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城戸朱理のブログ

2020年06月15日

「抒情文芸」夏季号

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今年になって私が発表した詩は「現代詩手帖」1月号の「国境」が最初で、続いて「ココア共和国」5月号の「長い夜」が2篇目となった。

「国境」は3月に刊行された韓国の文芸誌「ASIA」で翻訳・紹介されたが、さらに3作目となる「真昼の覚醒」を寄稿した「抒情文芸」夏季号が届いた。


巻頭には文芸ジャーナリスト・酒井佐忠、作家・三田誠広のエッセイ、作家・恩田陸のインタビュー等が掲載されている。

巻末の「既刊号一覧」によると、川瀬理香子氏による抒情文芸刊行会が、「抒情文芸」を創刊したのは、1976年(昭和51年)。

今回の夏季号で通巻175号になるが、40年以上続いていることになる。


「抒情文芸」は読者による創作の入選作が掲載されており、選者は小説・出久根達郎、詩・清水哲男、短歌・小島ゆかり、俳句・坪内稔典という顔ぶれになっている。



私が初めて「抒情文芸の」依頼を受けて書いた詩は『不来方抄』所収の「通信」(初出時「初夏の通信」)で、1991年のことだった。

ずいぶん時間がたったものだが、何をしてきたのか自問するならば、灰を噛みしめるような思いが去来するばかりだ。

その思いのまま、未来への白紙と向かい合うしかないのだろう。
posted by 城戸朱理 at 10:36| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2か月ぶりの外食~ミッシェル・ナカジマで、その3

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赤ワインが残っているので、デセールの前にフロマージュを。

オランダのゴートの白かびのチーズ、クロムダンベールにウォッシュタイプのリベロ、そしてドライデーツ。

赤ワインがしみじみと美味い。


アヴァン・デセールは土佐文旦、ヨーグルトアイスに蜂蜜で、シェフがお皿に誕生日のお祝いを書いてくれた。

グラン・デセールは、割ると中から熱いチョコレートソースが流れ出すミックスベリーのビスキュイショコラに濃縮ミルクのアイスクリーム。

このビスキュイショコラ、濃厚で甘みが抑えられており、シングルモルトにも合わせられそうだった。


プティフルールとコーヒーで食事は終わり、帰りはシェフとマダム、バンビ恒例の撮影会。

すると「シェフは、こちらが城戸さん、こちらはバンビさんといってお料理を出してくるんですよ」とマダムが言うではないか!

いつの間にかバンビがバンビであることがばれていたのである!


なぜだろう?
posted by 城戸朱理 at 10:29| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2か月ぶりの外食~ミッシェル・ナカジマで、その2

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そして、中嶋秀之シェフのスペシャリテ、バースニップのフォンダンとオマール海老、コンソメジュレ。

白い人参のような形態の西洋野菜、バースニップをやや粗くピューレしたフォンダンは驚くほど甘みが強く、甲殻類の旨みが凝縮したコンソメジュレと見事な調和を見せる。

シェフは、この料理に生ウニやアブルーガキャビア、マリネした赤海老などをあしらうこともあるが、バンビことパンクな彼女が必ず「おかわり物件だよ!」と言い出す大好物である。

ここで気づいたのだが、ミッシェル・ナカジマでは、ふつう前菜は三皿だが、バースニップとオマール海老は四皿目。

ということは、とうもろこしのフランがアミューズだったのだろうか。



スープは冷製のホワイトアスパラガスのスープで、エクストラヴァージンのオリーヴオイルをパウダー状にしたものを散らしてあり、鎌倉名産のしらすが思いのほか合う。


味覚的には、すでに十分、満足しているのだが、主菜はこれから。


魚料理は、黄ハタのヴァプール、スープ・ド・ポアソン。

ハタ科は種類が多いが、黄ハタは正式には青ハタ、クエの仲間の高級魚で、透明感がある身と皮の間にゼラチン質がある。

シェフの絶妙な火入れもあって、引き締まった身には旨みが凝縮し、脂は甘みがあって、上品な旨みが口中に広がる。

数種類の魚から取る濃厚なスープ・ド・ポアソンと相まって、ひと皿の饗宴としか言いようがない。

添えられていたのは、ミル貝に菊、それに和食で使われる飾り野菜、浜防風を細工した錨防風というのが面白かった。



肉料理は二種類。

仔羊の鞍下肉のグリル、A5等級の仙台牛イチボのロースト、どちらも赤ワインソース。

ひと皿ずつ頼んで、バンビとシェアし、マダムおすすめのブルゴーニュの赤をボトルでお願いした。

付け合わせは、仔羊が、南フランスのレタス、シュクリームにひよこ豆。仙台牛イチボは、筍、コゴミ、アスパラガスと春野菜にフランス産モリーユ茸。

牛イチボはもちろん、仔羊も緻密な肉質で、味わい深く、大いに気に入った。
posted by 城戸朱理 at 10:27| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2か月ぶりの外食~ミッシェル・ナカジマで、その1

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飲食店も自粛要請で閉まっているし、2か月以上、外食はせずに自炊して過ごしていたが、わが家からいちばん近いレストラン、ミッシェル・ナカジマが5月15日から、コロナ対策でお店を個室化して、一日3組限定で営業を再開することになった。

さっそく、バンビことパンクな彼女が私の誕生日の5月23日のディナーの予約を入れたのだが、もう10年以上、毎年、クリスマス・ディナーに通っている店だけに再開が嬉しい。

この日は従姉の小野田玲子さんから、誕生日プレゼントに白ワイン、ヴージョ・プルミエ・クリュ2014が届いたので、夕食のあとは、これで乾杯できる。


早めに入浴してから着替え、18時に入店したのだが、写真のスペースに私とバンビのひと組だけ。

しかも、席は対面ではなく横並びという徹底ぶり。

ソーシャル・ディスタンスどころか、ほかのお客さんの姿さえ見えない。


ほとんど貸切気分で、いつものブランケット・ド・リムーをボトルで頼み、乾杯した。


アミューズはチーズを練り込んだシュー生地、グージュールと自家製生ハムを巻いたグリッシーニ。


そして、前菜のひと皿目はとうもろこしのフラン。

フランは砂糖を使わない野菜のプリンだが、ソースもとうもろこしで、空豆と生ウニがあしらわれている。

フランとソース、とうもろこしの二重奏で、甘さと香りが口から鼻に広がり、とうもろこし好きとしては嬉しいかぎり。


前菜のふた皿目は、鶉(うずら)のバロティーヌ。

鶉にパテを詰め筒状に巻いたバロティーヌには、ケールのパウダー、マリネした赤海老にズッキーニ、ドライトマトが絵のようにあしらわれ、海老を乾燥させたパウダーが風味を添える。


前菜三皿目、竹墨のエクレア仕立てにはグリルした帆立、行者ニンニクと赤かいわれが挟まれており、そこにグリーンピースのピューレという意外な出会いなのだが、見事な一体感で、バンビが目を丸くしていた。
posted by 城戸朱理 at 10:26| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月14日

散歩の途中で、パンダ・バル

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私は2月から外食を控えるようになり、3月には完全に自炊体勢に入ったが、3月初旬、最後に外食したのが、鎌倉駅西口、御成通りのパンダ・バルだった。

自粛生活下のわが家で、ピンチョスが流行ったのも、パンダ・バルでピンチョスの楽しさに目覚めたからである。


ポルトガルの微発泡のロゼ、ヴィーニョヴェルデをボトルで頼み、まず、その日のピンチョスを全種類もらうのだが、見た目にも美しく、味わいも多彩で、微発泡のスパークリングにこよなく合う。


イベリコ豚の生ハム、ハモン・イベリコ・ベジョータは濃厚、噛むほどに芳醇さが増すようで、バンビことパンクな彼女の大好物。

鎌倉野菜を使った蒸し野菜は、美しいだけではなく、味が濃い。

パンダ・バルは、これまで何度かシェフがかわったが、女性シェフになってから、盛りつけも実に綺麗になった。

生ハムとオリーブのコロッケも定番だが、これがまたワインを誘う。


このあたりで、ロゼはなくなるので、メトイカのアヒージョには白ワイン、そしてイベリコ・ベジョータのプランチャには赤ワイン。



「批評の神様」小林秀雄は、丹波の猪が臭みがなくて旨いのは、ドングリを食べているからだと言っていたそうだが、ドングリを食べて育ったスペインのイベリコ・ベジョータも、たしかに癖がなく、脂身もよい香りがする。


パンダ・バルでは地物の鮮魚のカルパッチオやヒコイワシのフリットなど、メニューには魚介類も豊富だから、散歩の途中で立ち寄るのが、実に楽しかった。


自粛要請中はテイクアウトのみの営業になったので、ときどきパエリアやトルティージャなどを買ってきたが、また、散歩の途中で、ウイルスを気にすることなく、立ち寄ることができる日は、いつ来るのだろうか。
posted by 城戸朱理 at 12:16| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月13日

新たな詩誌「ココア共和国」

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今年の4月に創刊された月刊「ココア共和国」(電子本と紙媒体の本)は、投稿作品を主体とする新しい形態の詩誌である。

発行は一般財団法人「あきは詩書工房」で、秋亜綺羅氏が主宰し、編集は昨年、歴程新鋭賞を受賞した佐々木貴子氏。

「ココア共和国」のホームページ
https://www.youyour.me
からテキストを添付して応募すると、編集部の選で作品が掲載され、さらに年間で複数回(2回以上)掲載された人は、自動的に20歳以上なら秋吉久美子賞、いがらしみきお賞の候補に、20未満であればYS賞の候補になる。

これらの賞はそれぞれ、女優の秋吉久美子さん、漫画家のいがらしみきおさん、そして、YS賞は秋亜綺羅さん、佐々木貴子さんが選考に当たり、賞金は各20万。

YS賞は、詩誌「詩想」を主宰した佐藤幸雄氏の遺志によって設けられたものだという。

詳細はホームページで確認してもらいたい。


私は5月号に秋吉久美子さんとともにゲストとして、詩「長い夜」を寄稿したが、秋亜綺羅、佐々木貴子両氏のエッセイと詩も掲載されており、力のある誌面で、視覚詩の試みのような「4コマ詩」もたいへん面白かった。
posted by 城戸朱理 at 12:04| 詩誌・詩集評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コロナ禍の自炊疲れ

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コロナ禍で在宅勤務が増え、外食もままならないため、日々、自炊するしかなくなって、SNSでは、ここしばらく自炊疲れが話題になっている。


遠藤朋之氏と久しぶりに電話で話したのだが、「昼食が終わると夕食、何にするという話になりますね」、遠藤家では、そんな会話が日課になってしまったという。

これが日本のみならず、世界の家庭で起こっていることなのかもしれない。


2ヶ月、休業した鎌倉のダイニングバー、クルベル・キャンのオーナー・バーテンダー、秋山正治さんは「食事しか楽しみがないじゃないですか。昼飯のときに夕飯、何って聞いては、嫁に叱られてます」と言っていたが、たしかに家族全員が家にいて、毎日、三食作らなければならないとしたら、一日中、料理をしては洗い物をしているような気分になってしまうことだろう。



わが家では、手の空いているほうがキッチンに立つので、自炊疲れは感じないで済んでいる。

私など、むしろ、新しいレシピを試す機会になっているような気がしないでもない。



写真は、私が担当したある日の夕食。

とうもろこしを茹で、手羽元に塩・胡椒・カレー粉をまぶして土鍋で炒りつけたものと、ローマ風目玉焼き、自家製ぬか漬けで晩酌を始めた。

目玉焼きはローマの家庭料理で、トマトソースを敷いて玉子を割り入れ、モッツアレラチーズを散らし、パルミジャーノをすりおろしてオーヴンで焼いたもの。


主菜は、豚ロース肉のシャルキィティエールソースで、アスパラとブロッコリーを添えた。

塩・胡椒して小麦粉をまぶした豚ロース肉はバターでソテーし、トマトを白ワインで煮詰め、ピクルスとマスタードを加えたシャルキィティエール(肉屋さん風)ソースは、フランスの家庭料理だが、酸味が強く、初夏に合う。

御飯は玄米で、揚げ茄子の味噌汁。

アスパラやブロッコリーなどは茹でて冷凍してあるので、所要時間は30分ほど。



自炊する家庭が増えて、豚肉と野菜の価格が高騰したが、牛肉などの高級食材は値崩れしている。

たしかに春キャベツなど、出始めの3月には、ひと玉150円ほどだったのが、5月の連休には400円になっていた。

豚肉が使いやすいのも事実で、自粛生活が始まってから、わが家でも挽き肉、バラ肉、ロース肉を冷凍して常備している。

豚ロース肉は、酒と味醂で溶いた味噌に漬け込み、味噌漬けにすることも多い。



わが家では御飯は、ふだんは玄米だが、「ごだん宮ざわ」の宮澤政人さんからお店で使っている土釜を贈られてから、白米もよく炊くようになった。

土釜で炊いた白米の御飯は、驚くほど甘みがあって、冷めても香りがよく、それだけで御馳走という感じがする。


茶懐石のように、煮えばなを少しいただき、煮えたお米が御飯にかわっていくのを楽しむため、何度かおかわりするので、御飯茶碗は小振りのものを使うようになった。

バンビことパンクな彼女は江戸時代の黄瀬戸小碗、私は青上がりの灰釉無地の古唐津である。

白米を炊くときは、紅鮭か時鮭、ぶりの幽庵焼き、鯵か鯖の干物など焼き魚を一品、それに味噌汁、ぬか漬け、お浸し、大根おろしか納豆に常備菜のたらこと明太子、ブロッコリーなどを並べるが、これはもっぱら私がやっている。


土釜御飯のあまりの美味しさに、バンビは自家製の干物を作ると言い出し、干物用のネットを買い込んだが、鮮度のいい地物の鯵が手に入ったら試してみたいものだ。
posted by 城戸朱理 at 12:01| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月12日

料理に合わせて器を揃えてみると

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じき宮ざわの「晩酌せっと」と「伝助穴子の薬膳鍋」が届いた日のこと。


バンビことパンクな彼女が「宮ざわさんでいただているような気分になる器を出してあげて!」と騒ぎ出した。

宮ざわさん気分?

「乾山とか織部とか出してあげて!」
・・・・・・

そんなものがあるわけないじゃないかと思ったが、まったくないわけではない。

薬膳鍋には、福森雅武の土楽窯の魚文の土鍋を使うしかないが、桐箱を開けては、あれこれ物色して、器を並べてみた。


酒肴を盛るのは、尾形乾山の紅白梅図角皿。これは古備前徳利と同じく小山冨士夫の極めがある。

取り皿には同じく乾山の絵替土器皿五客から梅の絵柄の二枚を。

箸置きには北大路魯山人の魚型箸枕を出した。


スパークリングも開けることにしたので、グラスはバカラのアルクールを。

これは底にバカラの刻印がない1935年以前のアンティークで、最近、バンビがよく使っている。


薬膳鍋用の小鉢には李朝白磁小碗、蓮華は19世紀のデルフトを合わせた。


少しは、ごだん宮ざわの器使いに近づけたかも知れないが、これも酒肴と鍋だけだから出来たこと、私は五客組の器をほとんど所持していないので、宮澤政人さんのような懐石の器組みは出来ない。

さらに、乾山を使うときは、前もって水に漬けておかなければならないし、洗ってもすぐに桐箱にしまえるわけではなく、2日ほど乾かす必要がある。

なんとも手間がかかるが、それを毎日、当たり前のように使っているごだん宮ざわの凄さを改めて痛感した。

しかも「怖いから洗うのは城戸さんにお任せするよ!」とバンビ。

結局、洗い物も私がすることになってしまったのだった。
posted by 城戸朱理 at 14:56| 骨董・工芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

京都から取り寄せして~じき宮ざわ「晩酌せっと」と「伝助穴子の薬膳鍋」

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5月になって、「じき宮ざわ」の料理を親友に送ることにしたのだが、自宅用に、今度は伝助穴子の薬膳鍋を注文することにした。

バンビことパンクな彼女がメールで注文を出したところ、「ごだん宮ざわ」の大山さんから折り返し電話があった。

前回、「クエの山菜鍋」を頼んだときは、出汁が少し余ったので、翌日、私が豆腐と九条ねぎを出汁に入れ、湯豆腐にして酒の肴にしていたことをバンビがメールしたものだから、宮澤政人さんが「晩酌せっと」を作ってくれたというではないか。

ありがたく、「伝助穴子の薬膳鍋」といっしょにお願いしたのは言うまでもない。



届いたのは、5月10日。


「晩酌せっと」は実に充実していた。

三重県尾鷲産のボラ子を使った絶品の自家製カラスミに利尻昆布の出汁と塩で漬けた水茄子。

鳥羽答志島の鰆を酢で締め、藁で薫香をつけた燻製に明石のタコ、新しょうが、水玉キュウリの自家製塩ポン酢和え。

そして北海道産和田ゴボウと5等級の和牛を焚き上げた和牛きんぴら。


ポン酢和えは初夏の味だし、水茄子は私の大好物。

カラスミは言うまでもないが、半生の鰆がまた実に美味い。

見事な肴に合わせて、大徳寺古材の小盆に桃山時代の古備前徳利と唐津の筒盃を持ち出し、盃を重ねた。
この古備前徳利は小山冨士夫の箱書で、冬場に常用していたもの。



「伝助穴子の薬膳鍋」は明石産の伝助穴子に鶏つくね、うるいやミョウガに筍が入り、薬膳出汁で煮る。

薬膳出汁は十三種もの漢方を使っているそうで、香りが心地よい。


バンビとともに、京都を思いつつ盃を重ね、お料理を堪能した。
posted by 城戸朱理 at 13:24| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

岩手日報随筆賞選考会

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6月9日。

締切はとりあえずクリアしたので、ここしばらく読み続けていた岩手日報随筆賞の応募作を広げ、最優秀賞から奨励賞までを選んで私の選考案をメールした。

これで明日のリモート選考会を待つだけと思ったので、午後はフェリス女学院大学の今週の講義をタイプしていたら、「現代詩手帖」特集原稿と「神奈川新聞」のエッセイのゲラ(校正紙)が来てしまった。

ゲラをチェックしていたら、今度は岩手日報社から平谷美樹、澤口たまみ選考委員の選考結果が送られてきたのだが、見事なまでに票が割れている。

最優秀賞はひとりを選ぶのだが、3人がそれぞれ違う作品を挙げ、優秀賞3人もまったく重複していない。

つまり、3人の選考委員が、最優秀賞・優秀賞で4人を選出しなければならないのに、候補が12人という異例の事態となった。

10年以上、選考に関わってきたが、初めてのことである。

これで選考会が成立するのか不安になったが、バンビことパンクな彼女が「ピンチョスを作ってあげて!」と言うので、ピンチョスとアクアパッツァを作り、スパークリングワインを飲んでいるうちに、今回ほどではないとはいえ、昨年もかなり票が割れていたのに何とかなったのを思い出し、いつもと同じように臨むことにした。


翌日は、14時からZOOMで選考会。

平谷委員が出席できず、平谷委員の選考理由のメモを参考にしながら、澤口たまみさんと私で選考に当たったのだが、若くしてエッセイストクラブ賞を受賞し、エッセイストとして長年、仕事をしてきた澤口さんにとって、エッセイとは、あくまでもノンフィクションであり、自分の思いを語るものであるのに対して、平谷美樹さんは、小説家らしく、構成や説得力を重視しており、それが票が割れた理由ではないかという指摘には納得するものがあった。

では、私は何を基準にしているのか考えてしまったが、文章の巧拙を無視するものではないとはいえ、モティーフの意外性や新しさを評価する傾向があるかも知れない。

面白いもので、ここまで票が割れると一からやり直すようなものだから、一時間ほどで入賞作を選ぶことができたのだが、異様に疲れたのも事実で、この日はもう何もすることができなかった。
posted by 城戸朱理 at 13:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする