろうが、尋常ではない旨さ。

本マグロは、カマトロの反対側、背の首の部位で、適度に脂が乗り、御飯が、より美味しくなる。

木挽町の料亭に生まれたという御主人は、御自身が好むマグロを使われることが多いと聞いた。


お椀は、甘鯛のかぶら蒸しで、驚いたのは出汁である。

鰹節を使わず、かすかに風味が聞こえるだけの澄んだ出汁は、引き出し昆布で取ったものだろうか。


焼物は、かますの塩焼き。


強肴が、小芋の田楽と鴨治部煮で、薄味のお椀、細工をしない焼魚に続いて、味のしっかりした料理を置くという配慮が嬉しかった。
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2016年12月28日

クリスマス・プレゼントが届いて

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クリスマス・ディナーが終わると、次は正月という気分になってしまうが、クリスマス当日に、バンビことパンクな彼女が、「今日、城戸さんにクリスマス・プレゼントが届くよ!」と言い出した。

バンビが手配してくれたプレゼントは、モエ・エ・シャンドンとリーデルのクリスタルのシャンパングラス2客。

これで、クリスマスに乾杯しようと考えたらしい。

そして、夕方、バンビはサンタピカチュウを探しがてら、買い物に。

クリスマス、25日も6時を回ると、クリスマスの食材は、すべてセールになる。

バンビは、それを狙って、紀伊国屋で、野菜のテリーヌ、トリュフ風味のフォアグラ・メダイヨン、ボンレスハム、オマール海老のテルミドールに、丸鶏まで捕獲して(?)帰ってきた。


さあ、お家でシャンパンを開けて、クリスマス・パーティーだよ!」


バンビは茸のソテーとサラダを作り、買ってきた惣菜を並べたのだが、たしかに、それだけでパーティーのような賑やかさになる。


丸鶏を調理するのは、私の仕事。

今回は、お腹にバターライスを詰めてローストした。

ちなみに、クリスマスには鶏料理というのは日本だけの慣習で、欧米の人には奇異に映るらしい。

丸鶏のローストを盛った皿は、10年ほど前に、福岡で高橋睦郎さんに連れていってもらった蘇鐵という骨董屋で求めた戦前の白磁オーバル皿。

大正から昭和初期の瀬戸産だろう。

丸鶏や英国風のフィンガーサンドイッチをたくさん作ったときにしか登場しないが、大皿は存在感があるので、豊かな気分になる。
posted by 城戸朱理 at 09:37| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月25日

ミッシェル・ナカジマのクリスマスディナー、その3

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ボルドーの赤ワインを追加して、いつものように、デセールの前にフロマージュをもらう。

私はシェーブル、バンビはロックフォール。

添えられたトリュフの香り高い蜂蜜が、チーズをさらに味わい深いものにしてくれる。


アヴァン・デセールは赤い実のフルーツのスープ仕立て、ヨーグルトのソルベ添え。

ベリーの酸味に目が覚めるようだった。

そして、グラン・デセールは、ママレードを敷いたチョコレートのフィアンティーヌとババロア。

柑橘類の酸味と濃厚なチョコレートのハーモニーが、癖になる。


コーヒーはダブル・エスプレッソを頼み、シュトレーンは包んでもらって、持ち帰ることにした。


クリスマスディナーは7時から、なんと3時間半。

去年までは、シャラン産の鴨やランド産アワビに栗に茸など、フランスから取り寄せた食材をふんだんに使っていたが、今年は鯨やゴボウに芽ネギなと、日本の食材に挑戦していたのが印象に残る。


最後に、恒例の中嶋シェフとバンビの記念撮影をして、帰途に着いたのだが、今年からクリスマスのランチも始めたらしい。

メニューもディナーとは若干、違うらしいから、来年は、ランチにも行ってみよう。
posted by 城戸朱理 at 11:52| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミッシェル・ナカジマのクリスマスディナー、その2

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魚料理は、鬼怒川産ヤシオマスのムニエルで、岩手産牡蠣のソース・ヴェルモット。

ふっくらとした牡蠣とヤシオマスの加熱が絶妙で、牡蠣のエキスが風味が加わったヴェルモットとバターのソースがまた、素晴らしかった。


メインの肉料理は、木の子を詰めたウズラのロースト、赤ワインソース、
山形牛サーロインのグリル、トリュフソースをひと皿ずつもらって、シェアする。


マッシュルームを詰めた軽やかなウズラと、どっしりとした牛サーロインを赤ワインを飲みながら、交互に試して、バンビは御機嫌だった。
posted by 城戸朱理 at 11:48| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミッシェル・ナカジマのクリスマス・ディナー、その1

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中嶋秀之シェフが奥様とふたりで、ミッシェル・ナカジマを開店したのは11年前。

翌年からクリスマス・ディナーを始めたので、私とバンビことパンクな彼女は、この10年間、毎年、欠かさずクリスマスの特別メニューを予約していることになる。


なにせ、バンビことパンクな彼女が、11月あたりから、「今年のミッシェルさんは、どんなメニューかな?」と楽しみにしているので、予約しないわけにはいかない。

クリスマスにかこつけた、わが家の年中行事のようなものだろうか。

2011年のミシュラン・ガイドで、鎌倉のフレンチとしては唯一、星を獲得したときのクリスマスディナーは、ひときわ華やかだった。


まずは、シャンパンの原型となったブランケット・ド・リムーをボトルでもらう。

アミューズは、青ネギの寒天寄せに備前の生クラゲ、パブリカ、クスクスをあしらったもの。

かすかに酸味があるサボテンのジュースのドレッシングで、生クラゲの食感が楽しい。


前菜ひと皿目は、グリルした鰻を詰めたフォアグラのメダイヨンで、エキゾチックなチャツネとヘーゼルナッツのメレンゲの粉が添えられている。

ひと皿目から、バンビは大興奮。


ふた皿目の前菜が、ナガス鯨のトマト煮込みとほうれん草のニョッキで、芽ネギが添えらている。

中嶋シェフが鯨を使うのは初めてで、しかもゴボウの香りが。

これは筋がなく柔らかい兵庫県日高町の在来種、赤崎ゴボウと聞いたが、ショウガではなく、ゴボウで鯨の癖を消すとは、さすがである。

おまけに――お皿が黒い。

ミッシェル・ナカジマは、内装もテーブルクロスもお皿も、すべて白で、料理だけが色どりだったのだが。

「シェフが黒いお皿を使ってみたいと言うので、今年、揃えたんです」とマダム。

白づくめの店内で、黒いお皿と鯨が、新鮮だった。


そして、最後の前菜が、バースニップのフォンダンとオマール海老のコンソメゼリー、赤海老のマリネとアブルーガキャビア添え。

バースニップは、セリ科の二年草で、見た目は白い人参のようだが、甘みが驚くほど強い。

それが、濃厚なオマール海老のジュレと一緒になると、口のなかで凝縮された旨みが溶け出すようで、バンビが目を丸くする。

マリネしてある赤海老もキャビアも素晴らしい。

「おかわりしたいね!」とバンビ。


前菜だけで、フルコースをいただいたような満足感がある。
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2016年12月14日

神保町の揚子江菜館で

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ホテル・モントレ半蔵門は、チェックアウトが12時なので、朝はゆっくり出来る。

コーヒーを買ってきて、くつろぎ、12時に神保町に向かった。


昼食は、バンビことパンクな彼女と相談して、揚子江菜館で。

創業明治39年(1909)と、「本の街」、神保町界隈では、もっとも古い中華料理店であり、冷やし中華発祥の店としても知られている。

ちなみに、揚子江菜館の元祖冷やし中華は、富士山型に盛り付けられた「五色涼拌麺」というメニューで、昭和8年に始まったらしい。


老舗だけに、池波正太郎さんも通ったが、吉岡実さんもひいきにしていた。

吉岡さんは「チャーシュー麺が食べたくなったら、ここにくるんだ」と言っていたっけ。


バンビも朝食を食べていないので、まずは蟹味噌豆腐をもらい、それから上海大ワンタンと酸辛湯麺をシェアすることに。

焼売は、ランチタイムのセットメニューで、普通の倍はある。

挽き肉ではなく、粗く叩いた肉を使い、肉汁とネギの甘さが口のなかで弾ける、揚子江菜館の名物である。


味は、どれも優しく、上品で、吉岡さんにチャーシュー麺を御馳走になったときにも、そう思ったのを思い出した。

酸辛湯麺も、辛さはそれほどではない。


この季節でも、ひとり、本を読みながら、冷やし中華を食べている御婦人がいたり、昼食を取りに来た近所にお住まいの御夫婦がいたりして、いかにも地元に溶け込んでいる店という感じがする。

そういう店は、いい店である。
posted by 城戸朱理 at 09:02| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月13日

久しぶりに勝烈庵へ

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バンビことパンクな彼女は、楽しみにしていたのである。
銀座に行く前に、久しぶりに勝烈庵に寄るのを。


「思わず、微笑んじゃうなあ!」

バンビが注文したのは、冬季限定の牡蠣フライ定食。

「んふ!」

どうしたんだろう?

「牡蠣フライを前にして、照れているんだよ!」
・・・・・・

意味不明だが、喜んでいるらしい。

勝烈庵の牡蠣は宮城産で、驚くほど大粒である。

バンビは、まず塩で、さらにポン酢、ソースと、味を変えて楽しんでいる。


私は、いちばん軽い若鶏フライ定食を。

本当ならば、「静の舞」なるロースカツが最高なのだが、これだと、やや重いのだ。


勝烈庵は、パン粉もソースもマヨネーズも自家製で、カラッと揚がっているので、決してもたれることがない。

そのせいか、年輩のお客さんが目立つ。


牡蠣フライの時期には、バンビを連れて、必ず寄るようにしているが、次は、泳いだあとに「静の舞」を食べに行こう。
posted by 城戸朱理 at 13:45| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月11日

京都土産と勢子蟹

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京都で最後に訪れるのは、錦市場。

帰宅してから、食事の準備に手間がかからないように、食材などを買って帰るのが、わが家のならわしになっている。


買うのは、一夜干しのぐじ(甘鯛)、浜焼きの鯖で、さらに冨美屋でうどんやお好み焼きを手配するのが定番。

三木鶏卵の出汁巻玉子やお茶漬け用のぶぶ鰻(鰻の佃煮)を買うことも多い。

夏ならば、鮎の塩焼きと水茄子の漬物あたり。


今回は、冨美屋で、うどんちりに柚子鍋、海老天うどん、カレーうどんをそれぞれ2個に、お好み焼きをミックス、ねぎ焼き、海老天など3種類を選んで、送ってもらった。

冨美屋のうどんやお好み焼きは、すべての具材がセットされているので、包丁いらずで調理が出来るため、時間がないときに重宝する。

ちなみに、うどんちりなら、出汁とうどん玉、お餅のほかに、下茹でした鶏肉と海老、生麩に竹輪や三つ葉に九条ネギなどが入っている。

調理時間は、温めるだけだから10分たらず。


夕食はうどんすきにしようと思っていたら、バンビことパンクな彼女からLINEで連絡が。

「紀伊国屋に生の勢子蟹がいるよ!」

勢子蟹は、内子と外子、2種類の卵を抱えた雌のずわい蟹で、香箱蟹とも呼ぶ。

解禁は11月6日で、漁期は年内だから、この時季にしか食べられない。

「蟹さんを捕獲したよ!」

バンビが勢子蟹を買って勢いよく帰ってきたので、すぐに茹で、バンビがお風呂に入っている間に、食べやすいように解体した。

かくして、勢子蟹とうどんすきの夕食となったのだが、寒い時期のうどんすきは、本当に身体が暖まる。


そして、バンビはというと――

「勢子蟹が、甘くて美味しいね!
じき食べられなくなるから、毎日、食べるといいんじゃないかな?」
・・・・・・

勢子蟹は、金沢や福井から京都で珍重されるが、「ごだん宮ざわ」でいただき、さらに新保智子さんが産地から送って下さってから、バンビは、すっかり気に入ってしまったらしい。

しかし、いくら気に入ったとはいえ、毎日、食べるものではないと思うのだが。


パンクなだけに油断大敵、毎日、勢子蟹を買ってこないように、厳重な警戒が必要である。
posted by 城戸朱理 at 08:20| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月10日

穂久彩の「太秦ロケ弁当」

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京都は太秦(うずまさ)に東映撮影所があるし、テレビのロケも多いため、ロケ弁当を扱う店も多い。

とくに穂久彩(ほくさい)は、数がまとまれば、京都府内のどこにでも配達してくれるので、ここ数年、ずいぶんお世話になっている。


穂久彩の名物といえば、その名も「太秦ロケ弁当」という名のロケ弁当。

これは、ある大物俳優が、自分の好みのおかずを少しずつ盛り合わせてもらったもので、鯖の塩焼きに鶏の唐揚げ、小さな鰻に出汁巻玉子、それに炊き合わせとひじきが入ったお弁当である。


今回は、流響院での撮影のときの昼食が、穂久彩の弁当だったのだが、丹波牛しぐれ弁当、きつね丼二段弁当各5個ずつのほかに、なぜか、「太秦ロケ弁当」が、ふたつ混じっていた。

手配したのは、プロデューサー兼任の井上春生監督である。


「自分が食べたくなったんです、ロケ弁」と井上監督。


太秦の東映撮影所に就職し、20代を京都で過ごした井上監督にとって「太秦ロケ弁当」は、懐かしいものなのだろう。


私は、きつね丼二段弁当をいただいたが、よくある揚げ物ばかりのロケ弁当とは違って、川端康成の『古都』にも登場する豆腐の名店、嵯峨の森嘉の油揚げを九条ネギと炊いたきつね丼、炊き合わせには梅生麩をあしらい、麩饅頭まで添えられている細やかさは、やはり京都ならでは。

それに比べると、「太秦ロケ弁当」のほうが、ボリュームがある。


去年あたりまで、穂久彩の弁当は、実際にロケ先で注文しなければお目にかかれなかったのだが、メディアで話題になったのか、今回は京都駅のコンビニでも、駅構内の弁当売り場でも、なんと「太秦ロケ弁当」が売られていた。

私もつい買ってしまったが、この弁当、狭いロケバスのなかで食べるのが、本当は似合っているような気がしないでもない。
posted by 城戸朱理 at 09:11| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月08日

柳小路の「そば 酒 まつもと」、その2

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蕎麦屋の定番、鳥わさは、大山地鶏の胸肉を使っており、五味が揃った酒にも負けないほど味がしっかりしている。


鴨ロースは、鴨胸肉の抱き身の脂身に細かく包丁を入れて適度に脂を落とし、火入れも絶妙で、ふんわりと柔らかい。

ジャック・ボーリーがシェフだった時代の銀座ロオジェの鴨料理を思い出すような見事さなのに、値段はきわめて良心的で、バンビは「こんな店が鎌倉にあったら、毎日、通っちゃうね!」と興奮していたが、それも当然だろう。

追加した日本酒は、「日置桜 強竹」と「奥鹿」。


鴨南蛮蕎麦も試してみたかったが、初回だけに、蕎麦の味と香りがダイレクトに味わえる盛り蕎麦を頼んだ。

蕎麦は、やや粗くひかれているように見えるが、喉ごしがよく、香りもよく、関西風の出汁と相まって、これまた酒によく合った。

本当に日参したいような店である。
posted by 城戸朱理 at 07:43| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

柳小路の「そば 酒 まつもと」、その1

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新京極の花遊小路の先、風情ある柳小路に「そば 酒 まつもと」がある。


「店名からして凄いよ!
〈そば 酒 まつもと〉だもん!
絶対、飲んべえの店だよ!」


数年前から「美味しい料理で、美味しい日本酒をちゅーっと飲む」のに目覚めたバンビことパンクな彼女が、以前から気にしていた店だが、これが素晴らしかった。


日本酒も肴も充実していて、期待を裏切らない。

最初にもらった燗酒は、「へのへのもへじ」に「東郷」。

どちらも米のどっしりした味わいがあるが、バンビは「東郷」のほうが気に入ったようで、「The日本酒という感じだね!」と感嘆していた。


肴は、まず「鯛しおから 海苔 わさび」と「山芋のポテトサラダ 海苔 わさび」を。

「鯛しおから」は、いわゆる塩辛ではなく、刺身を塩で軽く締めたものだろうか。

これに、下ろし立ての根わさびをのせ、海苔で巻いていただくのだが、日本酒に実によく合う。

ポテトサラダも、ジャガイモではなく山芋、マヨネーズではなくチーズでコクを出した逸品で、海苔とわさびの風味が、これまた酒を呼ぶではないか。


酒もよければ、肴もいい。

まさに、酒好きのための蕎麦屋である。
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2016年12月07日

平野屋でぼたん鍋を、その2

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この日は、お客さんが少なかったのか、女将さんが、付きっきりで給仕をしてくれた。

女将さんも十四代目、十五代目となる若女将とともに店を切り盛りしているそうだ。


ぼたん鍋の前に、鹿肉のしゃぶしゃぶが食べられると聞いていたのだが――


「今日は鹿が獲れなかったので、熊の肉を」と女将さん。


黄金色の出汁で煮る熊肉は、煮込むほどに脂がとろりと柔らかくなっていく。

獣臭さはまったくなく、ほっこりと暖かい、いい匂いが広がる。

似たものが思いつかないような味わいである。

バンビことパンクな彼女は、熊と聞いただけで大喜び。


「熊肉を食べたら、獰猛になっちゃうなあ!」


ならなくていいのである。


続いて、ぼたん鍋を。

これだけ脂身が多いのに、煮ても出汁に脂が浮いてこない。

わずかに、ごくごく細かい脂の粒が、出汁の表面で光るだけなのは、実に不思議な眺めだった。

猪肉も、まったく癖がなく、いい香りで驚いたが、「批評の神様」小林秀雄は、いい猪はドングリを食べて育つので臭みなんかないと言っていたのを思い出した。

熊肉ばかりか猪肉からもダシが出て、野菜も美味しくなっていく。

とりわけ、出汁を吸った蕪の美味しさは格別だった。


京都人といえば、牛肉好きという印象があるが、女将さんが若いころ、奥嵯峨で、肉といえば、かしわ(鶏)かぼたん(猪)ばかり、
1970年の大阪万博のとき、初めてケンタッキー・フライドチキンを食べた女将さんは、同じ鶏なのに、普段食べている「かしわ」とは違って、柔らかいのに驚いたそうだ。


家庭料理でも猪というのは、土地柄なのだろうが、やはり面白い。


ぼたん鍋は、最後に丸餅と御飯を入れて雑炊にするのだが、熊と猪、そして野菜の旨みを吸った御飯の美味しさは絶品で、バンビも目を丸くしていた。


雑炊のあとは水菓子をいただき、食事は終わったのだが、奥嵯峨の山のなかで食べるぼたん鍋は、実にいいもので、この鍋をきっかけに、バンビは鍋料理に目覚めることになった。
posted by 城戸朱理 at 10:17| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

平野屋でぼたん鍋を、その1

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京都、嵯峨の愛宕神社は火伏せの神として古くから参拝客が絶えないが、その一の鳥居のたもとで400年続く鮎茶屋・平野屋。

8月に訪れて、鮎尽くしの料理をいただいたが、冬は猪肉のぼたん鍋が名物と聞いていたので、再訪することにした。


江戸時代初期に建てられた母屋のたたずまいは、実に趣きがある。

夏と同じ個室に案内され、まずは名物の志んこ団子とお茶が出る。
黒糖ときな粉をまぶした素朴な米粉のお団子だが、ねじれた形は、愛宕山の九十九折(つづらおり)の坂道を模したものだという。


バンビことパンクな彼女は喜んで撮影開始。


ビールをもらって、山菜の盛り合わせをいただいたのだが、中央の山菜が何か分からない。

聞けば、スカンポとのこと。

スカンポが、こんなに美味しいものだとは知らなかった。


お造りは、鯉の洗いで、癖がなく、噛むほどに自然な甘みが広がる。

燗酒を頼んで、清流の鯉をいただいた。
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2016年12月06日

江戸川で鰻を

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京都ロケも無事に終了、打ち上げの夕食は、あらかじめ石田瑞穂・みう夫妻と相談して、鰻に決めた。

本当は、う桶で有名な祇園の「う」という店に行ってみたかったのだが、予約が取れず、花遊小路の江戸川に予約を入れる。

「う」は鰻屋としては京都で唯一、ミシュラン・ガイドで星を獲得しているので、かなり前に予約しなければならないようだ。

宮澤政人さんの「じき宮ざわ」も「ごだん宮ざわ」も、ミシュランで星を獲得しているだけではなく、女性誌などの露出が増え、予約が取りにくくなっている。

いい店が繁盛するのは嬉しいかぎりだが、予約が取りにくくなるのが困るところである。


江戸川は、肝焼きはもちろん、肝のレバーだけとか、カシラやクリカラ、ヒレなど、鰻のさまざまな部位を串焼きで供してくれるので、酒飲みには嬉しい


「鰻って無駄になるところがないんですね」とみうさん。


石田瑞穂くんの地元、浦和は江戸時代から鰻が名産なので、鰻談義に花が咲いた。


まずは、三葉のお浸しと山芋の千切り、それに白焼きをもらって、ビールで乾杯する。

串焼きをひと通り頼み、締めは鰻丼を。


撮影が終わったあとの、燗酒はひときわ美味い。
posted by 城戸朱理 at 17:32| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ごだん宮ざわで、その3

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炊き合わせは、うずら団子に京人参、京菊菜、そして聖護院大根と、うずらの旨みを吸った京野菜の饗宴。

蓋物の織部に炊き合わせが映える。


土鍋で炊き上げた御飯を楽しみ、水菓子はリンゴ飴にリンゴのシャーベット。

最中のあと、お抹茶をいただいたのだが、私には、昨日、蒸しアワビをいただいたあと、ぐい呑みに使わせてもらった、李朝初期の刷毛目の小服で、瑞穂くんには、桃山の古唐津皮鯨の小服茶碗で点ててくれた。

横を見ると、みうさんとバンビことパンクな彼女には、尾形乾山の茶碗が出ている。

こうした器使いも、宮澤さんならでは。

心地よい緊張がある。
posted by 城戸朱理 at 07:29| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ごだん宮ざわで、その2

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定番の焼き胡麻豆腐は、銀杏を練り込み、煮帆立があしらわれている。


おしのぎは、これまた定番の自家製カラスミの手打ち蕎麦。

カラスミ蕎麦は、李朝の白磁皿で供されることが多い。


そして、揚げ物が、また絶品だった。

穴子とごぼうの天ぷらは、穴子と同じ柔らかさになるまで煮たごぼうを煮穴子で巻いて揚げたもので、穴子とごぼうが一体となって、口のなかで溶け、ごぼうが穴子の土臭さを消して、香り立つ。

たしかに穴子とごぼうにほかならないのに、穴子とごぼうとは思えないような一品。

インカの夜明けは、−1℃で2年追熟させたジャガイモだが、サツマイモより甘く、これは、あえて丸ごと、40分もかけて揚げるのだとか。

とにかく、この天ぷらには絶句したが、石田瑞穂くんも衝撃を受けていた。

料理が凄すぎて、錆びた鉄を思わせる前衛的な器の作者や由来を聞き忘れたほどである。


本来ならば、このコースのおしのぎは、カラスミ蕎麦だけなのだが、前夜、いただいた新カラスミの飯蒸しが素晴らしかったので、宮澤さんにお願いして追加する。

本当は、こんなことをしてはいけないのだが、みんな喜んでくれたので、やはり良かったと思う。
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ごだん宮ざわで、その1

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無事、初日の撮影を終え、明日の打ち合わせもかねて、夕食は、みんなで、ごだん宮ざわに繰り出した。


南明堂で古器について、あれこれ語り合ったあとだけに、宮澤政人さんの器使いが、より深く理解できるようになった気がする。


まずは煎米茶が出て、群馬の浅間山を一献。

先付けは、新イクラの玉締め、新イクラを敷き詰めた冷たい茶碗蒸しである。


輪島塗のお椀は、豆腐と白子のすり流し。

鱈の白子の癖を見事に消した上品で豊かな味わいに、みんな感嘆。

お作りは、伊勢産キハダマグロのネギトロだった。

細かく刻まれたネギが、普通のネギトロとは違う食感を生み、酒を誘う。

驚いたのは、器で、虫喰いもあるので明末清初の古染付とばかり思ったら、なんと坂井咲子さんという女性作家の新陶だというではないか。

坂井咲子さんは、白洲正子さんと親交があった倣古の第一人者、加藤清允さんの知遇を得て、京都紫竹で作陶しているそうだが、昨今の京都の陶芸界は、彼女の話題で持ちきりらしい。

とにかく、あまりに見事に古染付を再現しているので、舌を巻いた。


焼物は、鰆の塩焼き。
「鰆は、春にもお出ししましたが、今が旬なので、塩焼きにしました」と宮澤さん。


写真を撮る前に、箸をつけてしまったが、皮目はよく焙って、こんがりと、身はふうわりと焼き上げられた宮澤さんの焼魚は、本当に素晴らしい。

吸坂手雲鶴文の皿は、加藤清允さんの作である。
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2016年12月04日

冬のごだん宮ざわで、その4

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もう食べられないと思っても、ごだん宮ざわの土鍋で炊き上げた御飯が出ると、やはり食べてしまう。

自家製の漬物も、白味噌で炊いたじゃこも美味しい。


テレコムスタッフの平田潤子ディレクターは、ごだん宮ざわで食事をしたとき、料理でお腹がいっぱいなのに、やはり御飯が美味しくて三膳食べてしまい、椅子から立つことが出来なかったそうだが、気持ちは分かる(笑)。


水菓子は、林檎飴に林檎のシャーベット。

尾形乾山の土器皿で、最中が出て、お薄をいただく。

宮澤さんが点ててくれる抹茶は、実に美味しい。

おかわりを頼む御婦人もいるそうだが、やはり、それは失礼というものだろう。
posted by 城戸朱理 at 13:22| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

冬のごだん宮ざわで、その3

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おしのぎは、南京赤絵の角皿で、定番、自家製カラスミの飯蒸し。

何度、食べても素晴らしいが、カラスミは仕込んだばかりの新カラスミだけに、新たな感動がある。


さらに贅沢な蒸しアワビは、李朝初期の見事な刷毛目小碗で。

小服の寸法だが、白泥をたっぷり含んだ刷毛目の勢いも、伝世の味わいもよく、アワビを食べてから、盃として使わせてもらった。


また、初見の塗り椀が出たが、これは北大路魯山人の漆器を手がけた山中漆器の四代辻石斎の作。

料理は、これまた贅沢に松葉蟹と京菊菜である。

結局、燗を追加し、この日は、ひとりで五合を飲んだ。
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