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城戸朱理のブログ

2017年04月05日

身軽になると



藤沢周氏が、生活をダウンサイジングすべく、荷物の4分の3を処分したと聞いたときには、さすがと思った。

若いときは、収入も少ないし、足りないものだらけだったが、気づくと余計なものに囲まれているというのが、今日の日本の現実だろう。


親が亡くなったとき、膨大な遺品を前にして、遺族が途方に暮れるケースが増え、ひそかに社会問題になっているそうだが、そのために遺品整理を専門とする業者も増えた。

いつかは片づけようと思っているうちに、老いて、片づけ自体ができなくなることが多いそうだが、御主人に先立たれ、遺品をいずれ整理しようと思って、とりあえず2階の部屋にまとめておいたところ、階段の昇り降りができなくって、そのまま亡くなられた方の話を聞いたことがあるが、こうしたことが、あちこちで起こっているに違いない。

今や、家庭ゴミも有料化が進んでいるので、ゴミとして出すにもお金がかかる。

私の父は、還暦を迎えたあたりから、物を減らし、写真はアルバムに整理するなど、片づけと整理を徹底してやっていた。


今や、若い世代では極力、物を持たず、すべての持ち物がトランクひとつに収まるような暮らしを営むミニマリストまで登場したが、あらかじめ物を持たない暮らしを目指すのは賢明かも知れない。

ミニマリストの欠点は、ストックを一切持たないため、大震災のような非常時には、すぐさま暮らしが成り立たなくなるところだろうか。

しかし、逆に考えると、そんなときでもトランクひとつで避難できるわけだから、困らないかも知れない。


戦中、戦後の物質が欠乏した時代を生きてきた団塊以上の世代には、ミニマリストの生活はも難しいのだろうが、気づいたときには、体力がなくなっている。

片付け業者によると、日本の老夫婦は平均して、2トントラック7〜8台分の物を抱えているという。

だが、ひとりの人間が生きていくには、2トントラックで1台分の荷物で充分なのだそうだ。


今、このタイミングで断捨離に踏み切った藤沢さんは、やはり賢い。

藤沢さんは、片付けをしているとき、「なんで俺は、こんなものを持っているんだと思うようなものが沢山あった」と語っていたが、いざ引越しをするとなると、そう思ってしまうような物が次々と出てくる。


私も鎌倉に引っ越すとき、衣類と本はかなり処分したが、今年は引っ越しをするつもりで、持ち物を整理してみたいと思っている。
posted by 城戸朱理 at 09:34| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月04日

澁澤龍彦邸でのパーティー、その3

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澁澤邸は、澁澤龍彦先生のコレクションが至るところに飾られている。

それは、まるで澁澤龍彦という文学者の思考が、外在化したようでもあり、心地よい緊張がある。


ミニマリストとは真逆のありようだが、それが、いかにも澁澤龍彦にふさわしい。


シャンパンやワイン、8本が空き、最後は新保夫妻が持ってきてくれたイチゴを。

新保智子さんが、イチゴをアカシアの蜂蜜で和えてくれた。

龍子さんが、日本酒も出してくれたので、私は、小山冨士夫さんのぐい呑みをリクエスト。

以前は、小山さんから贈られたという古唐津の盃を使わせてもらったことがあるが、今回は、小山さん自作の色絵盃である。


澁澤龍彦先生はウィスキー派だったそうだが、龍子さんはワイン派。

それでも、必ず、ビールと日本酒も用意して下さっているのが、嬉しい。
posted by 城戸朱理 at 14:26| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

澁澤龍彦邸でのパーティー、その2

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澁澤龍子さんが乾杯のために出して下さったのは、モエ・エ・シャンドン。

新保智子さんは、シャンパンで乾杯すると、幸せな気分になるとおっしゃっていたが、まったく同感である。


そして、龍子さんの手料理が並ぶ。

タコのマリネ、鶏肉のゼリー寄せ、海苔で覆われているのが、マグロとアボカドのマリネ。

山菜のうるいと浅蜊のむき身のヌタ。

写真は撮り忘れたが、つくしもあった。

澁澤邸でのパーティーも恒例になっているので、龍子さんのつくし料理をいただくと、春になったのだなと思う。


龍子さんの手料理のあとは、私の担当である。

まずは、ミスティカンツァにホタルイカと空豆のオリーブオイル炒めを出し、続いてコッコ・バン(鶏の赤ワイン煮)。

ミスティカンツァは智子さんに好評で、コッコ・バンは、酒井忠康さんが「感動的な味だ」とおっしゃって下さった。


メンバーがメンバーだけに、美術から音楽、そして文学と話題は尽きない。

笑い声が絶えないパーティーになった。


コッコ・バンのあとは、パルミジャーノ・レッジャーノを大量にすり下ろしてスパゲッティ・カルボナーラを作り、さらに和牛ミスジ肉のステーキを焼く。

ステーキには自宅で作ってきた赤ワインソースを添えた。
posted by 城戸朱理 at 09:55| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

澁澤龍彦邸でのパーティー、その1

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澁澤龍子さんから、春のホームパーティーのお誘いがあったのは、ひと月ほど前のこと。

今回は、政治学者の御厨貴夫妻をお招きして、文芸評論家の新保祐司夫妻が集うということだったので、バンビことパンクな彼女が龍子さんと相談して、4月1日に決まった。

ところが、御厨先生が急なお仕事で都合がつかなくなったため、前夜に龍子さんと手分けして、別の方に声をかけてみることになり、私はフェリスの島村輝教授をお誘いした。

幸いにも島村先生が参加してくれることになったので、北鎌倉の侘助で待ち合わせて、澁澤邸に向かう。


山を背負った澁澤邸は、いつもと変わらず、澁澤龍彦先生がいらしたときのまま。


龍子さんが、お誘いしたのは英文学者の富士川義之さんと世田谷美術館館長の酒井忠康さん。

新保祐司さんと智子さんが4時すぎに到着し、総勢8人のパーティーが始まった。
posted by 城戸朱理 at 09:54| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月03日

かまくら春秋社、花見の宴へ

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4月1日は、冬としか思えぬ寒さ、鎌倉では最高気温が10℃を切った。

この日は、かまくら春秋社の花見の会があったので、澁澤龍彦邸のホームパーティーの前に寄らせてもらったのだが、ムートンコートを羽織ったほどである。

冬用のウールコートは、もうクリーニングに出してしまったが、ムートンだけ収納していなかったのは、幸いだった。


花見の宴の会場は、大仏で知られる高徳院の迎賓館。

タクシーを降りて、歩いていたら、「城戸さん!」と声をかけられ、振り向いてみたら、藤沢周氏だった。


会場には、若竹煮、鎌倉野菜、しらすや唐揚げ、おでんからいなり寿司まで、かまくら春秋の社員の手料理が並び、満席の盛況ぶり。


毎年、この花見の宴の日は、桜がまだ咲いていないのが恒例となっている(?)。

アトラクションは、かまくら春秋の伊藤玄二郎代表が脚本を手がけた竹山道雄『ビルマの竪琴』の朗読劇だった。

田中あつ子(朗読と歌)、高野久美子(歌)、倉本洋子(ピアノ)と、プロの音楽家によるアトラクションだったので、聞き応えがある。


花見の宴では、毎年、茶席もあって、抹茶もいただけるが、お軸が誰のものか分からない。

歌人の尾崎左永子先生と藤沢さんがネットで検索をかけたのだが、やはり不明。

写真は、お軸を眺める藤沢さん、文学館畑の重鎮、倉和男さんにバンビことパンクな彼女である。

結局、後で、このお軸は、足利尊氏の書状であることが分かり、しばし、室町時代に思いを馳せた。
posted by 城戸朱理 at 14:10| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月02日

ホタルイカと空豆のオリーブオイル炒めとミスティカンツァ を仕込んで

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コッコ・バンを仕込む間に、ホタルイカと空豆のオリーブオイル炒めを作った。


オリーブオイルでみじん切りにしたニンニクとアンチョビを炒め、アンチョビが溶けたところでホタルイカと、茹でて皮を剥いた空豆を加える。

これは、昨年も作ったが、澁澤龍子さんが気に入られていたので、今年もメニューに加えた。

もう一品は、ミスティカンツァ。

ミスティカンツァとは、イタリア中部で、さまざまな野草を混ぜたものを言う。

日本の春の七草のようなもので、サラダで食べることが多いが、今回は、ニンニクと鷹の爪をオリーブオイルで炒め、キャベツ、小松菜、アスパラガス、蕗の薹を炒め煮にした。

軽く塩・胡椒で調味するのだが、これを薄切りのバゲットにのせ、アンチョビをひと切れのせて食すると、ワインに合うのだ。

家庭料理というものは、どの国であっても完成されたレシピがあるものだと、しみじみ思う。


澁澤龍彦邸でのパーティーは、龍子さんの好みに合わせて、赤ワインに合うものを作るようにしている。
posted by 城戸朱理 at 09:59| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コッコ・バン(鶏の赤ワイン煮)を仕込む

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澁澤龍彦邸での春のパーティーのために、コッコ・バン(鶏の赤ワイン煮)を仕込んだ。

コッコ・バンは、フランスのポピュラーな家庭料理で、家によって味つけが違う。

その意味では、フランスの家庭の味ということになるが、私のレシピは、ごく単純。


骨付きの鶏腿肉に塩・胡椒してバターで焼き色をつける。

かたわらで、タマネギのみじん切りを透明になるまで炒め、鶏腿肉、小麦粉、赤ワイン1本を加えて、ワインが3分の1になるまで煮込む。

そこに水とローリエを加えて、さらに煮込み、塩で調味して完成。

最後に炒めたエリンギを入れた。


アシスタントは、バンビことパンクな彼女である。

バンビに、ストックしてあるワインから、1本選ぶように言ったら――


「この汚いラベルのワインを使ったら、どうかな?」
・・・

それは、1982年と89年のヴィンテージワインではないか!

「じゃあ、この地味なラベルの新しいワインにするよ!」


バンビが手にしたワインを見たら、ジュヴレイ・シャンベルタン2013だった!?

これも、煮込み料理に使うワインではないのは言うまでもない。


もし、バンビに任せたら、このワインを使われたかも知れない。

パンクだから仕方がないが、より厳重な警戒が必要である。
posted by 城戸朱理 at 09:58| 美味しい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月01日

菊石朋さん、鎌倉へ

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『耳の生存』(七月堂)を上梓したばかりの菊石朋さんが、鎌倉に来てくれた。

高岡修さんに呼ばれて、鹿児島で現代詩のセミナーの講師をしたとき、わざわざ大阪から参加して下さり、4年前にも鎌倉に来てくれたが、今回は版元の七月堂に挨拶するたもかめ上京されるというので、バンビことパンクな彼女と出版祝いをするべく、お誘いしたのだ。

藤沢周氏も参加してくれたのは、何よりだった。


鎌倉駅改札で待ち合わせて、クルベル・キャンへ。

菊石さんは、お酒を飲まないので、ノンアルコール・カクテルで乾杯。

料理は、真鯛のカルパッチョ、マッシュルームの石窯グリル、トマトと赤玉ねぎのサラダから始めた。

菊石さんは、お肉も食べないが、クルベル・キャンは、肉以外のメニューも充実しているので困らない。

遅れてバンビが合流し、藤沢さんは、ひと足先に帰宅。


ピザはスモークサーモンを使ったサルモーネ、パスタはカルボナーラ。

ドルチェも頼み、菊石さんとあれこれ話した。


最後は、菊石さんとバンビで記念撮影。
posted by 城戸朱理 at 01:27| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月31日

鎌倉文学館の専門委員会へ

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3月29日(水)は、鎌倉文学館の専門委員会が招集された。


司会は秋林哲也さん。

専門委員は、山本道子、高橋源一郎、藤沢周氏に私で、小田島一弘副館長が事業報告、山田雅子学芸員が補足する形で進行。

遅れて、富岡幸一郎館長が到着した。


昨年は、開館日数が303日で、総観覧者数は、11万2066人と、天候に恵まれたせいもあって、過去最高を記録したという。


次の特別展は、生誕150周年を迎えた夏目漱石展。

漱石といえば手紙の名手として知られ、全集に収録されているだけでも2500通を超える。

そんな漱石の手紙を中心にした「漱石からの手紙 漱石への手紙」展(4月22日〜7月9日)。

これは、楽しみだ。


専門委員会が終わってから、藤沢さんと鎌倉駅まで歩く。

藤沢さんは、先月、北鎌倉の高野から鎌倉に引越したばかり。

長男の卓くんも、早稲田の政経学部の3年になり、生活をダウンサイジングすべく引越したそうだが、なんと荷物の4分の3を処分したそうだ。

見習いたいものである。


ただし、引越し前の準備に3週間、引越してから荷物を解いて片付けるのに3週間かかったというから、ひと月以上、落ち着かないわけで、やはり引越しは大変である。

とりわけ、物書きの場合は、本の量が尋常ではない。

「本って重いじゃない」と藤沢さん。

まったく。


鎌倉駅の駅ビルがリニューアル・オープンしたので、2階の風凛で藤沢さんのビール。

当ては、三崎のマグロ・ステーキと鎌倉野菜の天ぷらである。


風凛は、三崎の鮮魚と鎌倉野菜が売りの居酒屋だが、以前は、隣でカウンターだけの天丼の店もやっていた。

生牡蠣で白ワインを飲み、天丼で食事をするのは、バンビことパンクな彼女のお気に入りだったが、その天丼スペースが復活したのが嬉しい。


藤沢さんの剣道小説『武曲(むこく)』が、綾野剛主演で映画化、6月に公開されるが、藤沢さんは続篇も執筆中で、これも楽しみだ。


17時過ぎに、大阪の菊石朋さんと改札と待ち合わせていたので、1時間ほど、藤沢さんと語り合った。
posted by 城戸朱理 at 11:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月30日

地政学的な危機



英国の「ファイナンシャル・タイムズ」(3月9日)が、朝鮮半島の現状を「コリア・クライシス」と報じた。

アメリカのCNNなどのメディアも、同様のトーンで、朝鮮半島の危機的状況を報道しているそうで、日本のメディアより、強い危機感をにじませている。


それも当然だろう。

北朝鮮が、度重なる核実験、さらにはミサイル発射と軍事的挑発を強めるなか、
韓国は、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾、罷免によって政治的空白が生じたうえに、
THAAD(高高度ミサイル防衛システム)の配備をめぐって、韓国が米中2大国の衝突の場となり、中国の露骨な経済制裁が、ただでさえ不振だった韓国経済を圧迫している。

ちなみに、韓国は昨年のGDPが世界11位と、経済的には大国なのだが、その約80%を輸出に頼っているため、貿易依存度が異様に高く、もともと内需が弱い。

日本の貿易依存度が、15%ていどであることを思えば、韓国の貿易依存度が異常なまでに高いものであることが分かるだろう。

世界経済の減速による輸出の不振に加えて、もともと低かった韓国の内需を、不動産バブルで約130兆円まで膨れ上がった家計負債が圧迫し、消費者心理を冷え込ませている。

ちなみに、昨年の韓国の国民ひとりあたりの国民総所得(GNI)は、2万7561ドル。

国民総所得は、ある国の国民の生活水準を示す経済指標だが、韓国は、2006年に2万ドルを超えて以来、10年もの長きにわたって、先進国入りの指標となる3万ドルの壁を超えることができず、2万ドル代を推移していることになる。


韓国経済の失速は、若年層(15〜29歳)の12.3%という高い失業率を見ても明らかで、韓国メディアでも、これから韓国が日本のように「失われた20年」を迎えるのではないかという報道が、去年からずいぶん目につくようになった。


たしかに「漢江(はんがん)の奇跡」と呼ばれた韓国の経済成長は、目覚ましいものがあった。

日韓が国交回復した1965年の段階で、両国のGDPは約30倍の開きがあったが、近年だと、韓国のGDPは1兆3000億ドルと日本のGDP4兆9000億ドルの約26%、その差は4倍まで縮まっている。

だが、基幹産業が中国の猛追を受けており、技術革新では日本に遅れを取り、成長エンジンが見当たらない。

さらに、財閥中心の経済構造に国民の不満が募り、人口も減少に転じたため、今後は、これまでのような経済成長は見込めないというのが現実だろう。


しかも、次期大統領が確実視される文在寅(ムン・ジェイン)「ともに民主党」前代表は、かねてから親中、親北、反日、反米の左派として知られ、
文在寅大統領が誕生したら、北朝鮮と韓国の連邦制統一、最悪の場合には共産党独裁の赤化統一のシナリオを予想する識者さえいる。

もし、そうなったら、実質的には北朝鮮主導の半島統一となり、米軍は朝鮮半島から撤退、韓国は地上から消滅することになりかねない。

もっとも、文在寅候補が、実際に大統領として執権するようになれば、単純に反米を貫くとは思えないので、状況が、そこまで急変することはないのかも知れないが、可能性が捨てきれないのも事実だ。


かつては、中国(清)とロシア、日本という列強の、そして今は中国とアメリカという二大強大国の思惑が衝突する朝鮮半島の地政学的な困難さ。

そして、朝鮮半島と対峙する日本列島の位置を思えば、それは日本という国の困難さでもあることを忘れてはならないだろう。
posted by 城戸朱理 at 19:04| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする